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 他事件事例(AKB握手会襲撃事件)

当ブログでは本事件そのものだけでなく、社会的問題としても見てきたので、量刑問題は考えれば考えるほど重要と思えてくる。それで昨日に引き続き最近の事件例として、本年1月9日に求刑があったAKB襲撃の件も取り上げる。
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”AKB切りつけ事件 被告に懲役7年を求刑 盛岡地裁” デーリー東北新聞社 1月9日
<昨年5月、アイドルグループ「AKB48」のメンバーらが切りつけられた事件で、傷害と銃刀法違反の罪に問われた無職梅田悟被告(24)の論告求刑公判が8日、盛岡地裁(岡田健彦裁判長)であり、検察側は懲役7年を求刑した。判決は2月10日。
起訴状によると、梅田被告はAKB握手会会場で、カッターの替え刃4枚を貼り付けた折り畳み式のこぎりでメンバー二人に切りつけた上、制止しようとした男性スタッフに刃体をつかませてけがをさせたとしている。>
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上記内容から傷害事件と考えてwikiも見たら、以下のように記事から想定したより危険な犯行だったことが分かった。
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<犯人の男は2人の頭部に向かって凶器を振り下ろしており、頭部を守ろうとした川栄と入山の手を負傷させた。>
<当初の逮捕容疑であった殺人未遂罪を適用しなかったことについて、次席検事の南智樹は「人が死亡する危険のある行為だと認識して行ったかを慎重に捜査したが、立証は十分でなかった。(凶器の形状など)全ての要素を総合的に判断し、殺人未遂罪の適用を見送った」と述べている。>
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手指を負傷したのは頭部への攻撃を防ごうとしたためであった。
頭部に切りつける行為は、殺人の意図があったことも考えられてくる。しかも、以下のように凶器を自ら改造して準備している。そして、頭部に切りつけたということは、女性アイドルの顔に被害が及ぶ可能性もあった。
<犯行にあたって、男はAKB48のメンバーを攻撃するための凶器を用意した。2つ折りにするタイプののこぎりであり、伸ばしたときの全長は約50cmとなる。刃渡りはおよそ20.6cmである。接着剤を用いてのこぎりにカッターナイフの刃を4枚貼り付けるという改造を行なった。そして、男は実際にダンボールを切ってみることにより、改造を施したこの凶器の切れ味を確かめていた。>

このような状況があって当初は殺人未遂罪で逮捕したが、最終的にはその適用を見送って傷害罪で起訴している。その判断は妥当と言えるかもしれないが、wikiでは「逮捕直後、男は容疑を認めた。さらに、殺意があったことを認めた」となっており、最終的に殺人未遂罪適用を行なわなかったことは抑制的な法適用と考えられるだろう。
また、直接的な傷害の被害だけでなく、起訴には入っていないようだが握手会等のイベントや公演などの中止によって大きな損害が出ている。これで求刑は7年であり、判決は2月10日に出る。犯行時の被告精神状態の問題もあるようだが、どのような判決になるか。

なお、量刑に関しては「被害者感情重視による厳罰化の流れ」や、「リベンジポルノ」・「サイバー犯罪」等の新たな犯罪形態の出現などに加えて、裁判員裁判の導入の影響も大きく、従来に無い状況が生まれてきていると言えるだろう。更に国内ではまだ支持が多いとはいえ、国際的には死刑廃止の要請もある。また更生をどう図るかという問題は、現代社会では罰則より重要とも個人的には思える。
何が正しいやり方かということはすぐには言えないが、社会全体の問題として量刑に関して根本的・包括的な再検討が求められてきているのは間違いないだろう。

以上