kensyou_jikenboのブログ

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 専門家による量刑予測

専門家の予測を見てみる。
まず本事件にも関係深い落合弁護士の11月21日論告求刑を受けてのブログ
<今年になって、某マスコミから取材を受けた際に、この事件の求刑はどれくらいになると思いますかと質問され、最も法定刑が重いハイジャック防止法違反を基準に考えられるだろう、懲役10年から懲役12年あたりではないか、懲役8年もあり得なくはないが求刑レベルでそこまでは落として来ないと思う、と答えたことがありました。私の想定した範囲内の求刑になったということになります。>

求刑10~12年の予測が当たっていて、更に今回公判後のツィート。
求刑通りの判決もあり得るのでは。→PC遠隔操作事件 
 弁護側「求刑厳しすぎる」 NHKニュース 2014年11月27日>

「求刑通りも有りうる」と云うツィートには驚いたが、元検察官とのご経歴で古巣の検察や裁判官の考えることはよく分かっての上での求刑的中ということになるだろうから、この判決予測も重い。
またTBSテレビお昼番組に出ている元裁判官の八代弁護士は、以前の番組中で「判決は7年ぐらいではないか」と言っていたそうである。
落合氏の求刑予測は、上記ブログにあるように「ハイジャック防止法違反」を基準に考えておられて、「求刑通りも有り得るのでは」との判決予測もその流れの上にあると考えられ、八代氏も同様ではないかと推測する。

しかし、弁護団の弁論ではJAL事件へのハイジャック防止法違反適用自体に疑問を呈しており、業務妨害罪相当ではないかという論点を指摘している。この点については今後両弁護士のみならず、法曹界有志の方々に是非検討して頂きたいと思う。
(当方把握の専門家見方に関しては以上)
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(引き続いて昨日頂いたコメントの検討)
まず「h_bounter」さんの次のコメント。
求刑10年とは、裁判所が本件にハイジャック防止法が適用できないことを逆利用したものだと思います。
懲役10年はハイジャック防止法を適用できなければ下せないですが、9年なら下せます。
検察の横暴な起訴内容(ハイジャック防止法適用)を退け、日本の公正な司法を守ったという事実付で…

検察側はハイジャック防止法違反適用は却下されても良いから、実質大勝利と云える懲役9年判決を狙っているという見方で、非常に興味深い視点。特に同法を謂わば「見せ玉」にしているという推測は、「難関の試験を通っている検察官の方々が同法適用の無理筋を分からないはずがない」という、当方や皆さんの多くも含めた疑問への答えになるかも知れない。
それに対して上記専門家お二人は、ハイジャック防止法違反適用が判決でも維持されると考えていると思われ(特に落合氏)、裁判官が同法適用に対してどういう判断をするか更に注目になった。

続いて「pekorinion」さんのコメント。
被害者に対する名誉棄損の罪と捜査機関に対する公務執行妨害の罪です。なぜ、この罪で起訴されないのかわかりません。

本事件では犯行の多くが業務妨害罪による起訴になっているので、そちらで考えてみると警察に対する業務妨害罪適用の例は存在するようである。その詳細は別にして、本事件では警察業務への妨害を対象として起訴すると、「適切に捜査していれば妨害にもならなかった」ということで、捜査の問題点の方もクローズアップされることは確実。
それで(意識的か無意識かは別にしても)捜査機関への業務妨害での起訴はまず避けたことが考えられる。誤認逮捕被害者への名誉毀損等の方も、同様に警察・検察の責任の方へも矛先が向いてしまう。

これはハイジャック防止法適用と並ぶ非常に重要な論点で、誤認逮捕者の発生に対して正面切って何らかの罪状を設定して起訴すると、身内の問題が明らかになる。それを避けるために「別論」という謂わば開き直りを行なって実質スルーした上で、片山氏の責任の方だけは「別論」にせずに論告書の約8割30数ページを費やしたという「卑劣で悪質」を強調する主材料に使用。
上記専門家のお二人は前職の経験も踏まえて、そういう行動パターンが有りうることも予測出来るので、重罰予想になるのかも知れない。

多分、100人に聞いて99人以上はハイジャック犯だとは答えないでしょう。
これも重要。検察官は本質的に国民に成り代わって司法の実務を執り行う、という位置づけでやって頂いていると思うのに、国民の常識から余りにも外れるような法運用では非常に困ったことになる。天下の東京地検の検察官の方々が、この無理筋を分からないはずが無いと思われ、何故適用を強行したかは全く不思議。(前記の「pekorinion」さんコメントのような裏があるのか)

こんな公訴権の濫用を専門家の方々があまり問題にしないのはなぜですかね?
この「公訴権の乱用」という言葉は、日経新聞が今回公判を報じる記事の見出しに弁護側主張として「求刑過大」としたのに並ぶような、分かりやすく的確な表現であると感じる。
”公訴権乱用による求刑過大”の疑いがないかどうか、法曹関係者にはぜひ点検していただきたいと思う。

以上