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 求刑予測に関して

以下のTBS記事で求刑予測について触れていた。
"PC遠隔操作、片山被告が新たな動機「権力への怒り」"
次回の検察側による論告では懲役10年以上の厳しい求刑が予想され、判決は年明けになる見通しです。(04日22:34)>

この予想の明確な根拠は分からないが、「懲役10年以上」という厳しい年数が出されている。理論的にはハイジャック防止法違反での起訴があるので、懲役10年やそれ以上も求刑することは可能。つまり、求刑の目安が立てにくいということにもなる。

もし被告人の「謝罪と反省」が明確に示されなければ、次回第19回公判での求刑年数は謂わば検察官のフリーハンドに委ねられることになった可能性がある。被告人と弁護側からすると、それを避けておくために今回第18回公判で被告人自身から「謝罪と反省」の念を表し、被害先や被害者に謝罪文も送っておくことが必須だったといえよう。

当方は今回公判での「謝罪と反省」の表明を受けて、裁判官が下す判決は「4~5年」という推測をしている、これは以前から紹介している「マルハニチロ事件」及び「黒子のバスケ事件」との量刑比較が元になっている。この2つの事件は求刑が両方共4.5年で、判決は前者が3.5年、後者は4.5年である。
被害金額は前者のほうが遥かに大きく、両方共初犯であるのにこのような判決になった理由は、反省の態度の差が大きく、黒子の方は全く反省を表明しないという姿勢を貫いた結果と考えられる。

本事件は反省をきちんとすれば、判決は前記両事件との比較から本来は中間の4年ぐらいと見るが、再犯であることや踏み台にされた被害者感情なども考慮して最長5年も有りうるのではないかと考える。
しかし、もし「謝罪と反省」を示していないと、記事にあるような求刑10年以上とかまで考えられてきて、判決もそれにつられて例えば8掛けで考えると、思わぬ長期判決になる可能性が出てくる。弁護団と被告人がそのような事態を避けようとして行動するのは当然だと思う(実際の思惑は分からないが)。

なお、ハイジャック防止法航空機の強取等の処罰に関する法律)適用に対する法律論的論議が法廷で行われていないという点も重要だろう。10年やそれ以上の求刑可能性は、ハイジャック防止法の規定が前提になっている。しかし、ハイジャック防止法第4条は初適用と思われるのに、論議なしでいきなり適用して求刑することに納得性は有るのか。この点も掘り下げずに求刑予想を書く上記のようなマスコミがあることには正直呆れる。

また、5年を超える判決が出たら、弁護側は控訴する可能性が出てくると思われる。
控訴審になれば、サイバー捜査官にごく基礎的なCSRFの知識がなかったり、したらば掲示板から被疑者を絞り込めなかった捜査ミスなどに対する警察の責任、本来すぐ落とせたと考えられる被疑者に取調べを行わず長期間抗弁させてしまった検察の責任なども改めて俎上に上がってくるだろう。
検察側が控訴も覚悟で求刑に臨むか。ここも焦点なのであるが、マスコミの多くは全く考えないままだろう。

以上
[追記]
当方から見て考えやすいのは判決の方で、それを4~5年と見るということを上記本文で書いた。
検察の方はなかなか読みにくい。特に今回法廷では、検察官のなかでも中心になると思われるK検事の姿が見えなかった。
検事席の前面は四人並びで、K検事の席はその中央にあったが、何故か空席になっていた。(丁度その席は当方から見て机上モニタの影になって見えにくかったが、多分いなかったと思う)
そのため今回の被告人による「謝罪と反省」は直に聞いていないことになる。

このような事情も含めて、検察側はどのような求刑をしてくるか。(法曹三者で大団円になったと思われる空気を読むか読まないか)
8掛けで考えると、求刑6年なら判決5年以内になるが、求刑7年では超えてしまう。7年以上の求刑をしてくるかどうかを当方としては注目したい。
そして、もし求刑7年以上の場合は、判決も5年を超えるか。(ただし、求刑7年までだと、切りの良いところで判決5年はあるかも知れない) 
判決5年を超えた場合は控訴が行われるか。
このような判決に至るまでの検討をしてみた上で、まずは21日の論告求刑公判を待ちたいと思っている。

追記以上