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 判決確定

昨日で判決日から2週間経過し、控訴があったという報道は無いので判決確定と思われる。
一昨年2月10日の逮捕から二年以上たって、ようやく正式決着。
今後片山氏には更生と社会復帰を目指してもらいたいと思う。ただ、3年や5年ぐらい経つと世間も忘れていくし、稀に思い出すと「まだ入ってるのか」ということになるだろう。やはり長すぎる刑期と思う。

また、本事件は判決確定とはいえ、まだ謎が多く残っている。当方は雲取山の真相も知りたいが、一番重要な謎は、横浜CSRF事件に関して犯行声明メールで「逮捕報道の2日後ぐらいに全く同じ手口(CSRF)で横浜市サイトに送った」としている「告白文」の件と思う。これは発見されていないが、ラストメッセージでも言及していて、実際に送ったのか?、或いは虚偽なのか?、是非確認しておくべき事項。
確定後の今となっては判決には影響しないが、未だによく分からないところが多い片山氏という人物の心情を知る上で重要な要素になると考えられるので、時間経ってからでも片山氏から明らかにして貰いたいと思う。(自供後の公判でも送ったと証言しているので、少なくとも計3回も主張しており単なる虚偽とも考えにくいため、以前記事に書いたように「同じ手口」という前提で探索してみたが発見できなかった。もっと詳細な送り方を思い出して説明して貰いたい)

また、裁判の評価として、昨日までの検討からの帰結になるが、求刑・判決について言及しておくべき事がある。
昨日記事で記したように、検察側は論告で「ハイジャック防止法第四条想定の典型的で最も重い部類の犯行」として、再犯・併合考慮なしで10年・或いは10年近い刑と示唆した。
つまり、同法違反だけで求刑10年がほぼ出来てしまっていることになる。それなら論告42ページ中35ページにも渡って情状で悪質性を訴えたのは、求刑の根拠説明ではなく感情に訴えて「減刑の余地なし」を主張する意図が殆どということなのか。

また、裁判官は「同法想定の典型的行為ではあるが最も重い部類に入るという主張は疑問が残る」としているので、これが求刑からの減刑要素になっていると想定される。2年の減刑には以前にも書いたように反省の分も幾らかは入っているだろうから、同法違反での減刑は1年程度と想定される。
そうなると、「誤認逮捕も量刑に考慮することは妥当」という裁判官見解も、実際には量刑に特段影響していないことになる。ハイジャック防止法違反減刑1年、反省減刑1年として、これだけで懲役8年の判決が完結し、誤認逮捕分は入る余地がないからである。(反省減刑ほとんどなしで、同法違反減刑2年も考えられるが、それでも誤認逮捕分は入ってこない)

まとめると、「求刑10年判決8年」はハイジャック防止法第四条適用量刑の扱いと精々反省分だけで決まってしまい、再犯も併合も誤認逮捕も業務妨害もウィルス供用も入って来ないと云うことである。
驚くべき話ではないだろうか。だが論理的に分析していくとこうなる。しかもJAL事件で考えれば、実際に脅迫内容の実行意思が全く無かったいたずら行為に対して、求刑10年・判決8年とも量刑過大であるのは明白。
結果として本事件では、論理矛盾のある求刑・判決が記録に残ったということになると思う。

なお、このような事態になったのは、ハイジャック防止法を適用してJAL事件を3年や5年にしてしまうと、業務妨害やその併合とあまり変わらなくなり、敢えて同法を適用する意味があるのか?という話になってくるからではないかと推察する。これを避けるために「同法想定の典型的で最も重い犯行だから適用した」という理屈にしたかったということである。結局ハイジャック防止法での起訴を選択した段階から、同法適用量刑を10年とした上での求刑10年は、ほぼ決まっていたことが考えられそうである

もしこのような事情だとすると、当方として納得できることがある。昨年11月4日公判で被告人が「謝罪と反省」を示して、法廷では「大団円」の雰囲気があった。しかし、その次の公判で検察側が求刑10年という物議を醸すことが明白な過大と思える論告を行なったため、大いに違和感を覚えた。
だが元々10年求刑を決めていて、それを変えるとハイジャック防止法適用の妥当性が維持出来ないため、当初の無理がある方針のまま押し通したと云う推定を行うと、大団円による順当な落とし所(例えば7年求刑)を無視したことの説明が付くように思える(自供は検察想定に入っていなかったから途中で方針変更困難)。

以上
[追記]
機長もいたずらかと思ったと言うJAL事件だけでは、ハイジャック防止法第四条規定上限が10年(下限1年)であっても、精々3~5年程度であることは常識的に少し考えただけで分かると思う。当然プロである裁判官は10年や8年などあり得ないことが分かるはずである。
しかし既報の通り、裁判官も「検察官が主張する最も重い類型とは、ちょっと違う」という程度の指摘だったとのこと。ちょっとや少しの違いではないことは、論議すればすぐ分かることだが、裁判官は初適用にも関わらず自供後も論議するように指揮しなかった。結果的に検察側には非常に有利な訴訟進行だったことになる。果たしてこれは偶然なのか。

これ以外にも保釈や鑑定の却下など、当方には不自然とも思える検察寄りのような判断があった(実際に保釈は高裁では認められていて地裁も許可すべき状態だったし、鑑定もこれだけの事件なのだから認めても異論は検察側以外には出なかっただろう)
検察側と裁判所は交流があるとは云え、検察側の意向を忖度したような訴訟指揮が行なわれるとは、裁判の信頼のためにも余り考えたくないことである。ただ、それにしては不思議なことも多く、今回はどうなのだろうか。

なお、判決に関して以下のような社説記事が神奈川新聞で出ている。
”【社説】PC遠隔操作判決 取り調べ全面可視化を”神奈川新聞 2015.02.14 
<判決が「悪質なサイバー犯罪」と指摘した通り、国家権力への恨みから捜査機関を出し抜こうという動機や、襲撃を予告された小学校が授業参観を中止するなどの実害が出ていることを考慮すれば、悪質さは際立つ。懲役8年の量刑は妥当だろう。>

量刑8年が長さ的に妥当かどうかの判断はそれぞれとしても、同新聞社の関心が高い「横浜の小学校が授業参観中止」も「CSRF事件での誤認逮捕」も量刑に入っておらず、精々3~5年程度のJAL事件だけで無理やり求刑10年にした結果での8年という真相認知無しに、このような記事を書いている。記事は「神奈川県警の検証結果は不十分」と指摘しているが、自社を始めとする報道機関の追求不足は認識していないようだ。そして、これだけでなく本事件では多くの真実が認識されず隠れたままになっていく。

追記以上
判決も確定し、明日より不定期掲載に入ります。