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第17回公判傍聴メモ1

10月9日に行われた第17回公判の傍聴メモは、会見映像を見てから突き合わせを行って記事を書くことで考えていたが、IWJ及びビデオニュースの動画、そして江川氏傍聴メモも今回は全く出てきていないので、多分このまま出ない可能性が高そうである。
本事件の風化傾向を表す事態とは言えようが、当方を含めた真相を知りたい人にとっては残念な状況になってきた。

しかし、それが現実ということで、会見で成されたと思われる佐藤氏の補足説明等は考慮に入れないまま、当方の傍聴メモをご紹介することにする。
まず公判内容に入る前に、先日のコメントで「雲取山の件については全く言及が無かった」ことをお知らせした。
当方が会見映像で確認したかった一番の事項がこれで、会見の方で若干でも触れられた可能性があるかも知れないと考えていた。前回会見の冒頭で佐藤氏は「或る意味重要なことで、位置の証言は違っていたが、写真の正しいと思われる位置に穴が写っていない」という趣旨を明確に説明されたから、この問題を全くスルーにはしないことが考えられると思っていたからである。
ただ、今は会見内容を確認するすべがないので、我々が認識できるのは「公判では言及がなかった」という事実のみということになる。

よって、10月9日午前10時から午前中一杯行われた公判の内容のみご紹介することになる。
第17回公判は大きく分けて2部構成で竹田氏による弁護側証人尋問が行われた(それぞれに対しての短時間の検察官反対尋問含む)。
 (1)弁護活動の経過(証人:佐藤氏)…約40分
 (2)特別弁護人の目から見た本事件(証人:野間特別弁護人)…残り時間全部

(1)は前回会見で予定内容として触れられてなかったと思うが、「事件全体の経過を整理して弁護活動の意図や結果なども明らかにする」という目的で佐藤氏が自ら取り組まれたものと想定される。
このような姿勢は佐藤氏と弁護団が自供後において、「被告人の心理状態を明らかにして更生に資する取り組みを行う」ことと併せて、基本方針になっていると理解される。「裁判はシロクロだけでは無い」と示していることになり、真摯な取組をされていると思う。

法廷では(1)に関して、佐藤氏の初接見前の自らの心境から始めて、真犯人メールを経て自供後の弁護側対応に至るまでの全体経過に関しての証言が行われた。
その具体的内容は今まで佐藤氏が会見やインタビューなどで発信されてきたものと同様で、皆さんもご存知の事実が主であるため、今回当方が特に着目した点をご紹介。

①「取調が行われなかったのは捜査の最大の問題点」、「録画取り調べしたら早期に解決した」、「取調技量がある人がいなかったのではないか」
→「取調を行わなかった問題」は、当初からずっと言われてきたことではあるが、佐藤氏は改めて逮捕後からの取調経過を克明に時間を掛けて説明して上記指摘に至った。
当方にとって印象的だったのは、佐藤氏説明の間、検事席前列3名の中央に座った主任検事であるK検事が、当方から見ると”憮然とした表情で下を向いてペンの軸をぐるぐる回していた”という姿であったこと。
心理学的には、「痛いところを突かれている」時の仕草ではないだろうか。それまで見た公判ではK検事は若干落ち着きのなさが感じられたが、それと今回は全く感じが違った。云ってみれば片山氏が自供前の会見等で厳しい質問をされている時に下を向いてスマホなどをいじっている姿を彷彿させるものがあった。長谷川氏も間近で見ておられたと思うので、専門家はどう判定するか。
当方は2ch用語にある「効いてる効いてる」という状態として見ていた。
勿論これは個人的印象に過ぎないが、もしこの見方が当たっていて実際に検察官側に効いていたとしても、それ以上は弁護側も現在の状況では追求することが難しいと想定される。「取調を行わなかった」という本事件捜査の根本的問題もこのままフェードアウトして、「今後は可視化します」というような一般論で落着させられそうな気配である。

②「母親は『99%犯人と思っている』と言っていた」、「母親の直感は正しかった」
→これが佐藤氏証言の中では一番衝撃的だった。佐藤氏は「それでも息子さんが否認しているのだから信じましょう」というような趣旨で励ましたとのこと(この時の佐藤氏証言そのものはメモを取りきれなかったので当方が感じた趣旨を記した)。
弁護側は立場上このような対応になっても止むを得ないと思われるが、検察側は立場が逆になる。
数多くのデジタル証拠などから検察側は「片山氏が犯人」という自信を持っていて、母親を聴取して説得すれば、母親自身も「99%犯人」と思っていたのだから、片山氏に対して「長引かせるのは良くない、もし罪を認めても私はずっとあなたを待っている」などのように供述書等により説得してもらうことも出来たと思う。
また、母親は片山氏の大晦日等の行動も見ているので、それを正直に話して貰うことで親族証言とは云え真実によってアリバイを崩し、片山氏に有罪を早く認めさせることも可能だったのではないか。
検察側は前項の「片山氏取調べを行わなかった」ことによって、母親聴取も出来なくなって実施していないと推定される。
取調問題の影響は重大で、K検事はそれを薄々でも自覚しながら聞いていたことが仕草に出たのかも知れないが、その推測の真偽は別としても本事件の「取調問題」に対する責任問題などがこのまま全く不問に付されそうなのは、日本の刑事司法の改善に対して大きな損失であると思う。

③「今は『刑は軽く」とだけは言えない」、「(片山氏は)バーチャルとリアルの境界が分からない」、
「コミュニケーションは人並み以上で頭は良い、後は人との共感が持てるかどうか」、
「長谷川氏は自閉症スペクトラムと見ていて、心の闇に光を当てようとしている」
(これら証言そのままのメモは出来なかったので当方がメモを取れた範囲で記した)
→前から言及されていた内容であるが、今回改めて「コミュニケーションは人並み以上で頭は良い」という見方を長期間接してきた佐藤氏の証言で聞くことができた。
確かに当方も片山氏の法廷での供述を実際に見聞きして、色々な質問に澱みなく答えるし、検察・弁護間のやりとりの仲裁をしてすぐに皆を納得させるというような論理的な頭の良さも感じた。
しかし、それなら何故雲取山で埋めた位置を偽証し、それが指摘された後も明確な説明をしないのかという大きな疑問が残る。
当方がずっと取り上げてきたから雲取山に結びつけるというのではなく客観的に見て、「コミュニケーションは人並み以上で頭は良い」という評価と、「(埋めた位置だけでなくそれ以外も)雲取山で自分が行なった行動をそのまま説明するというごく簡単なことを実行しない」という片山氏対応が明らかに矛盾していると思える。
ただ、これについては前述のように会見が見れていないため、「片山氏から説明があって佐藤氏が会見で述べていたりするかも知れない」ので、今はここまでにとどめざるを得ない。

以上
[追記]
野間氏証言に関しては、図や表などの資料をスクリーンに示しての説明が行われ、その資料が17枚にも及ぶという詳細なものであった。
本記事と同様に当方が特に着目した点に絞って、後日記事にする予定。

追記以上