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第17回公判傍聴メモ2

傍聴記の前に、まずぺんてるさんからコメントで非常に重要な情報を頂いた。
11月4日(火)の第18回公判でメインテーマになるはずだった「心理鑑定書」を、弁護側が証拠請求しないということが長谷川氏のツィッターで明らかにされた。驚愕の展開であり、皆さんもぺんてるさんのツイッターから是非ご覧ください。(その後江川氏が記事にしたことも紹介頂いた)
現時点では詳細事情が全くわからず、11月4日の鑑定人証言も取りやめとのことだが、長谷川氏が同日に会見を開くとのことで、ある程度の経緯は聞けるものと思われる。

なお、ぺんてるさんのツイッターの中にある来週の法廷情報に4日の公判は載っているので予定通り開廷すると思われるが、メインテーマが無くなってどういう公判内容になるのかは不明になった。
当方としては、雲取山山頂行動の詳細解明はこのまま行われそうにないので、心理鑑定の結果を聞いてから本事件の総括を徐々に考えつつ、11月末の論告求刑や最終弁論を待とうと思っていた。
しかし、心理鑑定結果が闇の中になるということで予想外の展開となってしまったが、4日公判は行われそうだから事態の進展を見たいと思う。

さて第17回公判の方であるが、先日ビデオニュースで16回と17回の公判後記者会見が同時アップされて、17回の方で野間氏が直接色々な項目について話しておられたので大体の状況は伝わったと思う。
法廷での野間氏証言は資料17枚を使った更に詳細なもので、当方が特に注目した部分を考察も混じえて記す。
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(1)ファイルスラックへの痕跡
野間氏は「真犯人がぬれぎぬを着せようとする遠隔操作で検察側が得た痕跡が残るか?」を検討したということで図を示して説明していた。「出来る」という結論であったが、当然可能性としての話になるので、後で検事が反対尋問で反論して水掛け論的になってきたので裁判長が止めていた。

(2)丙社での接続記録
丙社ではTorが使えなかったとのことだが、2012年10月10日(水)15:15:22にTorによる犯人Yahooアカウント(onigoroshijuzo)へのログイン履歴がある。
野間氏は「丙社プロキシログで対応すると思われるログが有った。そのログに記録された時刻が開始時刻だとYahooアカウントへのアクセス時刻が含まれないが、終了時刻だと含まれる」とのこと。
丙社のログは一回の接続ログに記録された時刻が一つで、それが接続開始時刻か終了時刻かは分からなかったということであるが、もし当該アカウントアクセスが丙社ログに含まれていない可能性があったとすると、弁護側はもっと調べて強調したと思われるので、やはり対応するログがあったと見るべきだろう。
当方はファイルスラックより、こちらのほうが決定的だったと思う。
ファイルスラックは前項のように可能性としては実現性を考えることが出来る。同様に丙社からのTorアクセスも、「真犯人が丙社の片山氏PCを遠隔操作して、予めLogMeInを動かしておいた片山氏自宅PCにアクセスし、Torソフトを起動してYahooアカウントにアクセスした」という可能性を考えることは出来るだろう。
しかし、丙社からのアクセスの方は、真犯人がやったとすると「丙社PCを遠隔操作して、そこから更に自宅PCも遠隔操作する」ことになる。つまり「遠隔操作の遠隔操作」を行なったということ。
これを弁護側が主張すると、9月までの遠隔操作犯行において「真犯人は片山氏PCを遠隔操作して個人情報確認や検索などを行なったが、片山氏PCを経由して被害者PCを操作するという『遠隔操作の遠隔操作』は行なっていない」という弁護側主張と矛盾する。
検察側がこの自己矛盾を突いていけば、弁護側が反論したとしても一旦主張したことの訂正となるから、心証面で優位に立てたのではないかと思う。(ファイルスラックだと前項に記したように水掛け論的になって、裁判官も明確な心証にしにくいと思われた…ただし裁判官による)

(3)SDメモリカードの日時記録
野間氏はSDカードを詳細に調べた結果として以下の更新履歴経過を示し、「日付が遡っている(1月3日の後が前年12月22日になっている)ので改ざんが確認できた」と述べた。
 ↓・2013年1月3日 XX:XX:XX
   ・2013年1月3日 △△:△△:△△
   ・2012年12月22日 ◯◯:◯◯:◯◯

野間氏は検察側もこの事実を掴んでいたかどうかは言及しなかったが、もし検察・警察が把握してなかったら捜査不足になるし、知っていたら本事件で唯一と言って良いぐらいの直接的なアリバイ主張の根拠が改ざんされているということを、公判の最初の方で明らかにしておくことは必須だったと思う。このアリバイが崩れただけでは即有罪とは言えないが、裁判官の心証には影響与えられただろう。
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以上であるが補足として、会見の方で神保氏が核心を突いた質問しておられた内容がある(33分ごろ~)。
<結局被疑者も遠隔操作されていたかもしれないという可能性が完全に否定出来ない限りは、デジタル証拠ではこの犯罪は犯人性の証明を出来ないということなんですか?>(野間氏回答はビデオ参照)
もし真犯人メールが無くて裁判がそのまま続いていたら、この点が最終的に裁判官が判決を考える上で一番苦心するところでだったのではないかと思う。
それが上記(1)と(2)にも関連してきて、両方とも可能性を考えることは出来るが、(2)では弁護側の自己矛盾を説明するのは相当難題だったのではないかというのが当方の個人的見方になる。

丙社も自宅も片山氏からしたら自分用のPCになって細工もしやすいが、真犯人がいたとすると全く他人のPCとなって、遠隔操作犯行の構図と似てくる。
その上で乙社では「遠隔操作の遠隔操作」をやらなくて丙社でやったのは何故か?という疑問が弁護側に向けられて説明できたかということになる。もし何らかの説明をしたとしても、弁護側は最初に「遠隔操作の遠隔操作はやってない」と明言してしまっているから、検察側は当然「後付け」と主張する。


以上