再犯加重
今週21日には「黒子のバスケ事件」の地裁判決が出る。
求刑は4年6月で反省・謝罪表明無しだから、満額か、何らかの軽減があっても4年と個人的には見ている。
ただ、本事件の特殊事情として前科があるため、それによる「再犯加重」という要素が加わる。
しかし、例えば報道でも産経新聞7月12日記事では以下のようになっている。
<片山被告は、24年6~9月に行われた、小学校襲撃や日本航空機爆破など9件の犯行予告と、ウイルスを6人のPCに感染させたとするウイルス供用罪で起訴された。片山被告が起訴内容をすべて認めたことで、残った争点は量刑。航空機爆破を予告したハイジャック防止法違反罪(運航阻害)の法定刑の上限は懲役10年だが、襲撃予告の威力業務妨害罪などと併合されると、最長で懲役15年を科すことができる。>
つまり産経新聞は再犯加重を考慮しない量刑範囲で記事を書いている。
大手新聞であるから、当然検察等にも取材した上での記事と思われるので、本来は信憑性あるだろう。
ただ、本事件も被告人質問が殆ど終了して大詰めが近づいているので、念の為に調べてみた。
そうしたら2ch情報ではあるが、どうやら再犯加重に掛かりそうである。
よく知っていると思われる人が複数レスに分けて書き込んでおり、長いが詳細な説明があるので参考に引用する。
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”【遠隔片山】ゆうちゃん、懲役30年へ ★2”
1 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:13:09.91 ID:bx9R7+GQ0● BE:978099795-2BP(11000) [1/1回]
ソース: 刑法、刑事訴訟法
これまで、せいぜいハイジャック防止法違反の10年×1.5=15年とみられていた片山だが、実行行為日が再犯加重にかかることが判明
10年(運航阻害罪)×2倍(再犯加重)×1.5(併合罪)=懲役30年※
※正確には30年を上限にして、すべての犯罪の罪を積み上げて、30年超えたら、30年が上限
前スレ:
【遠隔片山】ゆうちゃん、懲役30年へ
詳しい法律構成は↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
4 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:14:21.15 id:bx9R7+GQ0 [2/11回(PC)]
もともと、懲役の原則は、
(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
20年なんだが、今回みたいにハイジャック防止法違反の再犯がつくと、例外的に
(有期の懲役及び禁錮の加減の限度)
でマックスの30年まで引き上げられる。つまり、片山事件は有期懲役のマックスまで検討されるってこと
有期懲役刑では、最も最悪の罪
・・・というのがこのスレの趣旨
7 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:14:45.49 ID:bx9R7+GQ0 [3/11回(PC)]
■再犯加重に「同種の犯行」要件なし■ 明文で明らか
(再犯)
第五十六条 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に
罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
(再犯加重)
第五十七条 再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。
だから、
【要件】①懲役以上くらったも者が、②5年(計算方法は1の人が縷縷説明しているとおり)以内に、③またまた
有期懲役刑くらった場合
【効果】長期2倍
「同種の犯行」とかいう要件はない!
9 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:15:08.79 id:bx9R7+GQ0 [4/11回(PC)]
さて、刑罰の上限値は、基本刑→再犯加重→併合罪加重の順で計算する(法定事項)
(加重減軽の順序)
第七十二条 同時に刑を加重し、又は減軽するときは、次の順序による。
一 再犯加重
二 <略>
三 併合罪の加重
そこで、再犯加重の期間が問題となる。はたしてハイジャック防止法違反の実行行為(着手時)が、 再犯期間の5年に入るか、前科の執行満了日が問題となる
11 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:15:43.22 ID:bx9R7+GQ0 [5/11回(PC)]
(前科の満了日を計算中・・・なかなか面倒だ)
第五十五条 期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない<但書(時効特例)略>
2 月及び年は、暦に従つてこれを計算する。
(期間の計算)
第二十二条 月又は年によって期間を定めたときは、暦に従って計算する。
(刑期の計算)
第二十三条 刑期は、裁判が確定した日から起算する。
■23条は地味~に効いてくるね■
今まで2006年3月27日から1年6月と思われたが、判決確定の日は、判決日(初日不算入)から14日
(3月27日から14日)
3月→4日
4月→残り10日
だから、2006年4月10日から1年6月(ただし未決勾留日数50日を控除)
13 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:16:08.09 id:bx9R7+GQ0 [6/11回(PC)]
(刑期の満了日計算中・・・)
2006年4月10日から1年6月
1年→2007年4月10日
1か月→5月10日
2か月→6月10日
3か月→7月10日
4か月→8月10日
5か月→9月10日
6か月→10月10日
そして、ここ(2007年10月10日)から未決勾留日数50日を戻すと、
10月分→10日(残:40日)
9月分(小の月)→30日(残り10日)
8月分10日だから→満期は2007年8月21日
むぅ・・・こ、これは
14 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:16:34.87 ID:bx9R7+GQ0 [7/11回(PC)]
答え合わせ編
(実行行為へのあてはめ1)
再犯の満期は、2007年8月21日から5年だから、2012年8月21日までの犯罪は再犯(刑期上限が2倍)
まず、これがアウト!(再犯)なのは広く知られていた
2012年6月29日(金)15時17分頃 - 横浜市ウェブサイトへ「鬼殺銃蔵」を名乗って横浜市の某小学校で無差別殺人を行う予告を投稿。附属池田小事件を想起させるような内容であった。この犯罪予告をうけて翌6月30日に予定されていた授業参観は中止となった。
単純な業務妨害だから、せいぜい3年→6年。併合(1.5倍)入れても9年。上限値としては大したことはない
だがしかし・・・8月■21日■となると・・・
17 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:17:21.17 id:bx9R7+GQ0 [8/11回(PC)]
(実行行為へのあてはめ2)
再犯の満期は、2007年8月21日から5年だから、2012年8月21日までの犯罪は再犯(刑期2倍)
行きの006便に爆弾を仕掛けた」という脅迫メール
同便(乗客247人・乗員18人・計265人)はメールが届く前の11時54分頃に成田空港を離陸していたが、
(航空機の運航阻害)
第四条 偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、
一年以上十年以下の懲役に処する。
こっちも再犯!
詰んだwww
19 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:18:01.51 ID:bx9R7+GQ0 [9/11回(PC)]
まとめよう
ギリギリのとこで↓が再犯(倍満w)
(航空機の運航阻害)
第四条 偽計又は威力を用いて、航行中の航空機の針路を変更させ、その他その正常な運航を阻害した者は、
一年以上■十年■以下の懲役に処する。
10年(運航阻害罪)×2倍(再犯加重)×1.5(併合罪)=懲役30年
詰んだw
あと3週間待てばよかったのにね?つくづく運のない人だ・・・
20 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 投稿日:2014/05/26(月) 09:18:24.80 id:bx9R7+GQ0 [10/11回(PC)]
おまけ1
■ゆうちゃんの犯行一覧(未起訴のもあるが情状には確実に入ってくる)■
2012年8月27日 芦田愛菜ちゃん脅迫 脅迫
2012年9月10日 どこもショップ無差別殺人予告 .威力業務妨害
2012年7月-9月 ウイルスを使った遠隔操作 .不正指令電磁的記録供用
これに、ウィルス作成罪と、最近の皇室とか米国大使館の脅迫、裁判官と弁護士(からころw)
21 : 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です[] 投稿日:2014/05/26(月) 09:19:00.51 id:bx9R7+GQ0 [11/11回(PC)]
おまけ2
■量刑相場の見通し
なかなか難しいとこだが(1件3年ぐらいのが10件以上あり、ハイジャック防止法違反が再犯加重で20年)
> (再犯加重なければ、10年いくかいかないか=八代弁護士の見立てもそんくらい)
で、再犯加重なしで8年6月~9年というのが相場だろうか・・・・
再犯加重の計算はこのとおりややこしいので、ワイドショーのスタジオではわからなかったと思われ(報道されていない判決日と判決内容を弁護士専用の判例DBで引いた上、暦計算マイナス日にち計算エクセルがいる(しかもエクセルは日にち計算に強いが暦計算は弱い))、再犯加重を考慮したらどうなるか?
論理だけからいうと、「もともと上限に達していないのだから、再犯加重してもそれより上に行くはずがない」
となりそうだが、実務では「再犯加重の趣旨から考えて、量刑も重くすべき」というのが素朴な国民感情で あると思われ
果たしてどうなるだろうか?
果たして果たして???
【テンプレここまで】
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[当方感想]
・<報道されていない判決日と判決内容を弁護士専用の判例DBで引いた上・・・>
→一般人では知らないことを書いていて、上掲の書込みをした人は実際にこの調査をやったか、何らかの方法で結果を知った可能性があると推測できる。関連条文の引用などからもよく知っている人で、基本的には信憑性が有るように思う。ただし、刑期の細かい計算などはどこまで合っているのかは分からないので、再犯加重対象がどの事件までかというのは確定ではないだろう。それでも少なくとも横浜CSRFは対象になる可能性が高そうである。つまり、本事件には再犯加重が適用されることになりそう。
・<なかなか難しいとこだが(1件3年ぐらいのが10件以上あり、ハイジャック防止法違反が再犯加重で20年)
(再犯加重なければ、10年いくかいかないか=八代弁護士の見立てもそんくらい)
で、再犯加重なしで8年6月~9年というのが相場だろうか・・・・ >
→書き込んだ人が量刑見立てをしている。
当方見立てはまず再犯加重を考えないとしてみる。「マルハニチロ事件」(反省・謝罪あり)及び「黒子のバスケ事件」(反省・謝罪なし)との情状比較において、本事件は”途中から反省・謝罪あり”となるだろう。これに情状面での再犯と情状鑑定却下の裁判長の傾向も考慮して、現時点では4年~5年判決という予測をしている。
ここに量刑面での再犯加重が加わるとどうなるかということになる。
それでも上記書込者の見立て「8年6月~9年」(しかも再犯加重なし)は長すぎると個人的には思うが、再犯加重があった場合の考え方についてはまだ調べきれておらず、実際の適用時の資料もそう沢山は無さそう。
特異な事件でもあるし、検察の求刑と裁判所の判決に再犯加重がどのように影響してくるか、予測が今は付けがたい。
・片山氏は再犯加重を調べて考慮しなかったのだろうか。片山氏の認識力なら考えたとしてもおかしくないと思うが、捕まらないという自己中発想で特に気にしなかったのか。
以上