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黒子のバスケ事件求刑

(本日二本目記事)
昨日「黒子のバスケ事件」の最終公判が開かれ、結果は以下の通り。
懲役4年6月を求刑、公判はこの日で結審した。判決は8月21日

概要は各社報道によると次のようであった。
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・2014年7月18日、「黒子のバスケ」脅迫事件の公判が開かれ、検察官の論告求刑と弁護人の弁論、そして渡邊博史被告の最終意見陳述が行われた。検察側は、この犯罪が、動機が身勝手で被告人の反省の情は皆無、模倣性もあるという点で「まれに見る重大で悪質な事案」だとして、考え得る最も重い罪を科すべきと主張。懲役4年6カ月を求刑した。弁護側は、この事件が死傷者を出すような意志を持ったものでないことを主張し、情状酌量を訴えた。
・検察側は論告で、渡辺被告から黒子のバスケ関連のイベントや菓子販売中止を要求された企業など7社の損害は計1億円を超えると指摘。(当方注:3億円ぐらいという話もあったが1億円超のようである。それでも本事件よりは大きい額と思われる)
グリコ森永事件や炭疽菌テロを連想させる手口を用いて、被害者に強い恐怖心を抱かせた。
被告が「服役後に自殺する」と主張していることから、「自らの責任と向き合わず、反省していない」と批判した。
弁護側は最終弁論で「具体的な危険はほとんどなかった」と述べた。
・最終の意見陳述で被告は、事前に準備した数十枚のメモを手にしながら、「服役後は無意味かつ無駄だった自分の人生を終わりにする」と早口で述べた。
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威力業務妨害罪の併合による最長刑として、4.5年(4年6月)が求刑された。
検察側から「反省が皆無」という意見が付いている。
「動機が身勝手で、まれに見る重大で悪質な事案」という意見については、「腕試し」で踏み台被害者の誤認逮捕を複数引き起こした卑劣な愉快犯と云うことで、本事件も同様と云うことになるだろう。
結果的に「反省と謝罪の念」を片山氏が今後どう表すかと、「ハイジャック防止法違反」がどのように扱われるかが、黒子の事件と本事件との比較のポイントになると思われる。

以前の記事でも書いたが、片山氏は黒子の被告のように全く反省しないということはなく、何らかの反省と謝罪が今後示されるのは確実と考えて良いと思う。(誠意をどれぐらい見せられるかは今後の片山氏の姿勢次第)
後は「ハイジャック防止法違反」をどう扱うかだが、佐藤氏も今まで具体的には殆ど触れておらず、最重要事項として密かに策を練っているのではないかと思う。(或いは検察側・裁判所との阿吽の呼吸になるか)

また、検察側はハイジャック防止法を適用して起訴してしまった面子をどう考えるかということになる。前に想定したように5年求刑が落とし所のように思われるが、実際にはどのように出てくるだろうか。5年を超える求刑が出てきたら、「量刑バランスを欠く厳罰主義」ということで論陣を張ろうと思っている(笑)

以上
[追記]
大阪の被害者は、陳述でJAL機の件については証言で以下のように述べている。
取り調べが始まって10日ほどして、JAL脅迫の事件もほのめかされた。これで再逮捕されて、東京の警察に移動させられると聞いていたので、東京の弁護士を探してもらった。弁護士をもう1人頼むとなると、どれだけ費用がかかるのか、有罪になった場合にどれだけ賠償金を要求されるのか気になった。>

当方は以前から大阪府警報告書にJAL機の件が全く載っていないことを問題視してきたが、被害者証言でも「10日ほどしてほのめかされた」という状況であったことがわかった。
被害者はJAL機犯行で最終的に逮捕されたとも言っていないから、逮捕は無かったと想定される。
8月1日から任意聴取が始まって、8月26日に逮捕され9月14日起訴、9月21日釈放。
これだけ長い時間をかけてもJAL機の件は逮捕にも至らなかったことになる。
それなのに片山氏の裁判では、量刑的に一番メインの罪状になってくる。当方は違和感が拭えない。

また、これも以前記事で書いたが、JAL爆破予告文はイタズラとすぐ分かる内容である。(個人的にはJALの危機管理能力の方に疑問あり)
ハイジャック防止法の立法当時の状況や立法趣旨からして、そのようなものにまで適用する事ができるか、或いは適用が適切か、というような法律論争も当然出てくるだろう。
根源的には、ハイジャック防止法は「よど号事件」で機体と搭乗者を国内法の適用が及ばない外国に持って行かれて、政府が対応に苦慮したことが立法の最大動機。実際の立法時に色々適用事例を付け足したとはいえ、単なるイタズラとは差がありすぎる。
また、量刑バランスという点では、他の交通機関への犯行予告行為などとの比較もあり得る。
真正面から法律論争したら、検察側や判断する裁判所は明確な適用解釈を打ち出せるか。
弁護団はどのような戦略で臨むだろうか。

追記以上