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ニコ生江川氏インタビュー

江川氏は開発に関しても的確に質問していて貴重な情報が得られた。江川氏にとっては完全に専門外であるのに非常に良い仕事で有り難い。
該当部分の文字起こしを記載する。(質問の番号は当方付与、→以降が片山氏回答)
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(1)(本事件は)遠隔操作ウィルス、iesysと云うのを使ったということで検察側が裁判では最初一人目は片山さんが派遣先で使っていたPCの解析をやった人。
 そして二人目がiesysに関する分析をした警察の技官を証人として出したわけですよね。
 それが行われたのが昨日でしたね。
 昨日検察側の証人尋問の後、短い被告人質問とそれから記者会見の会場で、片山さんは「捕まってた時にはiesysの仕組みがよくわからなかったけれども、話を聞いてやっと分かりました」というような話をしてましたよね。
 やっぱり書面とか見てて分からなかったですか?
 →書面見てても分かんなかったですね。

(2)昨日の警察官証人が分析した結果の説明でどういうところが「ああそうなのか」と思いましたか?
 →例えば暗号化する際にオリジナルのツールを作っているところとか。
  独特のコード体系を持っていて、ある意味一つのシステムで自分では作れない。

(3)どういうところが作れないと思ってますか?
 →「C#出来ない」と先生方は主張してくれてますが、C#出来ない以前に経験がある言語の方を使っても自分には出来ない。

(4)どういうところが難しそうだと思いましたか?
 →複雑な色々な機能が絡み合って暗号化して通信して、例えば命令を取得して更に内蔵ブラウザを操ってと云うような機能を盛り込まむのは、かなり長期間勉強しないとその当時の自分では絶対無理だと思いました。

(5)今まで片山さんはどのようなプログラムを作って来たんですか?
 →逮捕される前の3年間ぐらいは大体はWebアプリケーションのシステムで、サーバー側で動く方のプログラムだったんです。

(6)もう少しわかり易く説明お願いします、例えばどんな感じですか?
 →例えばJavaで作られた多機能なWebサイトと云いますか、そういう感じです。

(7)例えばエクスプローラとかクロームなどが有りますが、そんな感じのイメージのものですか?
 →Webブラウザで動くアプリケーションです。
 従来はクライアント・サーバーシステムというものを専用のソフトをインストールさせて、それを使って通信なりをして動かすものが、Webアプリケーションというブラウザだけあれば使えるというものにどんどん切り替わっている時期で、そういった案件が多かったです。

(8)それを一から全部作るわけですか?
 → 一からというか何十人もの体制でシステムを作っていく中の歯車の一つでしか無かったです。

(9)システムというのは全体の設計とかをやるわけではないんですか?
 → そういう大きい設計はやったことが無いです。

(10)例えば通信機能とか、そういうのを伴ったアプリケーションとかはやったことがあるんですか?
 →Webアプリケーションは既に用意されているApachでTomcatでということで、通信機能は用意されているソフトがあって、そこで動くソフトを開発してたわけなんで、自分でソケット通信をしてどうこうというようなプログラムを開発した経験はそういえばない。

(11)そうするとああいうものを仮に作るとするとどういう勉強が必要になるんですかね?
 →多方面の技術が必要なんじゃないかなと、特にセキュリティをかいくぐってPCを感染させて外から命令を受付させるとかいう部分に、かなりマニアックな知識がないとダメなんじゃないかと思います。

(12)そういうのは何か本とかそういうものがあるんですかね?
 →確かにそういうアンダーグランドなものもあれば、或いは真っ当なセキュリティ関連に従事する人のために書かれたものもあると思いますけど、そういう本も存在は知っています。

(13)そういう本を読んだりもしたことはあるんですか?
 →読んだことはないです

(14)セキュリティ関係にあまり興味はない?
 →業務で従事したことはないです。

(15)ご自身のPCのセキュリティとかはどうなってたんですか?
 →無料のウィルス対策ソフトしか入っていない。
(文字起こし以上)
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片山氏の説明も分かりやすく、当方が受けた印象は「片山氏がiesysを作成していないことは更に明確になった」と云うことである。
詳細は明日記そうと思うが、こつこつと開発関係の検討をやってきて良かったと改めて思った。

現在までの情報を総合すると、PCの中身を見た場合は「開発痕跡やiesys試作品」があって、そのPCで開発が行われたことを強く示唆していると云えるだろう。
しかし、開発全体として大局的に見ると、能力面・動機面・期間面・職場環境面など多くの観点から「とても無理」と推察される。

つまり、現時点では糸口どころか説明がつくかどうかさえも分からない大き過ぎる矛盾の存在が、より鮮明になってきたと当方は考えている。
ただ、それが実際の裁判の中で論点になるかすら分からないのが最大の問題だろう。
しかし、この矛盾を曖昧にしたまま素通りして次の論点に行ってしまったら、これまで当方が指摘してきた無効起訴による公訴棄却相当どころか、裁判自体が無効相当と云うべきものになってくる。

「開発ができたかどうか」を当事者同士間でも徹底論議しないまま結審したら、それを受けて最終的に判決を下す裁判官はどうするのか。
極端に言えば、裁判官はどうやって考えても技術開発のことは全くわからないと言ってよいレベルだろうから、判決という最終判定を下す資格があるかどうかも疑問になる。
法曹資格は持っていても、裁判官にも当然効力が及ぶ刑訴法第一条の「事案の真相を明らかにし」を実行する能力が、本事件に対しては決定的に足りないからである。
刑訴法の趣旨に反する真相に迫れない判決になってしまうことが今からでも充分考えられてしまう。

刑事裁判に対する新たな事態ではないかとも思うが、現実的には法廷の中で大荒れになったとしても、裁判所や検察のシステムは通常運転で何事も無いように進んでいくのだろう。
それでも、今回弁護側がやって見せたネットを駆使した情報公開の姿勢と実行を、少しでも取り入れて行って貰えると良いのだが。

ちなみに参考としてタイムリーな週刊誌記事があったので、存在だけご紹介。
週刊現代3月22日号(今週号)”元エリート裁判官が明かす 「裁判官は正義より出世が命です」”
更にこの号のコラムで本事件が取り上げらて片山氏の「独白」なるものが記載されている。
その題名が酷い。”「保釈」ネコ男の独白”、まだこんな表現をするとは思わなかった。
編集者や責任者もチェックできないのか。週刊現代は本事件を長期的に追っているのは評価できるのに、このような題名を付け続けるだけでも報道姿勢が台無しになることが分からないのだろうか。
マスコミの問題まで取り上げると範囲が広がりすぎるので敢えてやって来なかったが、この期に及んで常識が無さ過ぎると感じたので取り上げた。

以上
[追記]
まさゆめさんからの「雲取山のビニール袋の違いは弁護側のアドバンテージになるか?」というコメントに返信。
当方が弁護側アドバンテージとしたのは以下の推論に基づくものです。
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弁護側主張を以下のように整理してみる。(実質は「仮説」の位置づけと思われる)
 (1)kokohore2も偽装
 (2)1月1日には埋まっていなかった
 (3)真犯人が雪が溶けた頃に埋めた

これに対して、検察側主張の詳細はまだ明らかではないが、以下と考えられる。
 (4)kokohore2は偽装か本物か最後まで答えない(実態は本物扱いと思われる)
 (5)12月1日「頃」にkokohore2撮影後、それに写っている穴に埋めた
 (6)埋めたのは片山氏(「情を知らない第三者の可能性」が公判で出てくるかは不明)

弁護側主張だと、(1)と(3)の時期が離れているのでビニール袋が違うことは説明可能。
しかし、検察側主張は(5)によって実質的に撮影直後に埋められたということになり、「何故袋の違いがあるのか?」という疑問に答えるのはなかなか難しいのではないだろうか。
ビニール袋の違いは弁護側主張に有利に働くと思われる。

以上