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 iesys以外の遠隔操作ソフト

昨日コメントで書いた「iesysとは別の遠隔ソフト」の件について補足。
「片山氏PCも遠隔操作されていた」という主張に対しては、以下の2点の問題が早くからネットで指摘されていた。
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(1)片山氏PCにはどうやって遠隔操作ソフトをインストールさせたか?
 →iesysを使ったトロイソフトは、全て2chの書込み代行を利用してダウンロードさせてからインストールさせている。しかし、それは大阪の被害者が最初で、片山氏PCにダウンロードさせたと思われる代行記録は見つかっていない。真犯人がいるなら別の方法で感染させたことにする必要がある。また、iesysの完成は7月末だが、犯行はCSRFで6月から行われている。片山氏をターゲットにすることを決めたり、「悪の教典」を参照して片山氏の仕業と見せかけるには、犯行より前に遠隔操作して個人情報を入手しておく必要がある。だが、前述のようにiesysは7月末完成なので間に合わない。
(2)10月上旬にウィルス対策ソフトがiesys対応した後に、それに引っかからない遠隔操作ソフトはあったのか?
→昨日の丙社における遠隔操作仮定にはこれが必要になる。
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片山氏はネットの指摘等を見たか、自分で気づいたかは不明だが、この問題を知っていたと思われる。何故なら「真犯人メール」でiesys以外の遠隔操作ソフトがある事を次のように説明している。

<■片山さんに仕込んだこと
もともと、私は海外サイトで拾ったウイルスジェネレータで作ったものを使うだけのスクリプトキディでした。
iesysを作る以前にも多数の人に感染させています。
何らかの実行ファイルにくっつけてあちこちで配布する手口が中心です。
B-CAS書き換えが流行ったときなどいっぱい釣れました。
片山氏が引っかかったのは偽Janeだったと思いますが。>

具体的に「偽Jane」と云う名前まで出して、別ソフトの存在を示そうとしている。
しかし、2chの書込代行も使わず、最後まで見つからなくてウィルス対策ソフトも対応しなかった別ソフトがあるなら、iesysを作らなくともそれで全部やれば良いとも云えてしまう。

にもかかわらず片山氏は上記に続けて以下のように色々な「言い訳」を書き綴っている。例えばUSBメモリからの感染は今は対策されているから、それを言われないように「USBメモリを差して自動実行されるタイプではありません」と書いて回避しようとしている。ポータブルアプリケーションも複数PC感染は困難と云う指摘への対策となる。

<「遠隔操作」可能なウイルス、一旦感染させたら、遠隔操作して大抵の実行ファイルに感染させることは可能です。
昨年、片山氏の弁護団からポータブルアプリケーションという言葉が出たときやっと真理に近づいたと思いました。
もちろんUSBメモリを差して自動実行されるタイプではありません。今のOSではそれでは感染しないです。
片山氏は感染した実行ファイルを、確認しただけでも数台で使いまわしていたので、それぞれのPCに感染させることに成功。・・・>

涙ぐましいとも云えるが、実態はわざとらしさが全開。いつものように地頭は良いのに抜けている面が隠せない。
裁判官の目も、それが見抜けないほど節穴ではない。ただし、真犯人メールを出す前の段階では、片山氏見立てで「五分五分と思っていた」と言っている。本人は悪い方に見るだろうし、当方が見ても五分五分よりはもっと無罪の可能性のほうが高かったと考えている。
ただし、本来5月で検察側立証は終了し弁護側の反論が始まる予定だったので、当方見解はそれも考慮しており、片山氏は本年5月までの段階で見ていたかも知れない。

その反論の中でも「乙社では殆ど業務を行なっていなかった」という検察側主張に対しては、第17回公判で野間氏が証言していたが、片山氏PCに「業務ソフトのテストログ」などがあって作業していたことが認められるとのこと。実際にも大部分は自宅でやったということで、乙社では曲がりなりにも業務を行なっていたことは事実であるから、非常に強い反論になる。当方も乙社で業務を行なっていたという片山氏主張を重視してきた。
検察側は「自宅でも開発したと推定される」とでも言っておくだけで良いのに、決定的ミスをしてしまっていた。まずこれで検察側主張には「合理的疑い」が発生する。

次に片山氏も自信を示していた雲取山があって、埋めた場所や到着時刻を間違えて証言しても気づかないぐらい、片山氏が埋めたという証明は出来ていなかったと推測される。実際登山者聴取の調書が一本も証拠申請されていないということは、その人たちの証言や写真などでも「埋めた、或いは埋めることが出来た」という証明がされていなかったことを示している。(逆に調書を出すと弁護側の「埋めていない」という証拠になってしまうということだったのだろう)
更にその前からのDNAなどもある。

こうなってくると裁判官も「証拠不十分(内実は警察捜査と検察論理構築が不十分)」で無罪判決を出しやすくなってくる。通常は検察官の主張を基本的に呑んでおくことが裁判官としての保身・出世につながるだろうが、今回は「冤罪」の世論も高まっていたから、世論に合わせおく方がむしろ保身になるという判断も充分あり得た。
検察側にとって真犯人メールは僥倖だったというしか無いだろう。

以上
[追記]
明日はいよいよ論告求刑。当方は以前から判決の可能性として4~5年と考えていることをご紹介してきた。更に目安として、判決は求刑の八掛けぐらいと考えると、求刑は5~7年と見ている。
求刑を行う検察側が、本来昨年5月ぐらいまでには横綱相撲で容易に解決できていたと思われる本事件を、「取調問題」や上記本文の「iesys開発場所想定ミス」など数々の失策で混迷させ長期化させた。
警察も「したらば掲示板」から片山氏に辿りつけていた可能性が十分あったのに、適切なログ押収などを行なっていなかったことが野間氏証言で明らかになった。またサイバー捜査担当官にCSRFの知識が無かったという致命的欠陥が最初の誤認逮捕を引き起こしたなど、捜査においても種々の問題があったことも指摘してきた。
司法当局側にも、このような内情があった上で、どのような求刑になるか。もし求刑7年を超えたような場合(TBS報道予想は10年以上)、弁護団と片山氏の反応はどうなるか。公判は午前中だから、午後にはマスコミ各社速報で、まず求刑内容が分かると思われ注目される。

追記以上