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心理状態考察4

昨日コメント紹介した方から補足コメントを頂き、「前科の時、回避性人格障害とありますが、違うとも考えています。もしくは、一時的だっただけで、ネットゲーム依存症だったのが正しいのではないか」というご意見。
被疑者がゲームに嵌っていたのは相当のレベルだったようで、依存症のようになって精神的不調を来していたのではないかというのは、被疑者の当時の行動面から得られる見解として興味深いと思う。

この点に関して当方は別の見解を持っており、やはり当時の弁護士主張にもあるように長期に渡る回避性人格障害かそれに近いものがあったと考えている。
その大きな根拠としては前科の際の裁判記録がある。よく引用される阿曽山大噴火氏の傍聴記録である(特に第2回公判の引用が多い)。
”初公判” (後半部分)
”第2回公判”
「これぞプロの裁判官、感動の被告人質問」

第2回公判で以下のようなやり取りが記されている。
 弁護士「中学時代のイジメは、どんなことされたんですか?」
 被告人「暴力を受けていました。殴られたり蹴られたり、ノコギリで頭を切られたり」

まず、ここでなぜ弁護士が「ノコギリで頭を切られた」という状況の詳しい説明を求めなかったのか、よくわからない。
それはさておいても、「ノコギリ」が出てくる時点でどうも変。ノコギリって技術家庭の授業ででも使用してたのか?
この辺りから当方は何かおかしいのではないかと思い始めた。ただ、弁護士が突っ込んで聞いていないからそれ以上は推測できない。

もっと重要なのは身近にいる母親の証言。
 弁護士「中学に入って被告人の様子が変わったようですね」
 母親「学校でのことを話さなくなり、表情もなくなって何も言わなくなりました。後で分かったんですが、原因はイジメでした」
 そのイジメが原因なのか、進学しても友達ができず、対人関係もうまくいかず…。弁護人は、被告人が回避性人格障害である、と主張してました。

「表情も無くなって」というのは、精神の異常は表情に出やすいからピタリ当てはまる。
更に「自分のことを何も話さなくなり、対人関係も上手く行かず」というのは充分回避性人格障害と考えても良いのではないか。
それが中学から続いているのだから、ある意味年季が入っている。
高校大学と進んでも回復せず悪化していき、とうとう犯行予告という違法な手段でネット上の他人の関心を買おうとするところまで行ってしまった。
ここまでは流れとしては分かりやすいのではないだろうか。

だから明らかに心が病んでいるのに、無理解な検察官はありきたりの批判をする。
 被告人「いえ、ネットでは話せるけど、現実の自分に自信が持てないので…」
 検察官「どう努力するかだろ! こんなことするなんて言語道断だよ」

更に阿曽山大噴火氏はそんな検察官には批判的でも、以下の様なことを言う裁判官は大絶賛。
 被告人「見栄っぱりのところがあるかもしれません」
 裁判官「見栄なんか捨てればいいじゃん。人にはそれぞれ特性があるんだから。どんな人も、世間に迷惑かけずに生活していくべきなんだよ」
 カウンセリングのようなやりとりです。「社会に必要ない人間なんだ」と思い悩んでる被告人に対して「そんな人いないよ」と建前を言うのではなく「人付き合い下手でいいじゃん」と言える裁判官ってすごいな。

当方としては「おいおい、カウンセリングのような、じゃなくて病気の場合は専門家のカウンセリングが必須!!!」と教えてあげたいぐらい。
裁判官及び検察官も含めて心の病をどう考えてるんだ?と言いたくなる。
体の病気なら、素人が「どこが悪いですか?」と聞いただけでは大して意味がなく、専門の医師にかかることが必要なことはだれでも分かる。
しかし心の病になると、医師でもない裁判官が一回限りのおためごかしのような説教をしただけで感動してしまうとは。
阿曽山大噴火氏の傍聴記録はいい仕事と思うが、本来は芸人?なだけに「不謹慎ですが、ここは笑うところですか?」と突っ込みたくなる。
もちろん浅薄な建前論で上から目線しかない検察官は論外であり、心に病に対して司法も一般人も理解がなさすぎるのではないか。

話は本事件からはそれるが、当方の周りにもうつ病の人たちが増えている。
社会的に大問題になっているが、もっと日本が抱える最大クラスの問題ぐらいに考えても良いと思っている。
その意味で、ブラック企業を調査して企業名公表も辞さずという最近の政府の姿勢は遅かったぐらい。
お金儲けはどんどんやってもらって良いし、格差が付くのも人間に能力差がある以上仕方がない。
ただ、有為の人材を精神面で潰さないで貰いたい。
しかも、基本的にはうつ病の予防は実は簡単なのである。まずは無理な長時間労働をなくせば良い。
人間は休息があれば、ダメージも回復する。長時間労働でダメージ蓄積するから、ある時心がポキッと折れる。
その意味でサービス残業が一番悪い。ブラックと言われたくなければサビ残をなくせば良い。それもやらないなら批判され公表されても仕方がない。
話がそれ過ぎたし、この問題は本事件よりもっと色々ご見解があると思うので、ここまで。

さて、以上に述べたように当方としては前科の頃には被疑者は中学時代に端を発した回避性人格障害か、それに近い状態であったと推測する。
そこから、執行猶予が付かず実刑になって服役した後が予想外と云えるものであった。
昨日も述べたように、服役が良い方向に作用して、精神面が大きく改善したというのである(本人談)。

これは素晴らしいことで、美談と言っていいぐらいと思うのだが、もし被疑者が犯人とすると、可能性としては人格障害の傷が深過ぎて精神の奥底に残っていて時間が経って又出てきた、服役での改善も完全では無かった、と考えるぐらいしか説明がつかないと思われる。
ただ、これもこのところ述べてきているように、症例を突き合わせて考えてみても、精神的不調とソフト開発能力好調が同時に出るような可能性のある病気はなかなか見当たらないようで、それだけにもし犯人であるなら、早くこの症例が理解できるような専門家を探して診てもらう必要が有るのではないかと思うのである。

以上