心理状態考察3
ブログを見て頂いている方から、昨日記事に関して別途コメントを頂いた。
その中で特に「前科の時は回避性人格障害とのことだったが、服役して治ったとの話は納得できる」と云うご意見が有り、当方も同見解。
それに関して過去の検討を見なおしてみたら、当方は今年3月末に以下の趣旨の記録を個人的に残していた。
3月21日の佐藤弁護士の記者会見より(佐藤弁護士が被疑者から接見で聞いた話)
「被疑者は前科になった事件で服役したが、刑務所の中は人と話す必要がある環境だったので、それまでの一人で閉じこもるような性格が大分治って、実際出所してから人付き合いが良くなったとのこと。
それで本人は自分の人生にとっては実刑も良い面があったということで、恨みなどには思っていないそうだ」
更に以下の考察も記録していた。
「昨年精神的に不調となり、7月初めから医師にかかって薬も貰っていたとのこと。
その状態で、隠れて覚えたC#で初の掲示板使用トロイを考案・開発し、派遣先PCですぐ近くにいる周囲の目をかいくぐって、TORを駆使して遠隔操作を行なって犯行に及んだという、見事な技を発揮したことになってくる。
これに説明を付けるとすると、昨年7月頃精神的に不調になったという頃から突如多重人格が現れて、精神的に調子が悪くてソフト開発能力もそう高くない表の姿以外に、絶好調で上級者並みの開発力を持つ人格が活躍して実行したぐらいしか思い至らない」
まず、「自分の人生にとっては実刑も良い面があったということで、恨みなどには思っていない」、
このような殊勝な思いを述べて海千山千の弁護士さん達を完全に信用させて、実は真っ赤な嘘だったということがあり得るのか。(前述のコメントいただいた方も同様の疑問を示されていた)
当方としては被疑者の周りからの評価なども考えたら可能性低いと思うが、もし実際にそんなことがあったら、つまり被疑者が犯人であったなら、トロイ開発時の精神的不調と能力的好調さの相反なども含めて、やはり被疑者の心の深層には何か普通でない病気の要素があると考えないと説明がつかないと思った。
それで多重人格の可能性を考えてみたが、多重人格(表と裏の二重人格)と一口で言っても、表はかなり重い精神的不調、裏は絶好調で新型トロイ短期開発などという相反する性質がそんなに上手く発現するのだろうか、という疑問もあり、他の新型うつとの類似性なども考えてきたという経過である。
ただ、あくまでこれは被疑者が犯人であると仮定した場合の話で、その後検察が何時まで経っても犯人性の証明を出さず、容易に出せるはずの監視カメラ映像の提出さえ拒み、「東京都内又はその周辺、インターネットに接続したPC」という呆れた説明に終始したので、犯人性の明確な証拠を持っていないことが想定され、その方面からの検証を行なってきた。
しかし、今となっては監視カメラの映像やトロイ開発時の勤務状況の話なども出てきて、犯人可能性は相当高まったため、被疑者が犯人と仮定して再度検証を行なっている段階である。
じっくり考えてみると、被疑者が犯人とした場合の心の動きはやはり非常に難解と思う。
その中でも当方は特に「進行性」ということに現在注目している。
犯人からは、クイズメールを除くと心境告白として、10月の「犯行宣言メール」と11月の「自殺予告メール」の二つが公開されてきたが、そこに12月末作成と考えられる「ラストメッセージ」が加わった。
この三つに関して、心境吐露の特徴を文面から考えてみる。
(1)犯行宣言メール
・警察・検察を嵌めてやりたかった、醜態を晒させたかったという動機が100%です。
・ある程度のタイミングで誰かにこの告白を送って、捕まった人たちを助けるつもりでした。
・福岡の◯◯さんを先生(落合弁護士)の力で助けてあげてほしいです。
・(犯行予告本文の一部が書いてある)テキストファイルを(福岡男性のPCに)残しておきました。
これを警察が発見したらオーナーが犯人で間違いないと誤認すると思ったので・・・ついでに2chに・・・書き込みもしました。
・(福岡の男性は)警察の強引な取り調べで認めてしまったことと予想されます。
かわいそうだから早く助けてあげてください。
・(三重の男性のPCに残した)トロイを見つけたなら誤認逮捕を認めて彼らを釈放するのか、見つけたけれど無かったことにして黙殺し彼らを犯人扱いのままか、
・・・そんなふうに警察がどう出るか試す意図がありました。結果的に2人釈放。警察・検察にしては殊勝なほうだと思いました。
・警察・検察の方へ
あそんでくれてありがとう。
今回はこのぐらいにしておくけれど、またいつかあそびましょうねーーー
いずれの件でも、本当に凶行に及ぶつもりはありませんでしたのでご安心ください。
それから、北村氏らに、犯人が「巻き込んですみませんでした」と言っていたと伝えてください。
→このメールでは誤認逮捕者への配慮が見られる。また横浜の犯行では2日後に告白メールを送ったりして冤罪が出ないようにも行動している。
この告白メールは見つかっていないようだが、CSRFが上手く動かなかった可能性もあり、この時は捕まるつもりも無いだろうから、噓の言い訳をする必要もなく、実際に送ったことは充分考えられる。
つまり「冷酷な極悪犯人」と云う感じは余り伝わってこないし、冤罪が起きないようにしたということは、
「警察・検察を嵌めてやりたかった、醜態を晒させたかった」という動機が100%です」という告白とは矛盾するのである。
この点は非常に重要であると当方は考えている。
それで当ブログの動機の解明で、トロイやその操作方法が段階的に改良されているという事実と併せて、「技術的興味とチャレンジ意欲」が動機としてあるのではないかと考えたわけである。
ただ、「警察・検察への挑戦」という動機が全くないわけでなく、技術的興味と両方あったと推測している。
それでも、前述のように「誤認逮捕させないようにしていた」ということを犯人自身が告白しているのだから、表面的に分かりやすい「警察・検察への挑戦」ばかりを動機として考えるのは検討に抜けが生じると思う。
そして、なぜ「技術的興味とチャレンジ意欲」の動機も重視するかというと、トロイを開発して遠隔操作の犯行を9月上旬まで行なっていた時期は、まだ精神的に正常な部分も相当あったと推測するからである。
それが犯行宣言メールの頃まではまだ残っていたと考える。
(2)自殺予告メール
・犯行宣言メールに比べて非常に短い。本文は5行しかない。
・内容も犯行宣言メールの「既成の亜種ではなく、私が一から開発したものです。」というような自己顕示的な力強さは全くなく、自殺予告となっている。
→最後の部分の「また来世ーーー」のような淡々とした雰囲気は犯行声明メールと同じで、かつ書いてあることは実際に起きなかったと思われていて、このメールは余り重視されておらず、イタズラか、或いは「生IPで見つかったのではないか」という恐れの現れと見られていると思う。
しかし、犯人の心境がこの頃に至って大分変わってきたと捉えることも出来るのではないかと当方は考えている。
(3)ラストメッセージ
・全容は明らかではないが、心理状態考察1で書いたように「私は壊れている」という深刻な記述が現れている。
・「警察官や検察官はもっと人並みに、人の話をちゃんと聞く姿勢があれば1件も誤認逮捕など起こさなかったのでは?」などと刑事司法の問題点を指摘して、それに対する挑戦が動機というように強調している。
→「壊れている」という表現の持つ意味の重大さは以前に記したとおりである。
検察・警察への挑戦の方は、週刊現代の記事を見る限り、相当な分量があるようで、これが犯人の主張の主眼のように見える。しかし、前述のように時系列で考えると、犯人は横浜の犯行のように最初から誤認逮捕者を出すつもりではなかったと自ら告白しており、逆に結果的に誤認逮捕者が出たのは犯人が誤認逮捕を防ごうとした行動が上手く行かなかったためとも云える。
そして、警察や検察の逮捕や取調の問題点などが大きく明らかになってきたのは、犯人が犯行声明メールを送った後であり、刑事司法の問題点として「自白偏重」「代用監獄」「人質司法」などのキーワードを挙げて批判しているのは、犯行声明メール以降に報道された内容を見ての後付の理由という面が大きいと考える。
つまり、犯人は元々持っていた自己洞察の論理性が失われてきて、後付のこじつけに走っていたのではないか。
また、Torトロイで見つからないようにやってきたのに、江ノ島の人の多い所で猫に首輪付けるなどの行動も、論理的な思考では説明がつかない。
こうして、(1)(2)(3)と犯人の心境吐露を順に見ていくと、進行性(悪い方への)が感じられるということである。
更に現在の心境が、週刊現代記事の最後の方の部分とすると、進行は決定的とも思える。
それで、この不可解な心理状態でも分析できるような精神科の専門家を探して診てもらうべきと思うわけである。
なお、冒頭で触れたコメントを頂いた方が、「人格障害などには治療の効果は余り出ないのではないか」とも指摘されていたが、これも同感で、それでも当方としては「勾留を続けるだけで良いのか」という疑問があり、検察はこのまま診断の必要性さえ考えないのかと危惧するのである。
これ又同感で、当方も今まで考えて来た経過の中で、サイコパスの可能性も調べたことを思い出したが、前述の犯行声明メールの分析で、「誤認逮捕者を助けてあげて下さい」「巻き込んですみませんでした」とまで書いてあり、更に誤認逮捕を防ぐ動きまでしていたというのだから、犯人は冷酷さが特徴となるサイコパスには当てはまらないという判定をしていた。
以上