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昨年8月環境アセス審議会での「遮水」虚偽説明

農林水産省へ送付した文書)

豊洲市場における地下水の遮水不良に関して
2018年9月9日

豊洲市場問題に取り組んでおられる方のご紹介で、同市場に関する重大な問題点をお伝えさせて頂きます。
同市場には様々な問題点が有りますが、その中でも「地下水位」に関する異常は、「環境影響評価条例」違反の疑いが濃厚です。

現状は、地下水位観測を開始して約2 年経過し、追加対策も実施したにもかかわらず、当初目標の「日常管理水位A.P.+1.8m」以下を達成できない地点が多数発生。豊洲市場における専門家会議(平田建正座⾧)が当面の目標としたA.P.+2.0m 以下でも、7 月30 日同会議会見資料では33 地点中12 地点が未達成という惨状。

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平田氏は、今まで全く話に出ていなかった「A.P.+2.4m」という数値を持ち出して、未達成を正当化しようとされました。しかし、上表の観測地点6-①は「A.P.+2.65m」であり、既に超過しています。

上表の前段には「真空ポンプによる揚水(ウエルポイント工法)(WP)」が記載されていますが、本来は工事段階で使用される同工法を完成済みの豊洲市場で⾧期に渡り実施するという強引な手法を用いても当初目標が達成できていません。

一番の問題は東京都が「水位が下がらない原因」を解明しようとしないまま、基準の変更やWP 追加などで押し通そうとしていることです。しかし、これだけやっても水位がなかなか下がらず目標水位を達成できないのは当然原因が有ります。

原因として考えられるのが、「遮水不良」です。豊洲市場は、側面を2 種類の遮水壁、底面を不(難)透水層で囲んで、外部との地下水の移動を遮断していると東京都は説明しています。いわば「プールのようなモデル」になります(東京都も地下空間の説明で「豊洲市場の敷地はプールのようになっています」と解説)。

このプールモデルが実際に機能していれば、上部からの降雨浸透は建物や舗装などで抑制し(緑地の地下にもベントナイト層で遮水)、それでも浸透した分は「揚水」を行っているので、水位は下げられるはずです。しかし、現実には下がっておらず、「遮水は出来ている」という都の説明が違っていると考えざるを得ません。

結果的に「遮水不良」が発生していると想定することになりますが、その根拠になる事実を3点説明させていただきます。
(1)環境影響評価審議会での「遮水が出来ています」という説明は不適切なグラフを使用していました
→昨年8 月に開催された同審議会において、東京都は以下の説明を実施。

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外部水位2 箇所(No1,No,2)と各街区の平均水位を比較して、「水位差があるから遮水機能が確保されている」という説明主旨でした。しかし、この「平均水位」によって、「一見水位差が有るように見せていた」というのが本当のところでした。

東京都の中央市場のHP には、上掲グラフの観測期間(2016 年10 月~2017 年6月)を含んだ期間の各街区の観測地点ごとのデータからのグラフが掲載されています。6街区のグラフを示します。
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特に「外部水位No.1」と観測地点「6-1、6-2」は水位がほぼ重なっているぐらいであり、東京都主張の「水位差」は見られないと言っても良いレベルでしょう。

また、変化の傾向も似ています。これで「遮水が出来ている」と言い切るには無理が有りますし、実際にも前述の水位が「A.P.+2.65m」と高いままの6-1 地点が含まれているという事実が有ります。これを調査無しで済ませることは出来ないと思います。

(2)揚水量(排水量)の各街区ごとのバラツキが大きく、特に6 街区は大幅な揚水超過(排水超過)になっています
→各街区ごとの水収支(=想定降雨浸透量􀊷公表排水量)の累計を示します。
各街区とも前述「プールモデル」として、同様の作りになっているはずですが、各街区ごとの揚水量(排水量)に大きな差が有ります。
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特に6 街区の累計排水超過は顕著で、グラフ傾向からはこのまま排水超過が累積していくようにも見えます。しかし、プールモデルでは水位と水量の低下には限界が有りますから、このまま超過が継続すれば「プールモデルの破綻」が証明されることになります。

もし、開場した後に「プールモデル破綻=外部からの地下水流入や流出」が明らかになれば、汚染対策の根本が破綻であり、豊洲市場のイメージ悪化につながります(外部には汚染地下水があります、また液状化対策などにも関係します)。事前調査が必須になります

(3)WP 停止での測定は、停止時間17 時間と短く、降雨による影響評価も行われませんでした
農林水産省殿はWP を含んだ基準なども作成しておられるのを見ました。WPに詳しい方がおられます。それらの方々に17 時間が妥当か?是非ご確認願いたいと思います。また、単に停止での上昇だけでなく、停止している時の降雨による挙動の影響の確認も必須です。

以上