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水位問題(遮水問題)のシンプルな見方

本ブログ記事内容に関して、以下のようなご見解があった。

<論点整理>事件簿氏の間違い
>リンクブログ(注:本ブログ)で・・・>

これに関して、そもそも、根拠とされている以下計算での「緑地の浸透率=0.85(85%)」設定(表左下)が、都に確認した見解とは合わないようである。そのため、8月21日記事”[都政184豊洲市場] 或る方の見解に関して”で説明を行ったので、ご参照下さい。

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(以下は元記事…8月21日現在:その後更に考察を深めているので別途記事にする予定)

7月の東京は、台風まで雨が非常に少なかったので、豊洲市場敷地に対する「水の出入りの収支計算(水収支計算)」がやり易い。結果的に、「外部流入」を想定しないと説明がつかないと思われる異常な状態が明らかになった。
まず水収支計算の結果と考察を示し、その後に計算経過の説明も掲載する。(追記で「遮水不全」が有る場合の問題点も記述)

[7月水収支の計算結果]
流入:敷地内の地下流入量=敷地面積 x 降雨量 x 敷地全体浸透率(都想定)
=約40万ヘクタール(400,000㎥) x 53mm(0.053m...下記参照) x 8%(0.08)
≒1,700㎥ = 1,700トン(月間)
(台風前7月降雨量:7月6日51.5mm、12日1.5mmで計53mm=0.053m)

■流出分(蒸発除く):揚水量は都の公表資料による(但し、6月7月分は未公表のため5月分使用)
5月揚水量=一日当たり約280トン(月間約8,700トン)

「考察」
7月全体での流入量が1,700トンで、それに対して280トン/日ずつ揚水すれば、6日間で排水出来てしまう。しかし、雨が降った7月12日から最新水位データの27日までは約2週間あるにも関わらず、目標管理水位AP+1.8m未達成が33観測地点中16地点と約半分も有る。

また、5月並みで仮定すると、7月全体での揚水量は「280トンx31日≒8,700トン」になる(6月末分も含めた台風前の1か月分で考えている)。
浸透量想定1,700トンとの差の約7,000トンは、どこの水を汲み上げているのか?」となる。
結果的に「敷地内降雨以外に、外部流入がある」と想定しないと説明がつかないと思われる。(5月と7月の揚水量が違う可能性も有るが、7,000トンもの差は大きすぎて、月ごとの揚水量の差で説明がつくかどうかは疑問…5月の総雨量は147mmで記録的大雨のようなことは無かった、また4月は総雨量73mmで月間揚水量は約8,090トン

なお、概略メカニズム的には以下になる。
(1)敷地内に降雨
(2)或る浸透率で地下浸透
(3)地下水位上昇
(4)揚水により排水(WP含む)
⇒(2)の浸透率を設定すれば、(1)と(4)の比較で水収支が比較できる。
つまり、(3)の過程を考えないでも水収支の計算が可能。それによって、間隙率などを考慮しなくても良くなりシンプルに考えられるというのが、本記事での水収支計算の特徴(但し水位変動による地下貯留水量との兼ね合いは今後検討必要)。

-----水収支の計算説明----
豊洲市場の敷地は「プールのようになっている」状態であり、東京都は敷地内降雨以外の流入は無いとしている。資料としては例えば前記事でも紹介したように、第7回技術会議(2008年11月)で、都は水の出入りを否定。
<(委 員) …周辺の地下水位より低い A.P.+2m で地下水位を管理すると、周辺からの貰い公害が考えられるのではないか。
(東京都) 街区周辺に遮水壁を設けて、水の出入りがないようにする
(委 員) 地下水位を保つために揚水するということは、有楽町層を通した水位の上昇や遮水壁の漏れ等を想定しているのではないか。
(東京都) 殆どないと思う>
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ここから、外部流入が無い場合における水の出入りの収支を考えてみる。
流出入の要因は以下になる。
流入:敷地内降雨
・流出:揚水、蒸発
⇒非常にシンプルであるが、更に緑地面積は敷地全体に対しては小さいので蒸発も除いてみると、出入りの要因は一つずつになる。

流入:降雨(敷地内)
⇒7月の降雨は「(台風前27日まで)7月6日51.5mm+7月12日1.5mm=53mm」であり、以下の数値で流入量を計算。
想定流入量=敷地面積(約40ヘクタール=400,000㎥) x 降雨量(53mm=0.053m)x 敷地全体浸透率8%(0.08) ≒ 1,700㎥ =1,700トン
流出現在公表されている中では最新の5月分の揚水量は、「約280トン/日」(ウエルポイント工(WP)含む)で、月間では約8,700トン。

「考察」
7月の降雨浸透量想定(1700トン)/5月参考揚水量(1日当たり280トン) ≒ 排水日数(6日)
⇒追加工事完了後の想定揚水能力600トン/日をフル発揮しなくても、その半分程度の揚水量でも6日あれば排水出来てしまう。

補足として以下の状況も有り。
●揚水能力:
7月は追加工事の仕上げ段階であり、5月より揚水能力が低下することは無く強化方向。今後7月の揚水量データが公表されたら、「降雨浸透量」と「揚水量」の矛盾が更に明確になると推測される。
●蒸発:
蒸発を加味すると流出が増えて、更に水収支の矛盾が拡大方向
●6月降雨:
6月も少雨傾向で、特に6月25日~30日の6日間は降雨ゼロであり、7月以前の浸透水が大幅に残留していたということにもならない
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以上
[追記]
「遮水不全が有る場合の問題点」
既に6月18日記事で記載しているので、それを再掲する。
外部汚染流入の可能性があり、環境アセス審議での『遮水は出来ている』との説明も虚偽になり、アセス条例違反状態」、また「都の市場問題PTで、液状化対策にはAP+1.8m水位維持必要と言明」など様々な問題がある。地下水管理システムの最終的な維持費見込みもハッキリしない。

また根本的に、豊洲市場で約900億円かけたと言われる汚染対策の根幹に大きな疑義があるのだから、まず原因調査が必須。そのためには再延期して調査の期間をとるしかない。移転可否を再度決定するのは、調査結果を吟味して関係者のコンセンサスを取ってからにするのが当然の対応。

----水位目標未達(外部から地下水流入)の場合の課題(6月18日記事再掲)----
①外部からの「汚染流入」可能性
敷地外は汚染対策されていない箇所も有り、汚染濃度が高い(下図参考)。そこから流入してくるのでは、汚染対策の根幹が崩れている。
また、環境影響評価書の「変更届」では次のようになっている。
P23<④  今後の地下水管理による地下水の水質への影響 本事業の計画地は準備工事として街区周縁に遮水壁を設置しており、計画地外の地下 水の移動は遮断されていることから、降雨等に伴う計画地の地下水の増加に対しては、 地下水管理システムにより水位を管理するとともに、地下水管理システムからの排水は 下水排除基準以下としたうえで公共下水道へ放流することで対応する。 また、遮水壁により計画地周辺からの地下水の流入は無いことから、新たな地下水汚染のおそれはなく、地下水管理システムにより地下水を日常管理水位に保つことで、計画地に存在する汚染地下水は徐々に回収される。 そのため、地下水管理システムを稼働させることで、計画地の地下水の水質は中長期的に改善される。>
→虚偽のオンパレード

液状化対策
”市場問題PT1次報告書”で地下水位AP+1.8m以下維持の必要性が述べられている。
P91<(5)豊洲市場液状化対策 
・・・
〇これらの液状化判定は、市場施設完成後に、地下水位をA.P.+1.8m に維持することで、 液状化しない表層を4.7m確保することにより担保されている。また、A.P.+6.5m より A.P.+2.5m までの埋め戻し土の締まり具合によっては、地震時の地盤沈下、地下水上昇 時の液状化などが問題になる可能性がある。したがって、地下水位を A.P.+1.8m 以深に維持することが必要である。>

50cmの砕石層は毛細管現象防止用であるが、水位がAP+2.5m以上になると、毛細管現象防止が効かなくなる。

④盛土再汚染懸念
水位がAP+2.5m以上になると盛土再汚染の懸念が発生する。また、実際にAP+2.5m以上の高水位が継続した箇所が多いにも関わらず、都は再汚染のチェックを行おうとしない。無責任の極み。

⑤根本的設計破綻
敷地の遮水は豊洲市場の汚染対策の根幹施策である。それが破綻しているにも関わらず、調査も行わず開場強行など全くの暴挙。

⑥維持費
ウェルポイント(WP)工やポンプの追加で、維持メンテ費用はどれだけアップするのか。特にWP工は長期運転を想定した工法ではないと思われるが、水位が下がらなければ継続運転も考慮と都側は安直なことを言っている。それで一体幾ら費用がアップするのか、また50年間も動かし続けるのか。

追記以上