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WADAさん論文概要紹介

WADAさん論文の概要をご紹介。「冒頭部分」と「考察」を引用。(なお、「赤線」・「色付け」・「太字化」などを当方で実施箇所あり)

----論文抜粋引用開始----
表題及び冒頭まとめ
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3 考察
(1)「プールモデル」の破綻
 東京都は、豊洲新市場予定地の地下水管理について、これまで「プールのようなものだと」と説明している。
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 しかしながら、本研究で見たように、積算降水量で説明のつく井戸と説明がつかない井戸が混在していることは、新市場予定地の地下が、東京都が楽観的に説明するような単純・均一なものではないことを示唆している。
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(2)遮水壁を越えた井戸の影響
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 特に、7-8観測井戸水位変動量について見ると、遮水壁で区切られた先にあるはずの6-7観測井戸水位変動量が有意に影響を与えている。降水量や地下水管理システムからの排水は独立した因子としてすでに考慮しているため、この事実は重大である。
 すなわち、6街区と7街区は道路(都道315号線)を挟んで反対側にあり(図1参照)、道路は各街区と遮水壁で遮断されているから、7街区の7-8観測井戸と6街区の6-7観測井戸とは2重の遮水壁で遮断されているはずである。にもかかわらず、7-8観測井戸に対して6-7観測井戸の有意な影響が見られるのである。

イメージ 2

また、7-7観測井戸に対する重回帰分析でも、同様に街区をまたいだ5-7、5-1井戸水位が有意な説明変数となっている。ここも道路を挟んで遮水壁が2重に設置されているのである。
 これらのことは、「遮水壁が有効に機能していないのではないか?」という疑いを持たせるものである。
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ここで疑われるのは、下記の2点である。
 ①遮水壁の工事不完全により水平に漏れが生じている
 ②遮水壁の下端が不透水層に届いていないか、あるいは不透水層が断裂していて遮水壁の下をくぐり抜ける形で水漏れが生じている

 水谷和子氏は、難透水層であるYc層が、環境省ガイドラインに反し0.5m未満の区域が豊洲新市場用地には278区画あり、「穴だらけ」であることを指摘している。これは上記②の疑いを強めるものである。
 いずれにしても、地下水の封じ込めに失敗していると考えられる以上、汚染物質の封じ込めにも重大な疑問が生じるところである。特に、都道315号線を越えた井戸の相関が見られることは汚染対策の面で問題である。なぜならば、都道315号線地下(市場予定地から見て遮水壁の外)には、汚染が残されているからである。
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(3)データの隠蔽の可能性
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 また、本研究で用いた「地下水管理システムからの排水」「地下ピット下からの排水」は、データがまとめられている。観測井戸の近くにある個々の揚水井戸でどれぐらいの揚水を行ったかは明らかにされていない。
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こうした「生データ隠しの姿勢は批判されてしかるべきだろう。

(4)本研究の限界
  本研究は、公開された観測井戸データを元に解析を行ったものである。その観測井戸データは、観測間隔が均一ですらないという弱点を抱えている。また、注目する井戸の近傍の井戸を説明変数とするモデルを採用したが、これは当該井戸の地質学的知見をもとに選んだものではない。
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地質学的知見に基づく別のモデルが登場した時には、本研究の結果が大きく覆される可能性が有る。

----引用終了----

以上