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モニタリング空間とミニユンボ、及び宮良氏関与は?

宮良元部長の反論がTVで次のように紹介されていた。
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第2次調査報告書の内容と基本的に同じだが、違うのは「盛土を行わないことは知らなかった」という主張。報告書にこの文言は無い。また、報告書によると同氏はミニユンボの絵が入った図面の作成指示も否定している。

これでは何がなんだか分からなくなる。それで表題の件だが、根本である「モニタリング空間」について整理してみる。同空間の基本目的は、地下水の水質分析。ただし、分析自体は別の場所で行われると想定されるので、観測用井戸から分析用サンプル地下水を採取するスペースになる。

採取は人手で行われると思われ、人が入れる空間が有れば良く、高さ4mもの空間は不要。高くなったのはミニユンボ作業空間のためと云うことになる。つまり、「モニタリング空間」と一口に言っても、ミニユンボ対応の有無で高さの想定が違ってくる。以下に場合分けして述べる。なお、考え方の整理用のため配管スペースは考慮していない。

(1)ミニユンボ対応無し…人が入れるスペースが有れば良く、高さは2mもあったら充分。3ヶ月毎で基本2年間だから、もっと低くても作業可能かも知れない。
(2)ミニユンボ対応有り…現状地下空間は高さ4mだが基礎梁下は2m。それに対して、2009年1月付けミニユンボのイラスト入りポンチ絵には、「ミニユンボ作業空間は高さ3mは欲しい」との注意書きがあった。しかし、現実は基礎梁高さの制約から作業空間高さ2mで設計が進んだようである。ただし、設計議事録には「トレンチ」という言葉も出てきている。これはミニユンボ用ルートを設定し、溝を掘って高さを増やす構想だった模様(最終的にはトレンチ無し)。

そして、(1)は指定解除用モニタリングのために必要となる。(ただし、自然由来の物質の問題があって指定解除は結局出来ないという長谷川氏などの話も有る。また、指定解除自体も必須だったどうか議論が有る。結果的に、このモニタリングが絶対必要だったかという点は当方も疑問あり。ただ、それは置いておく)

問題は(2)で、これまでの記事でも書いてきたようにミニユンボの必要性についてはリアリティが感じられず、実際に使用もない。それなのに上記のように、ミニユンボ用作業空間は設計上で色々検討が必要な難題になっていた。そしてミニユンボが動ける空間だから当然盛土無しになる。

結果として、(1)の地下水採取用の空間は妥当性が有る。これだけで目的が達成できるから、「モニタリング空間」と呼べる。
しかし、(2)のミニユンボ作業空間が持ち込まれたことが、盛土無しになった最大要因と当ブログは想定。そして、(1)だけで成立するのに、不要な(2)まで併せたものを「モニタリング空間」と都側は呼んでしまった。それが高さ4mの空間ということになり、話が複雑になって設計も迷走した。盛土問題の経緯を考えるにあたっては、(1)と(2)の切り分けが常に必要。

では(2)のミニユンボを持ち込んだ「発案者」は誰か。報告書で「地下空間構造図作成は宮良氏(当時の役職名で記載)」との証言が以下のように有り。発案者に一番近いのは同氏ということになるが、ご本人は否定という膠着状態。やはり、再調査必須と言うよりない。
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なお、報告書で宮良氏が主導したと特定している部分は他にも色々有るが、その中でも強烈な箇所がある。
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当該部長(宮良氏)のもとでモニタリング空間が脈々と受け継がれ、しかも「ただ一人」だから、完全な個人特定。ここまでの明記は報告書作成側の自信の表れ。それでも反論書が出た。冒頭TVの場面に戻ってみると、報告書にない「盛土を行なわないことは知らなかった」との反論が手がかりになるかも知れない。

報告書が重視する部課長会は2011年8月だが、同年11月2日実施設計議事録(昨日追記を再掲)では案1と案2がある。
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日建設計は案1と2の説明に入る前に、「床下を土で埋め戻すことはそもそも考えていない」と述べている。そして両案説明後に案1で進める方針にしたいと発言。その後結果的に都側も了承して盛土無しになって行ったという流れが推察出来る。

しかし、もし案2だと2層式に出来そうにも思える。つまり、案2は日建の技術提案書のように、1階床下は配管スペース(及びモニタリング空間)で、その下に盛土も可能。こう考えると8月28日部課長会後も、まだ盛土有りの可能性は残っていたのかも知れない。それで宮良氏は「自分は盛土無しを決めたわけではなく、盛土無しになったのも知らなかった」という主張なのだろうか。しかし、同氏退任は翌年2012年7月だから、それまでに盛土無しを認識する機会は充分あったとも思える。

これらの経緯は盛土問題の核心になる可能性があり、解明が必要。宮良氏もTV取材に応じるぐらいだから、ヒアリングもOKだろうし、是非PTで詳細調査を行って頂きたい。これをスルーしたら、豊洲問題の調査は腰が引けているという評価を受けてしまうだろう。また、報告書と真っ向対立する宮良氏の公式反論を検証しないなら、報告書の信頼性は崩壊する。

以上
[追記]
第9回技術会議の資料が、先月9月16日に黙って追加アップされていて問題になった。その責任で当時の市場長の更迭なども行われた。ただ、何故そのようなアップが行われたかは理由が定かではなかった。その理由を示しているかも知れない映像があったのでご紹介。TV朝日のモーニングショー。
豊洲新市場の地下空間は汚染処理用に!!? ”そもそも総研 2016年9月15日放送

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TV朝日の取材で、第9回技術会議議事録に非公開部分が有ったとのこと(上図右下)。非公開部分に「技術会議が独自に提案した事項」(実際は都側作成)の資料を配布したことが書かれていたのではないか。公式の議事録にはその部分はない。地下に構造物など作らないと思っていた技術会議委員から、当該資料の審議や採択を拒否されたので議事録公開分から削除していたのではないかと推察。

これを踏まえて、追加アップに至る都職員の行動を善意に解釈してみる。
”盛土問題発覚で議事録を精査した→第9回分に未公開部分が見つかった→書かれていたのは「技術会議が独自に提案した事項」の資料配布→情報公開徹底のために未公開資料を追加アップ

一応辻褄は合うように思える。或いは、もう一つの解釈として、都側はTV朝日の取材に未公開資料の存在を回答したため、一社だけの情報にならないよう急いで公開することにしたか。

何れにせよ疑問は多いと思うが、TV朝日の放送では「議事録非公開部分から」となっていたのは事実。皆さんはどうお考えになるか。

追記以上