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「建築分科会」議事録に「モニタリング空間中止」有り

実施設計の議事録で2012年1月15日会合において、「モニタリング空間の中止」という記述がある。

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表題は「建築分科会」となっている。これまで取り上げてきた実施設計の公開議事録は「定例会議」や「建築・設備分科会」があったが、連携はどうなっていたのだろうか。

中味の方は、「モニタリング空間中止」が明記されると共に、それに伴う「引き渡し地盤レベルの変更」として以下のレベルを日建側が要請している。
 ・5街区…AP+2.5m→AP+4.5m
 ・6,7街区はAP+2.5m→AP+4m

また、「砕石層の上の盛土をどの段階で施工するか」の記述もあり、盛土する認識は明確だった。結果的に日建設計の技術提案書の以下推測仕様とほぼ同等という形だろう。
 ・配管スペースは1階床下で高さ2m程度
 ・配管スペースの底面はコンクリートで、観測用井戸設置
 ・配管スペース下は2m程度の盛土で、杭基礎を設ける

当ブログでも、同様の仕様が妥当と考えてきた(基礎や配管がある状態での盛土不可能の話は別…この辺がややこしい)。
そして「建築分科会」として、建築的に納得性がある仕様を考えたら、こうなるのだろう。当ブログで重視してきた、「本来あるべき設計とは?」という観点からも、専門家が真っ当に考えた結果の仕様なのだと思う。

しかし、結果的に「モニタリング中止」は何処かの時点で撤回されたことになる。それがいつかは不明。また、この「モニタリング中止」が出てきた経過については、それより前の建築分科会等の議事録を見てみたが、中止につながる議論は見当たらなかった。配布資料にある『構造関連打合せ資料:土木工事発注図』が関係している可能性がありそうだが未公開。
やはり、都側の調査は、まだ不十分。これで幕引きでは禍根を残すと思う。

なお、公開資料の中に以下が有る。基本設計にあたって検討事項を都側が示した資料で、設計与条件相当になると考えられる。
この中で、何と「モニタリング空間」が課題①としてトップに挙げられている。
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ミニユンボや出入口(マシンハッチ)の件も入っており、技術会議で否定された「地下空間の利用検討」まで残されている。しかし、指定解除用モニタリングは2年間予定で、本来は前述のように配管スペースとの共用も可能。ミニ重機は結果的に使わておらずリアリティなし。地下空間利用も現状仕様は全く考慮されていない。とてもトップ項目に来る話ではない。
この期間はM部長が「新市場整備部長」で、引き続き豊洲移転検討の組織長だった。その意向を部下たちが忖度し、課題①につながったことは考えられるのではないか。

また、なかには「専門家会議提言を周知もせずに反故にするのは問題」と考える担当者がいたであろうことも当然で、葛藤・逡巡や紆余曲折があって当たり前。都側は経緯をもっと深く再調査すべき。

以上
[追記]
昨日小池氏が発表したロードマップは、予想通り手続き面の説明のみに留まった。
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この中では、やはり専門家会議がポイントで、ここが評価結果を出さないと、ステップ1も越えられないことが明確にされた。ちなみにPTの方は、構造安全の日建マンセーで実質終わりだろうから、余り影響ないかも知れない。

ただし、建築面の対応が必要になる可能性があるのがステップ3で、「必要な追加対策工事」となっている。実際に必要になるかどうかは不明だが、当ブログで指摘してきたように、「現状のままでは専門家会議でOKされないのではないか」という懸念を小池氏周辺も持っているようだ。

専門家会議提言は、先日記事で紹介したように揮発性汚染物質や土壌汚染に対する盛土の効果を明記。勝手に提言を変更された形になった現状の「盛土なし」状態を「可」とするなら、長時間かけて検討した成果の重要部分を「無」とするに等しくなる。当方から見ると、受け入れられるとは思えない。何らかの対策や改良案が求められる可能性あり。同様のことを小池氏周辺も考えてステップ3を入れたと推測。

また、ステップ2は環境影響評価で、短くて1、2ヶ月、やり直しなら15ヶ月との期間を小池氏は説明。これについては、11月2日記事で示したように、盛土は汚染物質遮蔽に影響するし、地下水管理の問題等もあって、とても1、2ヶ月で済まないのは自明。ただし、15ヶ月もありえないだろうから、ざっくり半年程度が目安か。

結果的に開場時期は、例えば来年9月も昨日記事で言及した7月都議選への影響もあって困難と思える。年末年始の繁忙期も考えれば、早くて再来年2月以降。これでは様々な影響が出てきて非常に深刻な事態。現状全肯定派は、問題を矮小化しようとしているのと同じであることを、これまで書いてきたが、今後はどのような主張をされるだろうか。延期期間の短縮か。それは専門家会議の動向次第。或いは、「現状空間は盛土有りより優れている」という主張を続けて、すぐに「現状で問題無し」という結論が出なかったら専門家会議を非難することになるのだろうか。

小池氏ロードマップで長期化することだけは示されたから、マスコミや世間は沈静化していくだろうが(諦めの境地)、専門的に見ていくと注目点は数多いと思う。

追記以上