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日建設計による「盛土不同意」があった

都側と日建設計との打合せ議事録も公開されて重要な事が分かってきた。
特に、実施設計の打合せにおいて、日建設計が盛土をしない選択を都側に伝えた場面が2つ見つかった
日建の技術提案書では盛土必要性を認識していたのに、実際の設計担当者はその意識が薄かったのかも知れない。盛土問題では第一義的に都側が悪いが、日建側も共同責任は免れそうにない。ただし、追求は無いままで終わるだろうから、新国立競技場ザハ案の時と同じく見事に逃げ切ったということになりそう。
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■1回目…2011年11月2日議事録(報告書で言及なし)
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■2回目…2012年5月30日(報告書も言及あり…但し「揮発性汚染物質拡散効果」の話は無し
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なお、上記はそれぞれで次の理由を挙げている。
■1回目…メンテナンス(配管スペース)及びバックホールート(ミニユンボ)、床下換気(採用されず)
■2回目…設計進行し後戻り出来ない、埋土で工期延長の懸念

ただし、当ブログでは、「建物下盛土の困難性」として以下の2段階の困難さを考えていることは、これまでも記してきた。
(1)基礎の形状に合わせた隙間のない盛土作業(相当の手間がかかると思われる)
(2)見た目で隙間が無いだけでなく、揮発性汚染物質が通る隙間も無いこと(一様な土壌における土の粒子間の空隙ではなく、(1)で土を詰めても、なお構造物との間に残る微小な空間の問題…実質的に発生は避けられないと思われる)

何度も盛土有りにする機会がありながら、結果的に盛土が選択されなかったのは、(1)(2)が潜在的理由と推察。もし盛土が容易なら、都側担当者は出来れば提言を無視したくは無かったと思われ、何処かの時点で盛土有りに変えていたのではないか。ただ、これは当ブログの仮説としておく。

なお、2回目では、都側から盛土有りにしたい要因として「揮発した汚染物質に対して、拡散効果が得られる」との説明有り。(竣工後10年以降ポンプアップ中止の方はコメント欄のやり取りにて記述)
つまり、都側は、揮発性汚染物質の遮蔽必要性と、それに対する盛土の効果を認識していた。盛土必要性について提言に沿った理由を挙げていたのだから、この時に日建が同意していたら、或いは都側が説得出来ていれば盛土有りに変わっていた。全く惜しいチャンスだった。

日建は工期延長懸念を持ち出している。都側は、それを言われると弱いのは分かるが、盛土無しでは結果的に、これだけの大問題になるのだから、やはりもっと押すべきだった。(但し、上記のように潜在的に困難という課題はあった…全面盛土には「高床式」が必要だろうが、これも種々の制約で困難だった)

結果的には2回目時点で都側も盛土無しを承認した形になっており、日建側が前述のように工期延長懸念を挙げて「盛土無しの与条件で進めたい」と要請したことが大きな動機になったと思われる。ただし、何時の時点で「与状件」になっていたのだろうか。

関連すると思われるのが1回目で、日建側は「床下を土で埋め戻すことは、そもそも考えていない」ときっぱり述べている。これは見逃せなくて、前述のように技術提案書段階では盛土の必要性を認識していても、設計担当者に上手く伝わっていなかったのか。

だが、基本設計段階の議事録を見てみると、都側作成の土壌汚染対策図を日建側が改変使用して説明していた

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つまり、設計担当者も盛土必要性を知る立場にあった。それなのに都側の変更打診があっても、盛土無しで押し通したことになる。PTで、昨日記事のM部長と、日建及び都側担当者を呼んで、更にヒヤリングして深い真相まで解明すべきではないか。(結果的には、やらないと思うが、これだけの問題の対応として、このまま処分だけして終わるのが妥当か)

以上
[追記]
以下のようなツィートがあった。
豊洲移転は、現時点では早くて来年9月という見方でまとまりつつあるようですね。2月はもとより、5月も難しいだろうと。>(豊洲市場担当記者@日刊食料新聞

→真偽は不明だが、業界関係記者ということになるから、傾聴には値すると思う。実際11月を待たずに基準値超えが出て盛土問題も有るから、従来の来年1月決断→5月移転の線は、もはや困難という見方は妥当性が有るだろう。そうなると9月は次善の策的な選択肢になる。

ただし、引越し準備期間を考えると、5月か6月には決断必要。先日も述べたように手続きが色々あるので、果たして間に合うか。相当厳しいようにも思える。
それと、この時期まで行けば一番課題になってくるのが都議選との関連。これだけは市場関係者が「俺達には関係ない」と幾ら言っても、政治家も選挙はまさに死活問題。

9月開場を決めて準備期間中に7月都議選では、真っ向から争点になってしまう。移転反対を唱えてきた共産党には非常に有利だし、他野党も共闘で同調の可能性あり。更に「小池新党」は出来るかどうか分からないにせよ、「親小池」の候補を立てることは確実。その候補者たちが、豊洲移転賛成では共産党などの主張に押されて戦いにくいと思われる。このような理由で、都議選を避けて、もっと先送りする可能性があると当ブログでは見てきた。

また、都議選で万が一野党過半数になったら移転中止や再延期も有りえることになり、市場関係者に又迷惑をかけるかも知れないというのも重要な判断ポイント。
「近々にロードマップを出す」と先日会見で明言。果たしてどのようなものが出てくるか。

なお、8月で基準値超えが出たので注目度が下がった感もあるが、1月判断の場合の最大要因であった「11月の測定結果」も流れを大きく左右する可能性がある。
①基準値超え無し…早期移転を求める声が強まる
②基準値超え有り…例えば再モニタリングのために2年延期などで、判断まで時間がかかる可能性が高くなる(逆に言うと判断までの時間は更に稼げる)

加えて地下水位の問題が有る。下表のように10月17日本格稼働しても顕著な改善は見られず、達成必要値まで程遠い。

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これも致命的問題で、まず予定の開場に間に合っていない。地下水管理システム受注会社も含めて、責任と原因究明はどうするのか。マスコミも何故か追及が甘い。大幅改修が必要になったり、基本設計に近いところまで見直しとなったら、これだけでもどれぐらい時間が掛かるか分からなくなる。

なお、システム開発の感覚からすると、この状況は根本的な設計に問題があってもおかしくないレベル。ただし、原因が究明出来れば対策は早いという場合もあり得る。それなのに調査や対策をしているという話さえ聞かないが、迅速化の指示必須。少なくとも「ロードマップ」提出までには、原因や必要なら改修等のスケジュールも分かっていないと、意味の無いものになりかねない。

追記以上