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ホテル三日月の客室間取りと会議可能性

昨日ようやく舛添知事が辞職を表明した。
それに先立つ6月13日の総務委員会集中審議終了後、知事は次のように述べたとのこと。
時折、涙で声を詰まらせ「子供たちのことを考えると、今でもやめたい」と情に訴えた。

しかし、家族旅行に行ったホテル三日月で会議(面談)をしたという言い逃れは、同じ部屋に宿泊した子どもたちにも容易に虚偽と分る(虚偽の根拠は後述)。父親が嘘をついて誤魔化そうとしていることが、子どもたちにとっては一番つらいのではないかと当方は推測してしまう。

また、知事が「知っていることは包み隠さず話します」と公言しながら、肝心の面談した相手を言わないという姑息な隠ぺい手段を取ったことは都民・国民に対する大きな背信だが、辞職で真相が明らかにされないまま幕引きになりそうな状況。百条委員会も自公民の反対で設置されなかった。

それで当ブログでは当初から注目してきた「ホテル三日月問題」の虚偽性を検証しておくことにする。
当初の週刊文春報道後の5月13日記者会見時は、舛添氏もまだ警戒心が薄かったようで、色々不用意なことを適当に述べていた。まず同氏が語った会議(2014年分)の目的と内容は以下のようだった。(東京都HPの知事会見録より)

平成26年1月2日なのですが、これ、日にちを見ていただければ分かりますが、その数日後に都知事選挙に手を挙げたわけです。それで、要するに、いつまでに手を挙げないと間に合わないという、これ、のんびりしていたらもう立候補期限が切れます。

それから、支持してくださる政党がどこだと。それから、特に公約です。どういう公約で、手を挙げるなら、立候補するならどうだということをやらないといけません。ものすごく緊急かつ重要な案件であるわけです。

ただ、この日ぐらいしかやる日がないと。ただ、せっかくの1日、2日の正月の休みで、子供たちに約束をしておりましたので、そこは取って、それはちゃんと行きますと。

ただ、非常に政治的に機微にかかわる話ですから、会議室を取ってやるようなことではなくて、大きなお部屋でありますから、そこで、それは1時間だったか、2時間だったか、終日だったか、ちょっとよく記憶しておりませんけれど、懸案のことを、公約はこうしましょうと。例えば自民党との関係はこうしましょうとかいうようなことも含めて、これはもう当然やらないといけないので、そういうことをやっていたと。

これに続いてホテルの部屋に関して記者から質問があり、以下のやり取りがあった。
【記者】どんな部屋に泊まられたのですか。
 【知事】結構大きな部屋だったと思います。4人が泊まれますから。
 【記者】何か会議室みたいなのがあるのですか。
 【知事】二つか、三つ、部屋があったような。ちょっと今、完全に記憶しておりませんが、とにかく数人いて議論することは十分できるスペースはあります。

このような話を踏まえた上で、客室の間取りについて検証してみた。まず、当方は「リゾートホテルの客室で重要な会議を行うか?」と云うことで当初から疑問視していた。ただし、会議の相手としているのは「(事務所代表の)奥さん」であろうと推測していたことと、客室の間取りは宿泊でもしないと分らないのではないかと考えていたために其のままになっていた。しかし、今回調査してみたところ、ホテル三日月のHPに特別室の写真が明確に掲載されていた。その間取りをまとめて示す。

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Bが「リビング」となっているが、観光ホテルではよくある窓際の簡単なテーブルと椅子のセット。後は和室の座敷(A)と洋室のベッドルーム(C)。舛添氏が海外視察で宿泊したであろう超高級ホテルの「スイートルーム」とは違って(笑)、「特別室(デラックスルーム)」と言ってもこのような形態である。

似たようなホテルに泊まった経験がある人は多いと思われ、雰囲気はすぐ掴める。マスコミや都議会が、この間取りを大きな写真にして示し、「会議が行われたのはA・B・Cのどこですか?」などの質問していけば容易に追い込めた。

Cのベッドルームで会議は非常識だから、AかBということになって、どちらかと云えばBになる。しかし、Bにしても都知事選出馬の検討や公約という非常に重要な内容を話し合う場とは、とても思えないことを都民・国民の多くもすぐに分ってしまう。つまり、虚偽説明だったことは大部分の人にとって明らかになる。

舛添氏自身もよく分っているから、二つか、三つ、部屋があったような。ちょっと今、完全に記憶しておりませんが、とにかく数人いて議論することは十分できるスペースはあります。と曖昧にした。しかし、写真を見せて確実な間取りを基に、「実際にどのように行なったか?」を聞いていけば、すぐに説明に窮していただろう。猪瀬氏の時のような再現を求めることも出来た。会議で公約まで考えたというのだから、公約が作られた経過やメモはどうしたのか?などを聞いていくこともできる。当然ボロが出て来る。

それでも会議をしたと強弁しようとしても、正月旅行で奥さんと子供二人の家族も一緒だった。都民・国民は「そのようなシチュエーションで進路を決める重要な会議を行うはずがない」と見抜く。しかも、AとBはつながっているから、会議をするなら家族、特に子供は何処かに行っていて貰うことになる。しかし、実際には外部の人は来ておらず、会議が行われていなかったことは子供たちがよく分っている。前述のように、父親の嘘に子供さんが一番悲しい思いをしているのではないか。

結局、間取り写真を示して詳細に状況確認の追及をしていけば、舛添氏がどう言い訳しようが、世論が嘘を理解して迅速に決着がついていた。だが、集中審議で鋭く突っ込んだ共産党もそこまでやれていなかった。マスコミや都議が適切に追及していたら、5月にも辞任表明に持ち込めて混乱はもっと短く済んだ可能性もあるだろう。メディアスクラムのようになって連日報道が行われ、都議も各会派で集中的に取り組んだにも関わらず、肝心なところの追及が抜けていたことになる。調査・検証手法の再検討が必要と思う。

なお、6月13日の総務委員会ではホテルで面談したと舛添氏が主張する会社社長の件について、以下のようなやり取りがあった。
----総務委員会抜粋開始----
--2010年1月の面談について。社長には、誰がいつ、ホテルに来てほしいと連絡したのか。 
 ◆今のところ、どういう形で連絡したかはつぶさに覚えていない。 
 --連絡方法は、どういう方法をとったか。 
 ◆今、まったく、どういうふうにやったか記憶にございません。 
 --知事の相談者は、どういう交通手段で来たのか。こういう事実も答えられないようでは、面談があった事実も信じられない。 
 ◆それも、どういう手段で来たかは、私はたずねていない。 
 --正月に、大変世話になった社長を呼んでおいて、どういう方法で来られたかもわからない。交通費などは、呼んだ側が支払うのは当然だと思うが、そういうことも一切なかったのか。 
 ◆友人であるから、交通費をこちらで払うというのはない。 
 --お願いしてわざわざ正月に来てもらって交通費も払わない。こういう話は信じられない。社長はどういう服装で来たのか。 
 ◆これも細かく覚えていないが、ラフな格好で来た。 
----抜粋終了----

ホテルはJR木更津駅から直線距離でも約4.5Kmあり、道沿いに行くと5~6kmはゆうにあるだろう。

イメージ 2

徒歩で行く場所ではなく、基本的には東京や横浜からならアクアラインを使って車ということになる。仮に木更津駅利用だと、駅前からタクシーか送迎バスになる。結果的に交通手段の話は重要になり、舛添氏の言うようなどういう手段で来たかは、私はたずねていないなどと云うことにはならない。例えば、車の場合には「混雑は無かったか?」、電車なら「時間がかかったでしょう」などの話題が出る。

また、会社社長がマスコミが目星を付けた競馬関係の人物であれば、自家用車を持っていて自分で運転するかどうかを調べておくべきだが、そのような情報は出てきておらずマスコミの調査不足と思われる。それを調査した上で、舛添氏に「相手の方は自家用車を持っておられるか?」という質問が必要だった。そして、車にせよ、電車にせよ、どういう手段・経路で来てもらうかの事前調整は必須であり、記憶に残る話。秘書に調整させたというのなら、秘書の証言や記録等で確認できることになる。

結果的に舛添氏がラフな格好で来たと服装についてはコメントしても、「携帯電話等の連絡」や「交通手段」について記憶にないとしたのは深い意味があって、既になされている告発や設置が考えられる百条委員会への対策と思われる。携帯電話の通話・メール記録や移動時のETC記録等は検証可能だから、後日の検察や都議会の追及に対して尻尾を掴まれたり偽証にならないための配慮。

つまり、「包み隠さず話す」「説明責任を果たしている」と言う裏で、自らが罪に問われないよう都合の悪い部分は隠蔽して発言を組み立てていた。やはり舛添氏は大した食わせ者と思うと同時に、言い逃れに惑わされず批判を貫いた今回の世論は慧眼だったと思う。

以上