ホテル三日月問題の新たな事実報道
舛添知事の問題に関して、前記事(5月20日)でホテル三日月問題が最重要と言うことを書いた。その後同記事のコメント欄に[自己補足]として状況をメモをしながらウォッチしてきた。
このところマスコミも同問題を重点的に取り上げてきているが、今朝はフジテレビ「新報道2001」で詳細な調査報道があった。「喫茶店18,000円領収書のたまごサンド」と舛添氏がホテルで面談したと主張する「元新聞記者の出版会社社長」を調査していく中で、両方の流れから「翻訳会社のやり手女性社長」という新たな関係者が浮かび上がった。そしてフジは出版会社社長について「昨年11月に亡くなっている人物」と目星を付けている(競馬関係の出版、氏名は出さず)。
舛添氏・出版会社社長(故人、Aとする)・翻訳会社女性社長(Bとする)は相互に以下のような関連がある。
・Bはたまごサンドが届けられたという舛添氏の早朝勉強会の会場を管理
・会場はAの会社の(貸)会議室で、会社自体も同ビルにある
・Aの会社の取締役にBの名前がある
・Aの葬儀はBが取り仕切った模様
・Aの葬儀には舛添氏も列席している(連載も持っていた)
・舛添氏の活動実態のない政治資金管理団体の会計責任者にBがなっている
・舛添氏の著書「孫文」の翻訳をBの会社が行った
相当密接な相互関係があったようである。
更にフジはAに関して、行きつけだったという小料理屋の女将から「正月は横浜の自宅で家族と過ごすということだったから木更津へは行かないと思う」、「政治に興味が無かった(=舛添氏と政治の話をするとは思えない)」というような証言も取っていた。
一連の内容の中で当方が最重要と感じたのは次のこと。
舛添氏はAだけでなくBの名前も弁護士に伝えたと思われる。弁護士たちは同氏とBの話を聞いて「Aとの面談が有った」と判断したことが想定され得る。しかし、舛添氏とBが話を合わせていれば実際には無かった面談を作り上げた可能性も出て来るが、依頼された弁護士はそこまで追求しない。
本当の実態がどうだったかは、肝心のAが故人だとしたら曖昧にならざるを得ない面はあるが、この報道が明日の総務委員会の前に出たのは大きい。都議たちは調査能力が弱いから自らで詳細情報は得られないが、フジの報道内容などを元に一つ一つ問いただせる。
後は舛添氏が、まだ虚偽を連ねて粘り続けるかどうか。ただし、根本的には会議が無かったとすれば、あった証明はどうやっても出来ないから、いつまでも追及されて窮地に追い込まれ最終的には逃げ切れない。その間にどんどんダメージは膨らんでいくので、早く決断した方が得策。
頭が良いと言われている舛添氏は合理的に判断して、先月段階で辞職を決めているものと当方は推測してみていたが、同氏の自己中さは想像を遥かに上回るレベルだったようだ。「学力」と「合理的判断力や人間性」との関係性などについて改めて色々考えさせられる事態になった。
なお、先週金曜日の会見でホテル三日月問題について舛添氏は以下のように述べている(産経新聞記事より抜粋)。
--抜粋開始--
《続く質問は、政治資金の「公私混同」疑惑の発端となった平成25年1月、26年1月の千葉県木更津市のホテル宿泊についてだ。調査報告書によると、舛添氏は元新聞記者の出版会社社長を部屋に招いて26年の都知事選への対応などについて相談したが、相談時間は25年は数時間程度、26年は1時間程度にとどまったという。社長の名前は公表されていない》
--木更津のホテルに泊まった会社社長は、その方が名前を公表しないでほしいと要望しているのか
「何度も申し上げましたが、相手のある話で、新聞記者出身の方で出版社をやってられる方で、長い付き合いですが、プライバシーに関わることで、申し訳ないけどご容赦願いたい、とそういうことです」
--あちらの要望なのか
「あちらのことも含め、全体の…。私の配慮というより、相手方のことです」
--(社長が)架空の人ではないかと思っている人もいるようだが、氏名以外で、その方がいたという記録…手帳や領収書の人数で証明できないのか
「それは弁護士の先生方に問いただされました。私も調べました。しかし、残念ながら、領収書も出てこないんですね。弁護士の方もかなり厳しく(関係者に)ヒアリングなさったということで、先生方の調査はしっかりしたものだと思っていますが、さまざまな疑念があることも分かっていますが、容赦願いたいというのは、そういうことです」
--弁護士には(社長の)氏名を伝えたのか
「そういうことです」
--集中審議で、調査結果にとどまらず、自らの言葉で説明したいということだが、知事が今までの答弁から踏み込んだことを説明してくれると期待していいのか
「ご質問なされたことには、しっかり答えたいと思います。まさに、ラストチャンスという言葉をいただきましたので、真摯に自分の知っていることを、包み隠さずお答えしたい」
《6日公表された調査報告書では、いずれも元新聞記者の出版会社社長との政治的な面談はあったものの、実態としては家族の正月旅行で「不適切」支出との指摘を受けた》
--出版社の社長について、説明責任を果たすなら、知事が先方を説得して名前を明かすなり、匿名でもかまわないのでインタビューに応じさせることも必要ではないか
「よく分かります。そういうことにトライしてみようと思います。ありがとうございます」
--問題発覚から、出版社社長と話はしているのか
「全くしていません」
--問題が表面化して1カ月くらいたつが、全く話していないのか
「関係の方を通じてお話しております」
--どのように答えているか
「今のところはちょっと、プライベートがあるので」
《舛添氏が家族同伴で宿泊した千葉県木更津市のホテルについての話題に移る》
--木更津市について、事務所関係者らと会議したといっているが、調査結果は出版社の社長となっている。これも当初の説明とかなり相違しているが
「おっしゃる通りです。ただ、非常に親しい関係ですから、議会で答弁を申し上げましたが、最初から名前は出せないにしても、出版社とは伝えても良かったと思っています」
--当初の説明に嘘があったといえるのではないか
「意図的に嘘をついたということはございません」
--弁護士はどのように事実確認をしているのか
「私は答える立場にはありません。この資料を持って来いとか、そこは弁護士の判断ですから、私がとやかく言う権利はないと思います」
--事務所関係者と記憶を呼び起こしながら調査をしたのか
「ヒアリングというのは、そういうものだと思います」
--知事の記憶を基にした調査結果について、信頼性はあるのか
「記憶だけではなくて、資料を提出し、私以外の関係者からもヒアリングをしております。私も100%記憶はないので、あらゆる角度から調査をされたということだと思います」
「この前、弁護士が調査結果公表の中で言っていたかと思いますが、私が相手方にヒアリングしてくれと言っちゃいけないんです。そういうことは禁止されておりますので。そういうことを言う権利は私にはありませんから」
--舛添知事側のヒアリングをうのみにした調査報告書ではないのか
「私にそれを問われてもお答えできません。調査したのは私ではありません」
《質問は再び、千葉県木更津市のホテルで行われた会議の相手とされる元新聞記者の出版会社社長との関係に及んだ》
--社長は忙しいのか
「そういうことも含めて、それ以上詳しいことは差し控えたい」
--これだけ話ができない理由は、面会者が亡くなっているのではないか
「色々な疑問があるかもしれないが、相手方があるので控えさせてほしい」
--(ヒアリングを受けたという社長の)周囲の方というのは、舛添氏が紹介した人なのか
「私は名前を伝えているので弁護士の先生が調べたのだと思います」
--その人は社長の家族か
「家族ではない。それは確かだが、それ以上は言えません」
--木更津市のホテルで面会した出版社社長は、舛添氏と長い付き合いであり、2年連続で正月に面会しているにもかかわらず、調査報告書の飲食費の一覧に登場していないようだが
「飲食費の欄では『事務所関係者』とか『マスコミ関係者』とか『支持者』とか、そういう書き方をしていると思います。明確に名前を書いている場合もあるが、そうでない場合もあります」
--表記は統一していないのか
「私が書いたわけではないので表記とかは私がとやかく言う立場にありません。調査なさった弁護士に問うてほしい」
--飲食費の欄に社長は含まれているのか
「当然そうだと思います」
--一覧に入っているのか。どういう表記で入っているのか
「いろいろな政治の話もするので、当然何度も面会しています。不適切な食事ではなく、関係者やマスコミとも議論をします。当然そういう方も入っています。お読みになれば分かると思います」
--出版社社長についてはどう書いているのか
「どう書いているかは分かりません。書き方がいいかどうかを私がとやかく言うことはありません」
--普段、論理的な知事が、出版社社長については論理破綻している、最初は「相談している人」と現在も相談しているかのような言い方をしていた。その後、「(氏名公表は)相手が勘弁してくれと言っている」「1カ月近く話していない」とも言う。どうも矛盾しているように思われるが
「表現が分かりにくければ謝りますが、氏名などは伏せていますので。直接相談するだけでなく、間接的なことも含めて相談していますので」
--その社長はヒアリングには応じなかったのか
「それは弁護士さんに聞いてください」
--自分の疑惑について証言をしてもらえないのか
「依頼者の私がこうしてくれ、ああしてくれ、ということ自体が調査の公正性に関わるので何も言えません」
--千葉県木更津市のホテルの私的利用問題に関して、ホテル側に領収書を再発行していただき、公表してもらえないか
「基本的には政治資金の扱いについては問題ないと調査結果が出ており、現在ある領収書で十分だと思っています」
「なかでも私が(弁護士に)お願いしたのはさまざまな疑問を呈されていることについては、しっかりとやっていただきたいと伝えた結果なので、そういう判断だと思います。調査をなさり、報告書を書かれたのは弁護士なので、そちらにお問い合わせいただければと思います」
--抜粋終了--
「問題発覚から、出版社社長と話はしていない」など明らかにおかしな話が多い。また、故人だとすると「関係の方を通じてお話しております」という話は矛盾してくる。更に「インタビューに応じさせることも必要ではないか?」と問われて、 「そういうことにトライしてみようと思います」とまで答えている(笑)
結局「真摯に自分の知っていることを、包み隠さずお答えしたい」と言いながら、当然知っている当該社長の名前を言わないという完全な矛盾がある。そして「自らの言葉で説明したい」と言いながら、その中身は「自らが弁護士の報告内容を説明している」と云うだけのこと(笑)
明白な詭弁だが、都議会は矛盾を的確に突いて真相を引き出せるか。
以上
[追記]
舛添氏の「真っ赤な嘘」は当初からの予想通り、結果的には通用しないと思われる。関連して考えてみると、新国立競技場問題にも「隈健吾氏の真っ赤な嘘」という問題がある。「全く違う」と言い切っているが、こちらは通ってしまうのだろうか。今は都知事問題に隠れてしまっている感があるが、ZHAとJSCの交渉は5月を過ぎても決着したという話は出てきていない。
また、基本設計完了も6月中旬まで延びたとのことだが、隈氏が「人工地盤廃止」に言及したとの話もあり、そのような大変更が本当に行われるのなら全体はどのような形になっているのか。
追記以上