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「上林功」氏 昨年12月産経新聞記事

昨日記事でZHAの位置づけに関する上林氏コメントを引用した。前段と後段の表記を入れて再掲する。
<(前段)ZHAの立場はデザイン監修の立場でありながら実質上、設計チームの要として機能していたことは日経アーキテクチャ他記事で認識しています。加えてザハが設計に携わっていたことは提示いただいている記事の通りかと思います。
(後段)一方「デザイン監修」という立場がJSCの都合のいい契約を成り立たせているとも考えています。言い方は悪いのですが、ザハはいいように使われながら設計JVに権利が蓄積される仕組みが構築されていたと考察しています。>(4月15日)

前段は実態と合っているが、後段は「JSCがZHAにデザイン監修の立場(契約)のまま設計業務もやらせて成果や権利を上手くいただいた」ということになり、相当無理な解釈。また同氏から頂いた他コメントも当方の認識と真逆になっているものが多い(というか殆どそう)。
全体として同氏コメントには大きな違和感を覚えたが、「違和感あるところに理由あり」という当方モットーから、理由を考えてみると以下になる。
 (1) 実態と逆になるような特異な発想の仕方をされている
 (2何か裏が有る

今までの経験で(1)の場合も無いわけではないが、今回は分りやすいと思える実態にも真逆の認識を示しておられる。しかも調べていくと、これまで紹介してきたように上林氏の見解が事実と違う証明資料が幾つも出て来ている。それでも(2)は迂闊には言えないから、結局(1)と(2)を五分五分で考えていた。
そうしたら同じ産経新聞で、昨年A案決定が発表された翌日の12月23日に同氏のコメントが入った記事が出ていた。
<採用されたA案のスタジアムは、選手や観客にとってどのような競技場になるのだろうか。
 プロ野球広島の本拠地、マツダスタジアム広島市)の設計に関わったスポーツファシリティ研究所(東京)の上林功代表は「観客が臨場感や一体感を味わえるように、よく工夫されたデザイン」とみる。>

きっちりA案のフォローに回っておられて、次のように具体的理由も挙げておられる。
<上林氏が図面寸法から計算したところ、スタンドの最上段席とフィールドの端を結ぶ直線距離は、A案が約79メートル、B案が約85メートル。A案の観客席全体がフィールドにやや近い結果となった。>

これは計算できていないが、当方が更に注目したのはそれに続けて書いてある以下の理由。
<選手に気配り
 主役となる選手にとっても、気の利いた造りになっている。例えば陸上競技では練習用に使うサブトラックから、スタジアム内の更衣室までを最短距離で結ぶ。

上林氏の発言とは明確に書いてないが、スタジアム設計家ならではの着眼と推察される。ただし、サブトラックからの通路はザハ案とB案にも同じような位置に存在する。まずザハ案とA案を比較。

イメージ 1


何と連絡通路の形状が類似している(笑) 上林氏により類似点が追加された形。そしてA案は確かに更衣室が通路からすぐ近い位置にある。ただし、ザハ案も同位置が「競技関連機能」となっていて、詳細は書いてないが更衣室の可能性も考えられる。
B案も見てみる。
イメージ 2

連絡通路の形状がザハ案・A案と違っていて、この両案の類似性を浮き彫りにする。また、前述のように「A案は更衣室が連絡通路に近い」ということを特徴に挙げているが、「B案は食堂が近い」。どちらが選手にとって気が利いているかは、一概に優劣つけがたいのではないか。
この記事も含めて考えると、当方個人的には上記(2)の可能性が高まった。それで4月13日記事にある上林氏経歴を見ると<早大大学院スポーツ科学研究科博士後期課程に在籍>となっている。調べてみると同大学のM教授ゼミに所属しておられる。

ゼミ生だと学外発表に際しては教授に何らかの形で確認を取ってから出していると想定される。M教授は建築がご専門ではないようだがスポーツ政策専門家ということで新国立競技場に関しても発言しておられ、遠藤大臣が行った意見交換にも参加しておられた。そのM教授が昨年”週刊「世界と日本」”という雑誌に新国立競技場の件を書いておられた。

記事の内容は見れていないが、この雑誌を発行している「内外ニュース」は時事通信社を立ち上げた保守派の言論人が創業していて、保守系の雑誌と思われる。つまり、現政府や自民党とのつながりが深いと想定される。そして同じく保守系産経新聞
こうなってくると、だんだんつながりが見えて来た気がする。此処からは当方の推測と若干の思いを記す。
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上林氏の昨年12月23日記事は、A案決定の翌日と云うタイミングで、しかもスタジアム設計家ならではの細かい点を捉えてA案決定をフォロー。4月13日記事も「ZHAの主張する著作権に効力があるか?」という主題で、著作権の有効性と流用問題の両方を否定し、政府側を助けるような内容。しかし、両記事とも相当無理していて、事実と反する点が多いことはこれまで述べて来た通り。

そのような記事が出てきた背景には、何らかの形で政府や自民党サイドから依頼があったのではないか(こういう工作は「官邸チーム」より政治家と見る)。このように考えた方が、上林氏が個人的に無理筋記事を書いたというより、説明が付きやすいように思う。新国立競技場問題の当ブログ検証において、関係者リークによる報道機関のコントロールも度々見えてきているし、フォロー記事も考え得るように思う。

もしバックに保守派政治家の方がおられるなら、お願いしたい。日本人の保守すべき特質は「誠実さ」だと当方は思う。確かに五輪を出来るだけ約束した通りに行うのも「誠実さ」になる。しかし、国として嘘をついてまで、それをやったのでは、「真の誠実さ」にはならないと思う。本質を保守すべき。真の誠実さを発揮して、まず旧計画の構造問題を明らかにし、新計画においてはこのまま嘘を押し通すことを見直して頂きたい。

また上林氏は色々しがらみも有るでしょうが、何が有ろうと専門家の矜持を保って、実態と違う認識を広めるようなことは避けられた方が良いと思う。そして特に4月13日記事は実態との相違が多くて訂正記事が必要なレベルと云うことも真摯にお考え願いたい。(逆に当ブログ検証が間違っているという証明をお示し頂けた場合は訂正記事を書きます)

以上