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検証報告検証3「見積金額1,625億円を起点とする工費・工期変遷のまとめ」

一昨日9月29日記事の設計JV見積り金額表について、資料調査による修正を行い再掲する。
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結果的に4種類の見積りの工期は全て42ヶ月。つまり、設計の進展で内容が変化しても2017年10月~2019年3月という計画工期を全く変えていない。このようなこと自体は仕事としてはよくあることで、「内容は変わっても納期厳守」という考え方は必要な場合が多い。しかし設計に元々問題があったり、変更に無理があったりして、納期やコストが守れなくなっているのに担当者が明らかにせず、後で発覚した時にはどうしようもなくなっていると云うトラブルが時折発生する。

今回は工費と工期の両方でそれが起きていて、設計JV見積り(②-2)の「2,112億円 42ヶ月」に対しゼネコン見積りは「3,088億円 66ヶ月」と大きな差が出たと推測する。例えば①-2で1,789億円から、「実施設計でのECI方式(設計段階から施工者が関与する方式)による減額効果8%ぐらいを見込んで1,625億円にした」と云う際の計算は、8%でやると以下のようになる。
  1789 x 0.92 (減額効果8%) ≒ 1645(億円)

これを1,625億円としているので約20億円も減額。計算での算出だけでなく恣意的操作が考えられて来る。②-1の1,625億円はJSCが文科省財務省・官邸・自民党などと合意しているので、設計JVも変えないようにして合わせ込んだことが想定される。
また、②-1(②-2も同じ)についても、物価上昇25%として消費税8%を加味すると、2,112億円に近い2,090億円が出る。
  1,625 ÷ 1.05 ≒ 1548(億円) (消費税5%抜きの価格に戻す)
  1548 x 1.25(物価上昇25%) x 1.08(消費税8%) ≒ 2090(億円) 

日建設計ヒアリングで、<実施設計完了時では2013年7月時点単価から比べると、物価が25~30%上がっていた(ヒアリング結果P30)>とのこと。実施設計中間段階(2014年10月時点単価)における物価上昇25%での計算は大体合っていることになる。ただし、そうなってくると以前から述べてきたように「アーチタイ追加」の工期や費用はどうなっているのか?という疑問が解消されないままとなる。

日建設計は<平成26年(2014年)6月から平成27年(2015年)5月に実施設計を行った(同P30)>と述べている。2014年5月28日有識者会議の図面では、アーチタイ追加されていないことを当ブログ8月4日記事等で確認している。6月以降の実施設計段階で設計精査があったり、別の設計者が入ってきたりして、「キールアーチ両端支持構造無し」が指摘され急遽アーチタイ追加になったのではないか、というような推測を現在している。

ただし、このところ見積り経過を検討してみて感じたことがある。検証委員長なども未解明と考えていた「設計JVとゼネコンの見積り金額乖離」の問題は、アーチタイ追加問題とは別個にも存在するのかもしれない。つまり、1,625億円起点の見積り変遷に関して問題点が二つ有るのではないかという気がして来ている。
 (1)設計JVとゼネコンの見積り乖離
 (2)アーチタイ追加による工期・工費への影響

これは例えば屋根工区の竹中ヒアリングにもアーチタイが一言も出てこず、<大きな食い違いがあったのは、鉄骨の単価だった(同P37)>としている点などからも推察される。
見積りについては更に検討予定。

以上