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 東京体育館アーチ(藤村龍至氏発言検証)

(追記に「由利俊太郎」氏に関するコメントの考察あり)

建築業界の奥深さを感じさせて頂ける山梨和彦氏(日建設計の設計グループ代表)と藤村龍至氏、そして新国立競技場問題を追うHuffington Post伊藤大地記者に関して本日も記す。
まず、山梨氏。同問題についてのお気楽コメント(コラム)がまだ有った。
記念碑的プロジェクトとなると予想していたのだが、世論の高まりの中、白紙撤回となった。
「実際は世論の影響より『建てられなかった設計』の問題なのだから、貴方とあなたの会社の責任でしょう」と繰り返すしか無いが、山梨氏は日本のために心配して、こうも書いておられる。
<ポストオリンピック期における日本発の新たな輸出コンテンツ(当方注:デジタルデザイン関連)を生み出し得るのではなかろうかと考えていたからだ。ほとんどの人が心配などしない点であろうが、僕は細々と心配している。>
日本のためを思って頂けるなら、何事も基本になるのは「真実」なので、まず日建設計とZHAが前回プロジェクトで何をやったかを包み隠さず明らかにするところから始めて貰いたいと思う。山梨氏コラムをツィートしている人の感想を右に示すが、当方も全く同感。→内容がないコメント、こんな方たちが業界のトップ?

さて続いて藤村氏関連。昨日記事で当方の思う仕事のポイントは「基本」にあるという見解を書かせていただいた。ただし、基本を考えるだけでなく、そのための情報収集や考えた結果の確認も重要。まずは実践ということで同氏発言隣に建っている槇さんが設計した東京体育館だってキールアーチなのに(苦笑)を先週東京体育館で確認してきた。

槇氏が東京体育館のアーチを「キールアーチ」と呼んでおられるかどうかは分からないので、以下文では「アーチ」と呼ぶが、まず館内写真(wiki…注釈は当方)。
イメージ 1

次に3階にあるアーチ根本部分の写真は以下のようになる。一目瞭然だが、アーチ根本には鉄骨よりずっと大きなコンクリートの基礎(ここでは仮にアンカーと呼んでおく)があって、ザハ案にはない支柱も付いている。各寸法は測っていないが、監視カメラと比べていただくと鉄骨やアンカーの大きさの感じがお分かりいただけると思う。(個人的にはそんなに大きな鉄骨という感じはしなかったが、後述のザハ案鉄骨サイズはこのアンカー幅よりずっと大きくなる!)
イメージ 2

検討のための仮定として、B(アンカー幅)がA(アーチ鉄骨幅)の5倍あるとする。ザハ案のキールアーチ鉄骨は幅9.3m×高さ7.2m(JSC2014年12月資料)なので、幅9mとしても9x5=45m幅程度のアンカーが想定される。更に幅以外の寸法も同じと単純化すれば、1辺45mの立方体アンカーが地下に埋め込まれる。基本設計図面はアーチタイ追加前にも係わらず、このように巨大になる可能性があるアンカーが全く描かれていない。
またアーチタイ付きの場合はアンカーの大きさはもっと小さくなるだろうが、上記ザハ案鉄骨幅9.3m×高さ7.2mとほぼ同じ寸法(外箱)で長さ約370mのタイバーが付く東京体育館はアーチタイ無し)

これほど違いがあって現地を見られたらすぐ破綻するにも係わらず、<東京体育館だってキールアーチなのに>としてしまう発想が当方には理解できない。同氏が仕事の8割9割という「調整」の中には「実地や図面での確認」などは含まれていないのだろうか。或いは「いい度胸してる」と率直に感心しておくべきか。
また、<素人目にはこの情報(当方注:東京体育館キールアーチ)が一番説得力ある。>とツィートした一般のかたは実際の東京体育館アーチの写真を見たら、どのような感想をお持ちになるだろうか。確認できないのが残念。(事実より発言優先する人もいるだろうが)

伊藤記者の関連で報道についても考察してみると、実地確認などで報道が訂正された例として、昨年某A新聞がようやく誤報を認めて謝罪訂正した○○婦報道事件がある。伊藤記者が所属する「THe Huffington Post Japan」は某A新聞との合弁会社
○中○治と云う人の話を裏付けをとらず報道して、後で近代史家の現地調査などで誤報が判明し指摘されたが、なかなか対応せず、ようやく昨年謝罪と訂正が行われて大きな社会問題になった。
ジャンルが違うので一見関係ないように見えるかもしれないが、基本的構図は伊藤氏記事も同様ではないだろうか。記者が聞いた話を鵜呑みにして公開し、それを見て不審に思った人が現地調査してみたら、やはり違っていた。

ただし、伊藤氏記事では藤村氏の技もあって、前述のように<東京体育館だってキールアーチなのに>との書き方になっている。これは「キールアーチなのに・・・」と捉えることが出来て、「・・・」の部分で何を言いたいかを曖昧にする手法。言質を取られないように一応工夫されている。(藤村氏は色々な手法を使っておられて、読解の解説も行いたいところだが省略)

しかし、同記事には他にも事実認識の問題がある。伊藤記者に確認メール送付済みの「ザハ案の修整は、ザハ側と日本側のどちらが行ったと御認識か?」という点である。日本側と認識していれば「事実誤認」だし、ザハ側と知っていたなら日本側が劣化させたような文脈で書いているのは「印象操作」に相当してくる。
後は伊藤記者が某A新聞同様に指摘があってもスルーしようとされるか?、記者の良心をお見せになるか?
もし未訂正で推移すれば、○○婦報道の再現が見られそうだし、あのような報道が無くならないという実証例にもなりそう。
いずれにせよ、新国立競技場問題は他の登場人物も併せ、色々な側面を見せてくれて奥が測り知れない。

以上
[追記]
詳細な内幕紹介とともに、その正体が新たな謎となった「由利俊太郎」氏と文藝春秋に関して昨日コメントを頂いた。
由利氏は実在の人物ではないと思いますね
同感です。
「文藝春秋」自体が「官僚や政治家の情報リーク先」という性格のある雑誌
確かにそうですね。今回改めてそれを感じました。
私見ですけど、この記事の中心情報は文科省内部からのリークが多いような気がします。
・・・内閣はもうちょっとは考えてたはず
前述のご指摘からも由利氏記事はリークの可能性が高くなってきているため、内容だけでなく背景まで考える場合には「誰得?」と云う観点は最重要と思われます。
同記事冒頭で「安倍総理決断は英断と云うようなものではない」と明かしているので、内閣(官邸)にとってはマイナス情報。丁度「ザハ+日建設計」入札参加情報が入ったため、それを予め察知していた官邸が彼らの再参入を前もって牽制する意図も当方は考えてみたが、安倍総理決断の真相が漏れる方が官邸にとっては避けたい事態。
ご指摘の文科省だとすると、例えば交代が決定的なS村大臣の意を受けた誰かか。ただ、もう交代する人のために、あそこまでの詳細リークをするかどうか。「誰得?」の推定が難しくなって来ました。

なお官邸でないとすると、検証委員会の報告内容が由利氏記事より下回ることも想定される。その場合野党がどう出るかだが、民主党で主担当の蓮舫氏は相変わらずエンブレムやJSCビルなど周辺的問題に目が向いている。それより検証結果報告での政府追求の前段階として、まず由利氏記事の真偽を国会質問で糾しつつ、本質的な「建てられなかった」問題を隠蔽している政府を追求すれば効果的。(この追求の仕方なら「最初に決めたのは民主党じゃないか」と云う批判も、「隠蔽」は民主党ではないと一応かわせる)
新国立競技場問題はこれからも続くので、総裁選で無投票再選されたとはいえガタが来ている安倍内閣へ相当な打撃を与えられる案件。しかし、民主党は動きが鈍い。馬渕議員の出番なのだが。ただし決して民主党政権を期待しているわけではなく、安倍政権の賞味期限切れを当方は感じている。

追記以上