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雑誌「世界」7月号記事と昨年の由利氏記事

岩波書店発行の雑誌「世界」に以下の記事が掲載された。
 ”ポストオリンピック社会のために
  「槙グループ」は何をどう問題にしてきたか”

内幕が色々書かれているが、槙グループの「大野秀敏」氏がザハ案の耐震性について次のように述べている点に注目した。
<槇さんが「2LDKが入るサイズ」と言っておられた断面積80平方メートル、幅400メートルのキールアーチが本当にあの高さで建築として成立するのか、友人の構造家に話を聞くと、建築のアーチのスパンとしては前例がないだけでなく、幅に対して高さが低いので、地震の際には長周期振動による揺れが止まらなくなるのではないかと懸念していました>(P244)

これと昨年の「文芸春秋」9月号「由利俊太郎」氏記事を比べてみる。
設計JVに参加した現役設計士によると、今回のようなキールアーチを使う建築方式を業界用語で「S造」と呼ぶという。特徴としては、「いったん地震に遭うと、揺れがとにかくひどい。二本のアーチがしなり出すとなかなか止まらず、二本の間に張り巡らせた天井膜が引きちぎれてしまう懸念すらあった」と打ち明ける。>(P259)

地震キールアーチの揺れが止まらなくなる」という同じ問題を指摘している。これでまた由利氏記事の信憑性が強化されたことになる。そうなると由利氏記事で当方が注目している以下の流れも、やはり事実という可能性が更に高まる。
「ザハ案はキールアーチ支持構造に根本的欠陥があって、困ったゼネコンが撤退覚悟で官邸に直訴し、和泉総理補佐官が対応した」

キールアーチに関しては、「アーチタイは施工可能な設計が出来ていなかったのではないか」と云う注目点もある。これは「世界」にも由利氏記事にも言及無いが、当方はアーチタイの問題が「建てられなかった」という最終的要因になったと推測している。

槙氏は早くからザハ案を批判して来た。建築設計界の重鎮であり、各方面からの情報が集まるのは確実。加えて複数の著名建築家がグループに参加し、旧計画の内情を相当入手していると想定される。
それでも今回「世界」記事で、ようやくザハ案の耐震性問題が紹介されたが、前述のゼネコン官邸直訴やアーチタイ問題は未だ言及無し。結局「槙氏とそのグループは一体どこまで知っているのか?が未だに謎。

また、前述の大野氏が友人の構造家の話として書いている耐震性の懸念は、前段の記述からすると基本計画(基本設計)に対する指摘だったようである。しかし、当ブログで以前から書いて来ているように、基本設計書からすると「キールアーチはスタンドで支持する構造」になっていると想定される。
そのためアーチ根元で支持する「本来のアーチ構造になっていない」という根本的問題が有り、キールアーチのスタンド支持部分より下側は「単なるアーチ風の飾り」という無駄な設計となる。構造家の話に、この問題は入っていないように見える。

ただし、槙氏は微妙なことも言っておられる。
<今さら言っても意味のないことですが、たとえば構造界から「このキールアーチは実際にどんなものなのか」とか、・・・そういう検証の試みが、学界や実務家のあいだで、もっとあってもよかったのではないかとは思います>P251

これを見ると、やはり少なくとも槙氏は、もっと深く知っておられるのではないかと思わせる。もし実際にもそうなら、「今さら意味が無い」どころか、単なるドタバタに終わらせず今後の教訓にするためには正確な事実認識が必須だから、今からでも真相をもっと明らかにしていただきたいと思う。

更に「世界」記事で、槙氏とグループ各氏は新計画における「A案流用問題」にも全く言及しておられない。これも国民に事実を知らせないままにすることの幇助になってしまいかねず、非常に残念。

以上
[追記]
都知事選の話題で、昨日蓮舫氏がやはり出馬しないことを正式発表した。

本命の取り止めで、民進党野党共闘で候補を出す目論見の模様。対象者には当ブログで先日取り上げた元鳥取県知事「片山善博」氏も上がっているが、他に蓮舫・長妻両氏と同じ代表代行の「江田憲司」の名前も有った。

年齢的に片山氏64歳(投票日までに65歳)・江田氏60歳で、リオのフラッグ・ハンドオーバーや今後の東京五輪の顔としては若く男前?の江田氏の方が適任と云う見方も出来得る(今はビジュアル面の考慮も必要だろう)。
実務能力では、行政経験は片山氏だが、江田氏も通産官僚出身で経済政策面などは期待できるかもしれない。

今回の都知事選の見どころとしては、行政経験を重視して「知事経験者」になるか、非経験者の誰かが出て来るか、という点があると思っているので推移を注視したい。

なお、片山氏に関して今朝以下の記事が出ている。

やはり注目されて来るようだが、早くから話題に上ると「後出し有利」の懸念も有り、今後どのような展開になるか。

追記以上