kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

 隠れた真実2 「真犯人メールの脆さ」

隠れた真実シリーズを当面続けるが、本日は「真犯人メール」に関するもの。
「河川敷に埋められたスマホが迅速に発見されたから片山氏の自演が分かり、それが無かったらどうなっていたか分からない」という見方が相当あると思う。片山氏も「最終意見陳述書」で次のように述べている。

<一転して認めるに至った発端は確かに、真犯人メールの件で言い逃れができなくなったことです。再収監されてしばらくは、「あれさえバレなければ」という気持ちを、正直、捨てることができないでいました。>
しかし、当方はこれこそが彼の「間が抜けた面」を端的に表すものと考えているぐらいである。つまり、真犯人メールは余りにも稚拙で、河川敷のスマホがなかなか発見されなくても、自演の可能性が高いことは充分推認できていた。

satoru氏の以下ブログに真犯人メールの検証結果があり、それまでのメールと余りにも違いすぎていた。しかもこのブログ日付はスマホ発見が報道された5月19日(月)であるが、satoru氏の①~④検討はその前日までには出来ていた。
--------------------------------
”報道内容と検証結果と完全一致する部分のまとめ”2014年5月19日(月)
①検証:Message-IDにメール到着の前日[2014/05/15 17:34:48]のタイムスタンプらしき数値 
②検証:Message-ID:に[@email.android.com]の文字。Andoroid携帯から送信か?
③検証:メールの配信元 nuro.jp はso-netプリペイド式のSIMと判明 
④検証:今回はWebMailじゃなく、SMTPから送信されている
--------------------------------

真犯人メールは5月16日公判中に送信されたが、前日15日のタイムスタンプが発見された。犯人が使っていたYahooのWebメールではなくSMTPメールだったから、遅延メールの可能性が指摘されていた。また、犯人なら当然使うはずのTor経由ではなかったためにプリペイド式のSIMと判明し、Android端末と組合せて使用されたことも推測された。

このような重要事実も今となっては語られることも殆どなくなってきたが、スマホ発見前に分かっていたのである。真犯人が別にいたら、これほど違うやり方にする必然性はなく、特に遅延メールの使用は何らかの工作があると云うことになる。

だが、犯人しか知らない事実の暴露もあったので、単なるいたずらではないから結果的に以下の条件がつく。
 ・送信者は犯人である
 ・犯人はメール送信する環境が以前とは大きく変わっている
片山氏が犯人なら合致する。そしてSIM購入店や購入時刻が5月19日以降判明してくるから、片山氏がアリバイを提示できなければ追い込まれる。

こうなることを避けるためには、片山氏は実行時期を遅らせてもTorで送信できる方法を考えることが必須だった。通常IPで送ったのでは、IPアドレスから送信元が割り出されてしまう。中古スマホとSIMを使って隠蔽しようとしたが、IPからSIMが特定され、警察は購入店や購入時間帯を割り出せる。TVで顔を知られていて目撃されたり防犯カメラに映っている可能性もあった。

また、送信前日に河川敷で遅延メールをセットする時に、onigorishijuzo2にアクセスしたのも無防備。基地局情報で大体の場所が分かるから、「当該アクセス時刻にその付近にいなかった」というアリバイ提示も求められるが当然それは無い。(そもそも大都会東京なのだから、河川敷ではなく雑踏を利用して尾行をまくことを考えなかったのも個人的には不可解)

このように真犯人メールという虚構の仕掛けは、余りにも脆く崩れやすいものだった。
勿論警察の尾行や監視など、スマホ発見に至る捜査は粘り強く慎重で称賛される。しかし、それがリアルで分かりやすい成果である余り、ネット上で解析ができており、後はSIM販売店聞き込みや防犯カメラ解析などの通常捜査と併せれば、仮にスマホ発見が遅れても片山氏自演に迫れた状態であったという真相が伝わっていない。

以上
[追記]
世間では以下の様な認識が多いようである。
認識A…本事件には決定的証拠がなかったが、真犯人メールの河川敷スマホを警察が発見したので解決した

しかし、当ブログ「隠れた真実」シリーズの1と2からは以下のようになる。
認識B…本事件には決定的証拠が複数あり、警察・検察がそれらを未発見や価値がよく分からなかったために混迷長期化してしまったが、本来は逮捕後すぐに解明可能だった。真犯人メールも警察の捜査は立派だったが、元々片山氏のやり方がお粗末でデジタル面からも見破られていたものだった。

認識Aからは例えば以下の様なストーリーが出来て、ネットに書き込まれている。
<「アナログ事件にはアナログ捜査を、デジタル事件にはデジタル捜査を」と普通は考えるけど、PCの遠隔操作事件はアナログの尾行で一気に片がついた>
<警察の能力は最新のデジタルサイバー能力ではなくアナログな昔ながらの張り込み、聞き込み、尾行して犯人が埋めるところを見てたのである。デジタルにアナログが勝った瞬間である。>

しかし、認識Bからは「デジタル証拠で容易に立証できていた」となり、「真犯人メールも、仮にアナログの尾行が成功していなくても、Tor使用していない遅延メールというデジタル面から見破ることは十分出来ていた」ということになる。

どちらのストーリーの方が分かりやすく一般ウケするかというと断然Aによる方だろう(笑)
説明が簡単だし、アナログとデジタルの対比は常々語られる話題であり、デジタルはよく分からないからということでアナログ贔屓も多い。

世間は大体そのような状況の中で、今後本事件に関する本なども出てくると思われるが、まず神保氏から先日のシンポジウムで「取材して本にまとめる作業をしている」と云う発言があり、しかも「(決定的証拠は)裁判上は無いですね」と言っておられるので、実際には決定的証拠が有ったことも分かっておられると解される。
ただ本は出すからには売れなければいけないから、世間も意識して、どういう切り口でまとめをされるだろうか、注目して出版されたらぜひ購入したいと思う。

追記以上