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早山理事長と小池知事の直近発言と考察

今週、東卸の早山理事長らの会見かあった。小池知事基本方針に対して、今後市場側では組合員数が最大の仲卸の意向が重要ということは間違いなく、早山氏らの発言は注目されるのでご紹介。また関連してくる最近の小池知事発言2件もご紹介。特に安全面を抜粋。若干考察は後述。
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①早山理事長ら6月29日東卸会見
(1)新聞報道例
 約550の水産仲卸業者でつくる東卸は豊洲移転反対派が多いとされる。早山氏は、現状では基本方針を受け入れられないと強調。都は早ければ来年5月ごろの移転を目指しているが、早山氏は「(豊洲の)地下空間などの安全性を確保して移転時期を設定すべきだ。他業界とも来年5月の移転は無理と話している」と述べた。

移転という現実の問題に向き合ったときに開業日ありきでのスケジューリングではなくて、地下ピットのいわゆる環境、排気、換気の機能がちゃんと作動しているかどうか。で、その安全性が確認されたかどうか。また排水の機能がちゃんと正常化しているかどうか。そういう問題をしっかりと確認した上で、都知事の安全宣言が最低条件だということで開場時期については業界と、都知事も言ってますが、業界とのしっかりとした話し合いをベースに進めていきたいというお話があったので、その旨、私たちもお伝えしました。

②女性自身インタビュー記事(6月29日掲載)
ーー築地のある仲卸業者さんは、お客さんから「豊洲に行ったら買わないよ」と言われることがかなりあるそうです。そんな業者の不安に対して、どう答えますか?
豊洲市場が中央卸売市場という冠をうたうためには、“安全宣言”が必要です。そのために、例の“盛り土がなかった”地下空間に蓋をしたり、まだ十分機能していない地下水管理システムを機能強化してフルに動かし、安定化を図ります。これらの対策を施すのに約8カ月かかり、その後、環境アセスメント(公害などの防止のための事前調査・評価)で確認して、農水省に許可をお願いする流れになります」
ーー都知事は、移転には「安全のうえに安心が必要」とおっしゃってきましたが、“無害化できない”状態でも移転するのでしょうか?
「“無害化”を約束したのはかつての都知事や都ですが、“無害=ゼロリスク”という設定がそもそも無理です。ですので、私が求めるのは“環境基準以下を達成する”ということです」
ーー環境基準以下に抑えられなければ移転はしないということでよろしいですか?
「それを基本的に確保するために、今回の追加対策をするわけです。そのうえで調査と情報公開をつづけます。物事を隠そうとするから、みなさんが不安になるんです。隠さず情報公開し続けることで“不安”を裏返し、総合的な“安心”にしなければいけないと思っています」

都知事定例会見 6月30日 
豊洲市場に移転をする件でございますけれども、先日、専門家会議の方でお示しをいただきました地下空間の問題、それから、地下水の管理システムの補強など、こういった必要な追加的な工事を行っていくということと、それぞれの情報公開をこれからも徹底して行っていくということを前提といたしまして、築地から豊洲への移転と、先日の基本方針で申し上げたところでございます。その際、豊洲市場については、中央卸売市場としての運営ということを申し上げました。
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[考察]
①の早山理事長ら会見からは2点取り上げる。まず開場時期について、小池氏が意向を示していた来年GWは、東卸と他の業界団体も揃って「無理」という見解のようである。GWから少し延ばしても小手先になるので、早くて来年秋か、ということになる。以下日経記事のように「環状2号やバスデポ」の整備日程との絡みになってくる。

もう1点は次のように、開業の最低条件として、追加対策や水位管理が正常に機能しているか、それをしっかり確認した上での「知事の安全宣言」が必要としている。
<地下ピットのいわゆる環境、排気、換気の機能がちゃんと作動しているかどうか。で、その安全性が確認されたかどうか。また排水の機能がちゃんと正常化しているかどうか。そういう問題をしっかりと確認した上で、都知事の安全宣言が最低条件>

これは非常に高いハードル設定になる。特に「作動」だけでなく、「確認」をどう考えるか。というのは「確認」には、動作開始時の確認だけではなく、長期に渡る動作の確認もある。当然ながら後者の実施には時間がかかる。
しかし、豊洲問題は、まさにここが出発点という事情もある。都側は、特に若林基盤整備担当部長の答弁などで、2014年11月の技術会議での確認で、安全が確認されたという趣旨を述べている感がある。だが、御存知の通り2年間モニタリングの最終盤で大幅基準超えが出た。

これを教訓にすべきことは豊洲問題対処の基本的要請だろう。そうなると、水位管理や地下空間床面対策は、単に工事完了だけでなく、一定期間の効果確認が必要。これをやったら、移転は来年秋も困難で、再来年2019年以降になり、どんどん五輪に近づく。都側は困ることになる。結果的に、果たして早山氏ら東卸と小池知事ら都側の両者意向は折り合いがつけられるのだろうか。

②に関しては、小池氏の作戦として「新議会での無害化変更決議」を狙っていることは確実と思われる。その際に「無害化」に変わる新基準、或いは新しい考え方などの納得性を、どのような形で示せるか。女性自身のインタビューを見ると、注目発言がある。
<「“無害化”を約束したのはかつての都知事や都ですが、“無害=ゼロリスク”という設定がそもそも無理です。ですので、私が求めるのは“環境基準以下を達成する”ということです」>

当方で要約してみると、「無害化ではなく、環境基準を達成する」との意向表明と思える。しかし、「無害化=環境基準達成」と都側が説明してきたことと矛盾。更に個人的に推測すると、矛盾対策として、「追加対策で地下空間の有害物質濃度を環境基準以下に抑える」という意味に受け取れる。これはセンサーを配置して、濃度監視を続ければ確認可能ということだろう。ただ、地下水や、専門家会議は否定するが多分土壌にも、百倍などの汚染が残る状況で納得が得られる説明になるか、疑問は拭えない。

加えて、③で「情報公開を徹底」と表明している。だが、例えば「水位管理」で、排水能力の増強等を行って、仮に何処かの時点で水位目標(AP+1.8m以下)を達成できたとする。しかし、前述のように、動作確認は或る程度の期間が必要で、その間情報公開していくと、目標オーバーが出る可能性は或るだろう。追加対策に関しても同様で、「動作確認期間の設定」と「徹底した情報公開」を行えば、開場時期は相当延びて、端的に言えば「何時になるか不明」なぐらいの深刻な状況ではないか。

「情報公開」は言うは易し行うは難しの典型。例えば①の会見で早山氏は、地下空間対策について「何故22ヶ月の方では無いのか?」と疑問を述べられた。都側が8ヶ月の方ですすめることにした経過を情報公開したら、日程と費用だけで安直に決めた状況が明らかになるだろう。普通なら建築専門家が入った第三者委員会等で評価して貰うレベルの内容と思われるが、行われた話はない。とても早山氏らが納得できる決定経過ではないだろう。このようなことも含めて、小池氏が今後どのように対処していくか、手腕が問われる事態が次々訪れることになりそう。

以上
[追記]
明日は都知事選の投票日。当ブログでは告示日6月21日翌日に「都ファが第一党」との予測を書いて、今も変わらない。自民が元々全員当選しても過半数(64)に達しない候補者数(60)しか出せていないこともあり、新議会で小池支持派が過半数超を占めることは確実。

その状況で本文考察に書いたように、「無害化変更の新決議」を狙うと推察。ただし、従来約束との矛盾解消には「詭弁」的な対応が必要になると思われ、小池氏の誠実さに疑問が呈される可能性もある。
特に小池氏が「行政手続を一つ一つ着実に実行する」と述べてきた「ロードマップ」において、既に「環境アセス審議」と「総合的な判断」の順序が逆転している。入り口からこれでは先が思いやられる。

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なお、中央区は激戦で進次郎氏も投入。森山候補に期待。
”<都議選>「中央区」激戦区に小泉進次郎氏が応援に ”MX TV

以上