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業界団体会談「中央市場は一つ」等と都議選展望

6月22日(木)午後都庁で「市場移転に関する関係局長会議」が開催され、その後築地で「小池知事と築地市場業界団体代表との会談」が行われた。

後者の方で会談終了後に、小池知事と業界団体代表に対して、それぞれ別に行われた「ぶら下がり取材」で重要な話が有った。3点ご紹介し今後について考察。(会談でも出ていた件もあるが、特に業界団体代表は持ち時間が短く、ぶら下がりの方が詳細に話されていた
なお、追記で昨日告示された都議選の展望についても述べる。

①「中央市場は一つ」
■伊藤(裕康)会長(卸代表)…2つの市場は有り得ない。卸・仲卸・買参、皆が集まって品物も集まって、そこから販売が出ていく。近距離に同じようなものが有ったのでは、どうにもならない。必ずどちらかに集中してしまう。それが市場なんです。市場の特質をしっかり見極めて頂かないと二つの市場などという考え方は有り得ない。築地の連中、皆そうですよ。俺は築地がいい、おれは豊洲がいいとかいいますが、皆一つの市場を考えているんです。二つの市場をやってくれなんて人は一人もいませんよ。(伊藤会長は会談の方で、「中央市場として豊洲に移転することを小池知事がお決めになった」と評価する発言有り)

■早山理事長(仲卸代表)…伊藤会長がおっしゃたことと、ほぼ重なりますが、私どもの中央市場の考え方というのは。もし豊洲中央市場が移る、そして5年後に帰るなら、それは中央市場として帰るということでなければ、私達も2つの市場ということでは考えることが出来ません。流通が多様化して卸売市場法の改正が検討されていますが、大切なのは我々の目利きというのが単に魚の良し悪しを測るだけでなく、食品の安全安心の危険を察知する能力を皆が持っていて、まずは卸会社のチェックが有り、仲卸のチェックが有り、買い出しのチェックが有る。その流れの中で食品の安全が保たれて行くわけですから、中央市場が一つでなければ成し得ないと思ってますので、先程言いましたように、もし築地に戻るんでしたら中央市場として戻してくださいというのが私の考えです。

→両者とも「2つの市場は考えられない」と強調。しかも、一つの「中央市場」で有ることが前提。伊藤氏の想定は「豊洲」、早山氏は(築地に戻る場合は)「築地」を想定し、相容れないことになる。更に、もし一旦でも豊洲へ移転したら、伊藤氏らの「卸」は絶対に豊洲から動かず「中央市場」を名乗り続ける。しかし、仲卸は「築地に戻るなら中央市場で」となる。このままでは、深刻な業界分断を小池氏が作り出すことになる。そんなことを、して良いのか。

■小池知事(上記両者とは別に行われた取材での発言)
記者…5年後の築地再開発後、中央市場はどちらになりますか?
小池知事…基本的に豊洲の市場と築地の市場と、それぞれニーズは、おのずと変わってくるのではないかと思います。それが故に私は共存できると考えて、基本的な方針として話させて頂いたところです。これから都庁として、一つ一つ為すべきこと、これから考えることを整理していきたいと思っています。成田・羽田に近い豊洲と銀座に近い築地とそれぞれ特徴・特性を活かすベストな方法を考えていきたいと思います。そのためにも皆さんから御意見を頂戴できればと思っています。

→どちらになるかハッキリとは述べず、曖昧にしている。前掲の業界代表も、話しぶりからは事前相談などが有ったようには受け取れない。もし調整可能の目処が無いまま都議選向けで方針を打出したのなら、業界分断で将来に禍根を残す対応とないる。今後の業界との話合い進展を注視だが、中央市場は一つに絞らざるを得ず象徴的なテーマになる。その他課題も多く調整は難航必至。

②仲卸組合員への説明
■早山理事長…現状私達の組合員が現実的に今非常に混乱していますので、しっかりとした説明を全組合員(550近い事業者)に対して、やっていただきたいと会談でお伝えした。それについては明確なお答えがなかったので、それは是非お願いしたいと思っています。

→早山氏は、「全組合員に対する説明」を求めておられる。これは今後の進展の鍵になる要請。小池氏表明を受けての築地の現場の反応は、例えば中澤氏が以下のツィート。
<中澤誠 STOP築地移転‏ @nakazawa_mama2  
今日の築地市場、「移転反対」を明確に言っている誰も折れていなかった。
移転計画は中止になると確信した。やっぱり独立前夜の植民地みたいな状況だ。>

→組合員総会の様な形での説明が行われた場合、全体の割合はまだ分からないが、反対が相当多くなること自体は間違いない。従来型の行政や政治のやり方とは一線を画す積もりであろう小池氏が、現場からの草の根の反対の声に、どういう対応をするか。同氏の真価が問われてくる。

③「安全と安心」の変化?
■質問者(囲みの外側からの声のようだったので記者ではなくジャーナリストか?)と小池知事
質問者…なぜ安心を言わなくなったのですか?前は両方必要だと言っていたのに追加対策・・・(小池氏が以下の発言を被せて遮った)
小池知事…同じことですね、基本的に同じですね。
質問者:安心はどこへ行ったんですか?
小池知事…手を上げてお願いします(はぐらかして結局答えず)。

→会談で「安全」は言うが「安心」を言わなかったのは、当方も、そして皆さんも気づかれた方がおられると思う。明らかに「安心」への言及は避け出した印象。小池氏は、前週6月17日に「無害化未達成」を築地の方々に直接謝罪している。未達部分は、岡田市場長の答弁に照らすと次の2点と思われる。
(1)盛土無し
(2)(土壌・)地下水の環境基準以下未達成

→小池氏が強調する「専門家会議の追加対策工事」は、(1)への対策。(2)は「地下水管理システムによる揚水で将来的に達成も」と専門家会議平田座長らは(期待を)述べておられたが、実際のデータは百倍が2回連続している。今後の低下は有り得るとしても、環境基準以下達成時期は全く未知数。
小池氏は、この状況での移転容認を新議会や前項の仲卸組合員に説明することになると想定される。議会の方は追記でも後述するが、都ファと公明など知事与党で過半数取る可能性高く、説明が了承される可能性あるが、共産は論戦を挑むだろう。

そして仲卸のほうは、前言を翻すような小池氏対応には強い反発が出ることは確実。更に従来から強調してきたロードマップも、「一つ一つ行政の手続きを踏んでいく」としながら、「環境アセス前に総合判断(一旦豊洲移転)を示した」形になって、既に手順の逆転発生
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また、「言い訳の切り札?」としたいように見える「追加対策」も、専門家会議提言2方式から一つに決定した手順は、情報公開を標榜しているにも関わらず不透明。しかも専門家会議が効果が高いと判定した方式を選択しなかった。決定理由は、市場長発言からすると「工期・工費」の単純比較にも思われ、安直さも感じられて、効果に対する考え方を含めて今後充分な説明が求められる。

豊洲移転には他にも「水位管理」を含め、まだまだ課題が多い。しかし、小池氏は「最短で来年GWの移転可能性」に言及したように、本音は出来るだけ急ぎたいと見える。「移転が遅くなると築地回帰も延びる」などで、甘い話の構想からズレて来るのだろう。そのため、手順無視や怪しい手順が今後も連発される可能性大。果たして移転実現まで乗り切れるだろうか。

以上
[追記]
都議選が昨日告示された。情報は例えば以下。
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当ブログとして他の検証項目多く、詳細議席予測までは出来ないが、全体予測。
今の状況からすると、小池知事支持率は未だ高く、対する自民は「モリカケ」問題などで逆風強まり、都ファが第一党と予測(この予想は多いと思う)。そうなると元々手固い上に、小池氏に乗り換えた公明の議席と併せて、知事与党が過半数超えは確実。

また、Twitterの方では既に書いたが、自民の候補者数は60で、全員当選しても過半数に及ばない。自民から公明を引き剥がして与党に引き入れた時点で、小池氏側の勝利は決っていた。この政治手腕は見事だが、本文で取り上げた「豊洲一時移転」の愚策(と当ブログでは判断)を、過半数を握るであろう議会も使って、どのようにしていくか。

また個々の候補者では、豊洲問題の端緒となる盛土問題指摘などに貢献し、築地再整備を明確に提唱してきた森山候補の中央区での活躍に期待。

追記以上