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一時移転の場合の開場時期検証

都議選は都ファ大勝、自民惨敗の結果だった。これを受けて小池氏はインタビューで、「築地豊洲問題に関して基本方針が都民に受け入れられた」との認識を示している。こうなると、過半数を大きく越えた議席を使って、「一時移転案」を押してくると見るのが自然だろう。

しかし、今後の日程や関係者の思惑などを考えてみると、やはり難しそうなのである。その要因は多々あるが、本日は以下の3項目を通して検証してみる。

①中澤氏発言「早くて再来年5月(GW)」
7月3日「橋下x羽鳥の番組」にて
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羽鳥アナ:現場のかたとしては今後小池さんに、どのようなことを希望しますか?
生田氏:粛々と移転をさせてもらって、築地の再開発はそれなりにやっていだだければ(良い)。私らは戻る必要はないと思っています。
中澤氏:移転に関しては再来年の5月が最速と思うんですよ。来年5月は間に合わないというのは、築地で説明した時に全ての業界がそうだった。5月の連休を使う以外の移転は物理的に難しい。ここからの合意形成を充分やれるかどうか、と云うのが大事になると思います
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生田氏発言は従来通りだが、中澤氏は「再来年の5月が最速と思う」と述べた。これは「定量」の論議を持ち込んだことになる。「移転是非」は定性論議になり水掛け論を誘発するが、定量的に具体的な時期の論議だと色々なことが見えてくる。

特に、東卸早山理事長も「来年5月は無理で他業界(組合)も同じ認識」と述べていて、受け入れられないことが確実。小池氏は「早ければ来年GW」と繰り返し述べたが、早くもここで齟齬が出ていることになる。なお、「来年GW」発言は、単に観測気球で言ってみたというより、実際に五輪に間に合わせるために相当重要な日程の可能性があると推察。

また、中澤氏発言は開業時期に言及することで、謂わば「出口論」を持ち込んだとも言える。対応する「入口論」について次項で検討。

②都議会日程
小池氏が基本方針を進めるにあたって、まず入り口で「無害化」の問題をクリアする必要がある。過去の「無害化決議」があるから、小池氏のコントロールが効く新議会において、何からの文言での「無害化変更決議」を行うことが予測される。(なお環境アセスも入り口の手順になるが、無害化の考え方を確定することはアセス申請の前提としても本来必要と思われる…アセス変更申請時期は、まだ明らかになっていない)

決議の内容予測と検証は別途行うことにして、決議実施の時期を検討してみる。新議会の日程で、議会は「慣例」で動くことが多いから、前回平成25年選挙後の日程を見てみる。最初に開かれる臨時会は、会期1日で実質的に正副議長選出用。本格開催の定例会は9月だった。
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平成25年:6月23日 都議会議員選挙 
◆第1回臨時会 会期8月8日(1日間)8月8日
正副議長の選挙
オリンピック・パラリンピック招致特別委員会の設置 
◆第3回定例会 会期9月18日から10月11日(24日間)
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更に過去例。以下日付は、選挙→臨時会→定例会と並べてあるが、「臨時会は8月に会期1日」、「定例会は9月から開催」は全部同じ。
・平成21年:7月12日→8月31日→9月7日~
・平成17年:7月3日→8月9日→9月20日
・平成13年:6月24日→8月8日→9月19日~
・平成9年:7月6日→8月8日→9月24日~

小池氏が議会を動かして、強引に慣例外のやり方をすることが絶対無いとは言えない。しかし、そこまでやる可能性は低いと見て、慣例通りにやる場合で考えてみると「変更決議」は早くて9月になる。

それを受けて「追加対策工事」を10月に入札公募すると、戦略本部会合で採用が示唆された「8ヶ月案」の方でも、完成は来年5月になる。更に、その後に農水大臣認可申請が必要であり、小池氏発言の来年GW移転は全く有り得ない日程だった。「早ければ」が付いていても、有り得なさすぎて信頼感喪失レベル。

③東卸全組合員向け説明
「入口論」でもう一つ大きいのは業界との話合い。東卸早山理事長は、550程度ある事業者全員への説明を求めた。知事による説明会開催が考えられてくるが、前項の「変更決議」より小池氏にとっては難関かも知れない。

都議会は小池氏意向が通り易くなったが、仲卸業者は前述の生田氏の見方でも、<賛成2割、絶対反対2割、どちらでも良い6割> (月刊Hanada8月号)とのこと。絶対反対が2割なら110事業者。どちらでも良いの人も、採決したら築地側に回る場合も多くなるだろう(早山氏は最終的に採決で賛否決定も考えられる)。小池氏は少なくとも過半数の納得を得ることが出来るだろうか。

参考としては専門会会議の最後の場面が有る。対話重視を掲げた平田氏らが、反対派の方々の要請にゼロ回答で逃げるように開場から去っていった。小池氏だと注目度が違うから、果たしてどのようなやり方になるか。

以上
[追記]
本文では「入口・出口」論から検討してみたが、中間も考えてみる。中澤氏は、「GWの連休を使わないと難しい」との理由で、来年GW無理なら再来年GWとの趣旨だった。しかし、TVでの短時間発言用に単純化と想定され、元の設定が「11月7日」だったように、中間時期でも、皆がやる気になれば可能な時期はあるだろう。それで年末年始期と年度切替時期を除く候補を挙げてみる。
(1)来年夏(6月~8月)
(2)来年秋(9月~11月)
(3)再来年2月
(4)再来年GW

これを交渉していくと課題山積と思われる。例えば、早山氏が「追加工事は何故22ヶ月の方では無いのか」と率直な疑問を言っておられたが、都側の検討が充分とは思えない。更に「追加工事の効果確認」や「安全(・安心)宣言」にも言及されていた。

また、都側では自由にならない「農水大臣認可申請」が最終的に控えている。そして五輪日程との兼ね合い。果たして小池は「一旦豊洲移転」を実現できる道が見えているのだろうか。

追記以上