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「無害化変更」の論理予測など

「一時豊洲移転」案の実現性については重大な課題が多い。昨日記事では日程や手続き面を中心に記した。本日は主に技術面から見てみる。(番号は昨日からの連番)

④無害化変更論理の予測と問題点
一時移転を進めるためには、まず「無害化変更」決議が必要なことを昨日記した。背景として経過を辿っておくと、「無害化」の基本になる考え方は先に東京都側が提示した。それを決議で確認した形になり、更に市場長が「無害化」の状態を以下のように答弁。
<H23.2.23 予算特別委員会 市場長答弁
「汚染土壌が無害化された安全な状態とは、・・・操業に由来いたします汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることであると考えてございます」>

終始都側主導なのだが、PTで決議の方を強調したため、マスコミ等でも取り上げられ、決議が重視される流れになった。そして「無害化(=環境基準以下)」は現在達成されておらず、小池知事が謝罪。結果的に、一時移転する場合は「無害化されていない状態」での開業となり、決議の変更が必要になる。

決議内容を予測してみると、6月16日開催の「市場のあり方戦略本部(第4回)資料」でまとめられた以下の考え方で論理構築されるのではないか。
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小池氏が6月20日に基本方針を公表する直前に行われた会議であり、これで行けると踏んだことが推察される。ポイントは専門家会議の提言実施であり、専門家の検討結果という裏付けにより、新決議の基本論理になると思われる(専門家会議が最後グダグタはスルー)。

但し内容をよく見ると、穴が見えてきた。赤枠で囲った「システムの揚水機能を発揮し、中長期的に水質の改善を図っていく」の部分。「地下水の水質」は改善が考えられるとしても、「土壌汚染」については言及がない。これは専門家会議資料でも、第5回資料で以下のように堂々と「操業由来汚染がない土」と明記。
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しかし、「本当なのか?」という疑問を多くの人が持たれると思う。現在出ている百倍などの汚染は「土壌汚染の溶出ではないか?」と考えるのは自然な発想。だが、専門家会議は、地下水汚染は認めても土壌汚染は認めたくないようであり、この考え方を小池氏と都側も踏襲しようとしているように見える。

白黒つけるためには、「ボーリング調査」で土壌汚染が残置の有無を検証すれば良い。都議会で「無害化変更決議」が出てきたら、移転慎重・反対派はボーリング調査を要求するのが良いと思われる。

⑤地下水位の状況と盛土再汚染危惧
6月は21箇所平均で「5cm低下」という結果だった。

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平年の半分以下の降雨量で、かつ都側が5月末から井戸やポンプの目詰まり洗浄などを実施表明していて、この状態。更に対策を打つにしても、現状水位と目標水位の大きな差から見て、7月も達成不可能ではないか。環境アセス変更申請や追加対策工事発注は、どうするつもりなのだろうか。

また、地下水位が砕石層を越えた状態が長く続いているのだから、「盛土の再汚染」の懸念が発生する。これもボーリング調査を要求すべきということになる。

⑥追加対策工法の妥当性
案1と案2は以下のようになる。
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都側は案2で実施する考えを関係局長会議で市場長が表明。選定理由や経過は情報公開されていない。これに対し、早山理事長が「何故22ヶ月の方ではないのか?」という疑問を呈している。

案1は「国内実績がない」という大きな課題が有るが、案2も「継ぎ目を埋める」というやり方は大丈夫なのか。コンクリートと擁壁やフーチングは固定されず別体のままで、継ぎ目を埋める。例えば別体同士で沈下の動きが違ってきても大丈夫なのか。

案1でも同じように別体で継ぎ目は出来るが、シートのほうが別体同士の動きが違っても追随しやすいことは自明。このような単純明快な疑問に、明確な説明ができるか。

ちなみに案①②とは異なり、一体化する手法が有る。森山氏や高野氏らは、盛土問題発覚当初から既に、新たに床板を張る「2重床」方式を提言していた。何故これにしないのか、都側は納得行く回答を出せるか。

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[まとめ]
昨日記事内容も含め、課題が多すぎると感じる。そして時間的にも厳しく、例えばボーリング調査必要と思うが、どれぐらい時間がかかるか。
結果的に、小池氏と都側が一体どのようなロードマップを出してくるかが焦点。そして何時頃出す予定なのか。まずは時期だけでも定例会見で質問してもらいたいところ。

以上