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(続)「上林功」氏見解に関して

昨日記事にご本人からコメントを頂いた。非常に迅速な対応と真摯なコメントに感服。ありがとうございます。当方も取り急ぎ再度論点をまとめて、現状での質問事項を作成してみました。コメントによると「機会を探してみたい」ということですので、もしブログ等で今後追加説明などされるような場合は、よろしかったらご検討してみてください。

(1)当ブログ提示の類似性指摘に関して
産経新聞記事(以降「御記事」)で森山氏ブログに関して記述が有ります。
<(3)WEB上の比較などを引用して「建築構造の類似性」等を指摘した森山高至氏です。>

同ブログにおける「WEB上の比較」引用については、「日刊スポーツ記事」と当ブログ1月2日記事A案とザハ案の類似性検証(1月2日版…重ね合せ図あり)」のリンクを載せておられます。
これに関して以下を質問をさせて頂きたいと思います。
① 当ブログ1月2日記事もご覧いただいておりますでしょうか?
 (もしご覧になっていない場合は、たまたまリンクをクリックしなかったということでしょうか?)

② もしご覧になっている場合は、昨日記事で引用した平面図比較以外にも多数類似性項目を提示してありますが、全部に対して「流用では無い」との認識をお持ちでしょうか?(なお、当ブログ1月2日記事は、現在「2月9日改訂版」として項目も増やしています…リンク先は同じ)

③ もし「全く流用は無い」というご認識の場合は、提示各項目に対して「偶然の一致と思われる」とか「取り上げるほどの問題ではない」などの程度で結構ですが、言及して頂くことは可能でしょうか?(昨日も記したように裁判では指摘された事項にすべて言及するのが原則と思われるため…御記事も「裁判ならどうなるか」を念頭に置いて書かれていると推測します。また隈氏も「全く違う」とのことで全否定されており、どういう項目を指摘されても「流用では無く、別設計でそうなった」と説明されることになるでしょう)

(2)裁判に関して
④ 御記事では上記「WEB上の比較」に関して以下の項目例示をしておられます。
<建築構造の類似性として「柱位置の類似」「観客席配置の類似」「スタンド傾斜の類似」などの引用記事を挙げて指摘しています。>

「など」ということで他にも有ることを示して頂いていますが、実際にこの3項目より遥かに多くの指摘項目が1月2日記事にあります。その中で、御コメントにおいてもCADデータ流用証明につながる「線形流用」は追加で言及頂いています。
<観客席最前列の線形が似通うことはあるかと思いますが、この点においてA案が確かにザハ案と似ている点において、線形流用の可能性は考えられます。>

それでも、例えば昨日も記した件で、伊東氏も指摘しておられる「地下一階のWC等配置」は高い類似を示しています(1月2日記事の(4)⑬参照)。しかもスタンド形状等から、このような配置が自動的に出て来るとも思えず、最重要な流用指摘の一つと想定しています。よって、前項③とも関連して、「全部の指摘項目に言及しないと裁判では『流用無し』の反論にならない」と思いますが、いかがでしょうか? (仮定としての「裁判になった場合」の話)

⑤ 御コメントで以下のように書かれています。
<この流用を技術的合理性(ここでは陸上競技運用の合理性)から公知のものとして流用したのであれば、権利侵害に当たらないことになることを含めますと、断定するには至りません。推定無罪の立場から言及を避けざるを得なかった部分となります。>

この「推定無罪」記述については、「刑事裁判における推定無罪に相当する立場」(これを「狭義の推定無罪」とします)ということでしょうか? しかし、当然ご存知のことですが、本事案が裁判になったら民事裁判になります。そうなると民事では原告・被告とも対等の立場になるため推定無罪の規定は有りません。ただし、一般的に「疑いは有っても100%の根拠が無ければ断定できない、或いはしない方が良い」という趣旨を言う場合にも「推定無罪」という言葉を使う場合が有ります。これを「広義の推定無罪」とします。御記事も産経新聞という大手媒体に載せるので、「曖昧な部分が有ったら断定できない」という趣旨で「推定無罪」という言葉を使ったことも推測可能。よって整理すると、御記事の「推定無罪」と云う記述は、狭義でしょうか広義でしょうか?

⑥ 判例に関して御記事で以下のように述べられていますが、実際に参照された判例をご教示お願いします。
<建築図面や建築物の著作権については、過去に日本の裁判所でも判例が出ています。>

⑦ 当ブログ昨日記事では、本事案と共通点が多いと思われる以下判例を挙げましたが、この判例は認識しておられたでしょうか? またご存知の場合、御記事を書くにあたって、この判例を参照されましたでしょうか?

⑧ 昨日記事で「A案関係者はザハ案CADデータ入手が極めて容易だった」という条件を付けて上林氏に再考して頂きたいところ」と書きました。この入手容易の状況は、もし裁判になれば「(流用を想起させる)極めて重要な状況証拠」になると当方は考えています。元になるデータが入手容易で、出来上がったものが元データに似ている箇所が多い場合には、「入手容易だったが使っていません」と述べるだけでは反証になりません。どういうデータ管理をしていて、実際にどのような状況になっていたか、など事細かに証明することが必要でしょう。それが提示された上で後は裁判官の判断次第。それで、「データ入手が極めて容易で内容も良く知っていた」という現実の条件を加えて、裁判で流用の訴えがどう判断されるか、再論考いただければと思います。(ザハ案設計時のデータ管理のやり方は外からは当然分からないので、一般論からの仮定で結構です)

(3)その他論点に関して
⑨ ザハ事務所(ZHA)の位置付けに関して御記事では次の記述が有ります。
<今回は通常の公共施設と違い、ザハ氏は設計者としてではなくデザイン監修者として参加しており、・・・>

当ブログでは「ZHAはデザイン監修者の位置付けを越えて実際の設計にも参加し、なおかつ基本設計の前半という非常に重要な段階では「設計を主導していた」という事実を明らかにして来ています。ZHAの現実的位置づけについては、どのようなご認識でしょうか?なお、当ブログの参考記事は例えば以下になります。
この中のJSC作成の図で、デザイン管理業務は設計業務も含まれています。また詳細は以下記事にもあります。
この表題の通り「ZHAは観客席設計も行った」ということが、色々な証言で裏付けられています。

⑩ スタンド形状の「サドル型と水平(フラット)型について御記事で以下記述が有ります。
隈研吾氏の発言に「ザハ案はサドル型観客席スタンドであり、A案は水平型だ」とのコメントがあります。実際に類似しているとされる3段スタンドの断面は、ホームスタンドの中央での断面図であり、サイドスタンドの形状はまったく異なっています。観客席最上段の高さが変化するサドル型観客席スタンドより同じ断面形状を繰り返すA案のほうがシンプルな構法で、この2案は異なる考えでアプローチしていることがわかります。>

実際に隈健吾氏の重要な論拠になっていると思います。
<「コンセプトがまったく違っており、似ていない。ザハ氏の案はスタンドの両サイドが盛り上がった形の『サドル型』。われわれは、建物の高さを抑えるため『水平型』を採用した。>

これについては当ブログ以下記事の後半などで、「ザハ案はキールアーチ構造にしたために6階スタンドが必要になりサドル型になったが、A案はキールアーチが無いから6階スタンドを取り払ってフラット型になった」という検証を実施してあります。
つまり、スタンド形状へのアプローチやコンセプトの違いというより、キールアーチ有無という別の構造面からの制約でスタンド形状の違いになったと推測しています。これについてのご見解はいかがでしょうか?

⑪ 本日まとめとして率直な質問になりますが、「流用では無い」と100%確信しておられますでしょうか? 
当方は逆に「流用している」と100%確信しています。というか殆ど誰でも、特に専門家の方ほど「流用認定」する人が増えると想定していました。そこにスタジアム設計家で第三者的立場の方という、本事案に見解を述べるに最適と思われる方が登場されて、「流用では無い」と明言されたことで非常に驚いています。
隈氏に関しては虚偽を述べていることを自ら分っていながら、諸般の事情で「流用無し」とアナウンスをせざるを得ない状況と理解できます。しかし、御記事はそのような意図で書かれたものではないことが本日コメントでも良く分りますので、なおさら不可解に感じています。
当方の上記質問事項等での再考も含めて、「流用無しの確信はやはり100%でしょうか?」 或いは100%とまでは行かないのでしょうか? 行かない場合は、流用の可能性が0.1%?、1%・10%・或いはそれ以上? もし差し支えなければ、「推定無罪原則」も外して、客観的に見て流用が有る可能性は何%ぐらいとお感じか(或いは0%か)を教えて頂ければ考えやすくなって有り難いです

以上
[追記]
御コメントでも言及が有りました「デッドコピー」についてどう考えるかなどの、著作権問題の本質につながると思われる課題についても或る程度考察してきていますので、また別途書きたいと考えています。
追記以上