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隈氏会見

昨日の隈氏記者会見には驚いた。前日のザハ氏「口止め」報道の件は以下のようにコメント無しで済ませた
<隈:ザハさんとJOCのやり取りに関しては私は詳細を知らないので、私はそのことについてはちょっとお答えが難しいです。私のほうには、じつはザハさんは何もコメント来ません。私のほうにはまったく連絡がないので、それに関してはコメントは難しい状況です。>

更に一致している部分があることは認めたが、「流用」は全否定し、「スタンド形状がサドル型とフラット型で違う」と云う主張を押し通した。
日刊ゲンダイ:先ほどのご発言を聞くと、隈さんご自身は、ザハ案との類似性をお認めになっているかのようにも聞こえました。となると、ザハさんが法的手段の行使も辞さないま、外形上のネックはやはり梓設計の存在ではないでしょうか。ザハ案の設計JV4社のうちの1社であったこともあり、今回のスタンド設計で、本当に流用やアイデアの一致がなかったと言い切れるのでしょうか。よろしくお願いします。
隈:私は類似点というのは、座席を何席並べるとか、それから角度っていうことで、それはあの条件から自動的に出てくるものでの類似点があると言ったので、デザインが類似してるとはまったく思っておりません。>
<サドル型と水平型は、ザハさんはこういうふうに東西の両翼が大きく盛り上がった(サドル型)デザインになっております。われわれは、全部がフラットにする。… 環境とコストのことでそういうふうにしようって決めたので、絵を見ていただけるとすぐ分かると思います。>

どうしてこうなったかを考えてみたが、色々要因は有るにしても最大のポイントは「政治問題化の懸念」ではないだろうか。安倍総理の「白紙見直し決断」自体は妥当だったと思うが、「英断」といえるものであったかどうかは疑問。その内幕を示す意味でも昨日記事で「文藝春秋9月号」記事を載せたが、世間一般的には未だに「英断」になっていると思う。

新コンペも白紙見直しによって実施されたが、当選したA案での流用を認めると、公平性毀損でコンペが成立しない。JSCは、そのことを知っているから、隠蔽して済ますつもりだったのではないか。それが提案書公開によって明確に流用が証明可能になった(と当方は考えている)。だが認めたら以下の流れになるから、JSC(とバックの政府)は認めることが困難という背景が有り得そう。
 「流用を認める→新コンペ不成立→白紙見直しの安倍総理「英断」とは何だったのか?」

結果的に今後の展開は、国会も開会しており「野党」が鍵を握るかもしれない。或いはマスコミが先に報じて野党が動くかも知れないが、今までの経過を見ているとマスコミがなかなか動かない。先んじてTwitterでは各業界で名の知られた方々が類似性についてツィートを始めている。
 ・宇都宮徹壱(サッカー評論家) 1月14日…<思っていた以上に深刻。”[新国立競技場150] A案とザハ案の類似性検証(1月2日版…重ね合せ図あり)”>
 ・宋 文洲(経営評論家) 1月15日…<エンブレムのパクリで失敗したのに、今度はメインスタジアムのパクリ。しかも正々堂々。体質の問題だ。>

重ね合せ図を見れば専門家でなくても大抵の人は理解できてしまうから、ネットの反応見ると「パクリ」「コピー」というような見方が多い。更に今後他の識者と言われる人たちも発言を始める際には、「流用有り」か「流用推定」の見解を示す人が出てくる。それによって野党やマスコミが動く可能性も高まる。(建築設計界には期待するのも疲れるような状態が続いている 笑)

国会でフリップにでもして追求されたら政府はキツい。特に世論が「エンブレム問題もあったのに、どうなっているのか」と憤りを示すようになったら批判をかわせないと思う。その可能性は有り得るから、国会に混乱を与えないよう早めに収拾に動くべき。ただし、B案への転換も、設計完成度で潜在的に大差が有りそうなことが分かって来ていて、A案で工期がギリギリならB案では困難となりかねない。それでも流用全否定は無理がありすぎるから、まずはその点を考え直すことは必須だろう。

当ブログ内容も紹介いただいている以下ブログの最後の方に書いてある意見などのように、最終的には再見直しする方が日本のためになると思う。
"リュウマの独り言" 2016年1月16日
<法廷で負けそうだっちゅうけど、それよか自分で考えても「マネッコみたい」と思う競技場をオリンピック用に作ることのほうがカッコワルイと思うけどなー。 最近いわれなくなった「日本は西洋の模倣文明である」ちゅう陰口を証明する文字通り動かぬ証拠をつくってしまうなんて大胆すぎるのでわ

以上
[追記]
隈氏が強調しているサドル型とフラット型」については、1月6日記事”サドル型とフラット型の検証”の後半に次のように掲載してある。想定図も示してあるので御覧ください。(記事タイトルを論点が分かりやすい「サドル型とフラット型の検証」に変更)
ザハ案のサドル型は、キールアーチの下側でスタンド高さが抑えられてしまうことへの対応策として採用したものと当方は見ている。A案ではキールアーチが無いためそのような制約も無く、ザハ案の6階部分を削除し総5階建でフラット化した設計と推察。>

また、JSCがZHAとの間をこのような状態にしてしまった対応については、昨年10月から新体制になった影響が有るかも知れない。11月22日記事”「JSC・大成建設劇場」の可能性”で検討した状況も考えられそう。
なお、以下記事も出ているのでJSC関連については別途検討予定。ZHAとの間は別としても、全体的にはお金だけで解決する問題では無くなっていると思う。

追記以上