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西浦教授の感染状況把握の問題点

緊急事態宣言後2週間の時期に専門家会議が会見を行い、その中で西浦教授から以下の話があった。

”緊急事態宣言から2週間~新型コロナ 専門家会議が会見”(2020/04/22)youtube 43分頃~

https://www.youtube.com/watch?v=LGgCkCfSpP4

ニコニコ記者質問(二問のうちの一つ…もう一問は公園での「密」についてだった):

安倍総理が7日の会見で「東京はこのペースで増加が続けば2週間後には1万人」と仰ったのですが、2週間後の4月21日で東京都の感染者数は三千人強となっています。これをどう評価されているでしょうか?> 

西浦教授回答

<これまでに東京都の確定日別の患者数に関しては、鈍化が始まっていると思っています。新しい感染者の増加する率が、これまでは指数関数的な増加を認めて来たのですが、少なくともその増加というものが鈍化しているという風に考えています。

一方でこれが減少に転じているかどうかということに関しては、もう少し慎重に将来のデータを見ないとまだ確定・限定したようなことはハッキリ言えないという状況です。少なくとも、鈍化をしているのは確実なようです。>

→これは余りにも実態と違う説明をされたのではないか(実際は3月27日ピークだったと後日専門家会議が認めた)。

それで西浦教授が、当時どのようなグラフを使用されていたかを調べてみた。参考になる事実として、4月24日会見で以下グラフを示しておられた。

 

”東京で感染の伸び鈍化か 大型連休前に緩み懸念も―北大教授”4月24日

https://www.youtube.com/watch?v=A_a-DNuZTiw

 

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→横軸は「保健所からの報告日」での集計。

PCR陽性率を補正したグラフも出しているとはいえ、この時点になっても、後に東京都が正確性を上げるために公表し出した「陽性確定日」ではなかった。更には、最近になって西浦教授らが公表している実態を表しやすい「感染推定日」ではなかった。(注:このグラフの後に西浦教授は、別の「発症日・確定日を用いたグラフ」でも説明していて、感染日にも言及していた。ブログ次記事参照)

 

本来は、当初から感染推定日を出しながら進めるべきで、基本から外れたやり方をしていたのでは、傾向が的確に見れないのは当然。本当に専門家?

なお、このところTwitter論議させて頂いているかたも、「当初から感染推定日を使っていた」と想定されていたが、実際はそうではなかったことになる。(実態としては3月19日会見から「推定感染日」を使用していた。それであれば推定感染日か、少なくとも「発症日」でのグラフのみで話をすべきだった。百歩譲っても「確定日」だが、上記は一番精度が悪い「報告日」で説明を始めている)

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また感染推定日を使うことは以下資料(感染研資料再掲)において、「流行曲線 エピカーブ」は横軸に発症日時を使用。

しかし、西浦教授らのグラフは、発症日時どころか、「発症→4日待つ→PCR検査相談→PCR検査→結果を保健所からFAX報告」という大変なタイムラグを経ていた日付けデータを使用していた。

本来は、同資料のように、出来るだけ感染日に近いということで発症日を使用しているが、更に遡って「感染日」まで推定する取り組みがある。これは上掲ツィートのかたも想定されたように、普通の手法と考えられる。

発症日は把握できることが多いから、「平均潜伏期間」を取り入れて、発症日から感染日を推測することが考えられる。また「陽性者と接触した日付け」が特定できる事例も出て来る。これだとサンプル数は減るが、感染日を確実に特定できる事例の集計は、データの精度が上がる。結果的に両方を併用すれば良いと考えられる。

このような普通の取り組みを長く実行していなかったと思われる事態がなぜ発生したか検証必要。(しかし日本モデル賞賛の陰に隠れてしまうのだろうか)

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以上