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西浦教授4月24日会見「感染の伸び鈍化の説明」

「かれら@carera964」さんから、「西浦教授は3月19日会見では『推定感染日』を使用していた」という重大な情報を頂いた。そのため昨日紹介した4月24日会見についても、更に詳細に検証してみるために、グラフで「感染の伸び鈍化」を説明している部分の文字起こしを行った。 

”【図表ありバージョン】東京で感染の伸び鈍化か 大型連休前に緩み懸念も―北大教授”4月24日youtube

https://www.youtube.com/watch?v=A_a-DNuZTiw 

 ---文字起こし開始--- 10分50秒頃~

元々の報告日別の患者数というのが上側の図です。4月10日とか17日の頃にピークがあるように見えて、その後、上げどまって落ちているように見えるということなんですけども、PCRの陽性率を補正したのが下側の図です。

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これの縦軸は相対的な患者数が、3月6日だったと思いますけど、固定すると、どれぐらいかということを示しているだけで、縦軸の数自体に意味は有りません。増減の度合いだけを見るために縦軸があるというだけです。

見ていると先週のところは上げどまっていない。PCRの陽性率は上がって行っていて、ちゃんと補正を施すと、先週の17日ぐらいでピークを打ってるように見えるというのが、これまでのデータと違う解釈になります。未調整だったら横這いかなと思うところが、調整したら先週がピークのように見える

一方で今週は落ち着き始めているというように見える。それに161(注:当日の感染者数)とかを加えたりすると、今後どうなるかは分からないので、今後引き続き調査をして評価を続けて行かないといけない。こういうことがバックグラウンドです。

PCRの陽性率というデータが日に日に変わっていくというのを少しでも調整して、陽性率の影響を排除した上で、鈍化しているのは間違いないだろうと考えた上で、この話をしています。

一方で先週にもし専門家会議が開催されて、会見しなければいけなかったら、そういう調整をしてたら、鈍化しているとは、おそらく私は言ってないだろうと思います。

今のが、増えているのか減っているのかをどのように見るかという問題を、私たちが背後でどういうふうにデータの処理をしているのかという説明です(注:少し聞き取れず)。

一方でより難しい問題があります。PCRの陽性率を調整すれば、患者の増減については今申し上げた通りで、増えているのか減っているのかは分かるのですけど、それだけでは無くて、PCRの検査のキャパシティというものに上限が有ると、確定日別の患者数というのは、大変観察しにくいものになって来ます。

例えばこれは或る県の発症日別の患者数と確定日別の患者数を見たものです。

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赤で示しているのが「孤発例」といってリンクが分からないもので、黒で示しているのがリンクのある人、誰から感染されたかが分かっている人で、概ね家族だったりとか、或いは仕事場だったり、学校の中だったり、というところで二次感染が起こっているのですけども、発病日別のデータを見ると、4月1日~3日ぐらいにかけてを最大にして一度ピークを打っている綺麗な流行(?)曲線になっています。その増え方が綺麗に見えるのですけども、一方で下の確定日別の患者数を見ると、「週末のイフェクト」というのが有りますよね。その「ウィークエンドバイアス」というのが有りますけども、トータルの患者数が毎日30~40ぐらいで頭を打っていることに気づきますでしょうか?(注:図に横ライン有り)。

これは自然な患者数のピークというのが30~40ぐらいであるというという発病日別のやつに従っていることもありますが、それだけではなくて気付いて頂きたいのは、確定日別の患者数で見た時のデータは大変平坦なんです。増減というのが発病日で見たような美しい曲線を描いてなくて、フラットになってませんか。

これは30から40にあたりに、この都道府県の検査数に基づく陽性を出せる上限があるということを反映しています。これは何を意味するかというと、下の報告日とか確定日では無くて、発症日で見ないと患者数の自然な増殖度が分かりにくいということが知られています。都道府県それぞれで、一日当たりの上限の報告数が有るということは今の検査の状況ではおそらく確実で、上限が低いと重症患者数の全体の捕捉も難しくなるという状況にある。少なくとも例えば実効再生産数を測定して、どんな傾きで今感染者数が増えているのかということを、私たちが背後で推定する時には、このように上限に至ってないかというのが、確定日別で見ると大いに影響を受けてしまうので、出来るだけ発症日だったり、感染日だったりというデータを分析しています。 

---文字起こし以上---

結果的に、4月24日会見において、「報告日」や「確定日」だけでなく、精度が上がる「発症日」や「感染日」も説明していた。しかし、それなら「発病日別のデータを見ると、4月1日~3日ぐらいにかけてを最大にして一度ピークを打っている」という重要な状況をもっと明確に説明出来たはず。

それで、公式である4月22日専門家会議の会見の方も、抜粋文字起こししてみた(上記の4月24日会見は西浦教授独自)。

これによると、「緊急事態宣言から、まだ2週間しかたっていない時点のため、感染してから確定するまでに2週間程度の遅れがあり、データが充分に取れていない」という理由で実効再生産数を出していない。

それを「来週再来週アップデートして報告する予定」ということで、後日行われたのが5月1日専門家会議であり、そこでは「推定感染日」が使用されたという経過が見えてきた。

5月1日専門家会議は次記事で紹介する。

”【ノーカット】緊急事態宣言から2週間~新型コロナ 専門家会議が会見(2020/04/22)”

https://www.youtube.com/watch?v=LGgCkCfSpP4

---文字起こし開始--- 1時間10分頃~

実効再生産数に関してなんですけども、今日の専門家会議の現状分析の中に入っていないのは、今日の時点では緊急事態宣言から、まだ2週間しかたっていないためというのが主な理由です。今日の時点で観察されている確定患者というのが、感染した時刻が大体緊急事態宣言が行われた頃の方々です。

実際に感染してから確定するまでに2週間程度の遅れが有るということが主な理由なんですけども、なので今日の時点の実効再生産数で推定できるのは、丁度緊急事態宣言の直前ぐらいの頃しかまだ分からないんですね。実際に緊急事態宣言の効果が、どれぐらいあがったかということを評価するために実効再生産数というのは使えることになって来ますので、また来週再来週アップデートして報告する予定ではいます。

---文字起こし以上---

以上