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「k値」と「実効再生産数」と「エピカーブ」

流行を分析する「3つの方式」が出て来ているのでメモ。

①k値

大阪府の専門家会議で阪大の中野教授が提唱した考え方で、既に紹介済みの資料は以下。

K値による大阪のCOVID-19感染状況の解析”

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/37375/00366407/06%20siryo1-2.pdf

 

これに対して、Endo, Takaho@caripso氏が次のようにツィート。

https://twitter.com/caripso/status/1274518377910824960

<K値の論文を通して読んでみたが、トートロジーがひどすぎてレビューする気にならないな…どうしたものか>

→「トートロジー」は中野教授の資料を概観した際に、当方が感じた「実効再生産数やエピカーブの7日移動平均の話と、どこが違うの?」という感覚を、的確に表現されているようにも思えた。

@caripso氏は、更に詳細検討を以下のように書いておられる。

”K値を政策として用いることの問題点”

https://note.com/kvalue/n/n64e553bb8c1b

→ざっくり見て、「問題点」はまだ把握できていないが、実効再生産数に関して「5/7乗」という項目を出しておられる。そして、それの「根拠URLが見つからない」ということで以下のように書いておられるが、別の記事で見た式があるので次項にメモ。

<実効再生算数の取り扱いの難しさへの対応の一つとして、「Rt緊急勉強会」において西浦教授が実効再生算数に近いコンセプトとして

(直近7日間の患者数)/(その前7日間の患者数)

を用いることを紹介していました。実効再生算数と比較する時は、感染力を維持している時間(約5日)を考慮すると、この数字を5/7乗することでRtと比較可能な数値になります。(5/7乗については西浦教授がTwitterで紹介していたと記憶していますがURLが見つかりませんでした)>

 

②実効再生産数

東洋経済が新型コロナ「実効再生産数」を公開_感染状況を示す指標、西浦・北大教授が監修”

https://toyokeizai.net/articles/-/351826

<実際の計算式はどうなっているか

専門性の高い読者のために、実際の計算式にも触れておこう。東洋経済オンラインが掲載している実効再生産数の計算式は、次のとおりだ。 

実効再生産数=(直近7日間の新規陽性者数/その前の7日間の新規陽性者数)^(平均世代時間/報告間隔)

平均世代時間とは、「感染源の感染から2次感染者の感染までに要する平均時間」を指す。東洋経済オンラインでの計算では、西浦教授のアドバイスに沿って5(日)をデータに使っている。報告間隔は7(日)だ。 

実効再生産数とは本来、世代時間において2次感染がどうなったかを描くものだが、ここでは計算上、報告間隔ごとのデータを使っている。そのため、「『報告期間の別で報告される患者数』を基に『世代時間の別で伝播が起こっている2次感染現象』を反映する実効再生産数を得るために、近似的な変換を行っている」と西浦教授は話す。>

→ここで「平均世代時間/報告間隔=5(日)/7(日)」という項が出て来ている。

 

③エピカーブ(流行曲線)

保健所からの感染者報告数が、平日と土日で変わる傾向があることへの対応として、7日移動平均を使っている事例が多い。

例えば東京都の資料で「モニタリング指標(1)新規陽性者数」などに「7日移動平均線」が示されている。

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

→これと「k値」及び「実効再生産数」との関係をどのように捉えるか。

当方は、別の観点として、「エピカーブ」の横軸を「報告日」ではなく、「感染推定日」や「発症日」にして、日々の動きを見れば良いのではないかと思っている。

また、少なくとも、東京都が一旦正式報告の方式とした「医師による感染確定日」を使うだけでも、保健所からの報告日で集計するよりは、ずっと精度が上がる。

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また発症日が分かれば、実際の感染日は分からなくても、平均潜伏期間を使って推定感染日は出せる。更に感染日が特定できる人もいるから、それと併せれば、データ数も確保し易くなり、感染の傾向は見えて来る。政府の専門家会議も後になって推定感染日での集計グラフを出してきたが、遅すぎであり、その反省も無いのは大きな問題。

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基本が出来ていない人たちを専門家として良いのか。そして、そのような人たちに任せておくことは考え直すべき。

 

なお、例えば「池田信夫」氏が言っておられるように、Rtはエピカーブの微分係数に相当するという考え方は有効と思われる。そうなると本記事で取り上げた①~③は、3つが同じような話になるのかも知れない。(だからトートロジー的?)

https://twitter.com/ikedanob/status/1245597170524278792

<実際には、去年の秋からウイルスは入っていたと思う。今はたぶん本来のエピカーブでみると、もうピークを越えている。R(エピカーブの微分係数<1で、どんどん下がっているのがその証拠>2020年4月2日
 
以上