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「感染ピークは緊急事態宣言の前だった」という事実と「42万人仮説」

朝日新聞記事

”感染ピーク、緊急事態宣言の前だった 専門家会議が評価”5月29日

https://www.asahi.com/articles/ASN5Y66NVN5YULBJ012.html

緊急事態宣言は感染の抑制に貢献したとする一方、感染のピークは4月1日ごろで、宣言前だったことも明らかにした>

→「ピークが宣言前だった」ということを専門家会議が明らかにして、報道も出始めた。4月1日頃ピークだと、4月7日宣言発令の約1週間前だが、記事の添付グラフを見ると更に前の3月29日頃ピークに見える。

これでは、「宣言による”自粛強化”に効果があったと言えない」ことは科学技術的には常識。但し、一般の人は「宣言の前にピークが来ている」ことの意味を理解する人は余り多くないかも知れない。そこを突いて、本来一番分かるはずの専門家会議が「感染の抑制に貢献した」としているのは、科学技術の考え方を蔑ろにしているようにも思える。

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さて、「宣言前にピーク」の事実が公式に明らかにされて、もう一つの事実がクローズアップされてくる。

”新型コロナ、42万人死亡も 対策ない場合の試算公表重篤85万人・厚労省班”4月15日

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041500281&g=soc

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、厚生労働省クラスター(感染者集団)対策班の西浦博・北海道大教授(理論疫学)は15日、人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内で約85万人が重篤になるとの試算を会見で公表した。うち約42万人が死亡する恐れがあるという。>

→ブログをご覧になられている方は、この話に何か違和感があると思われませんか?

整理すると、

①4月15日会見なので、「4月1日頃(或いは3月29日頃)ピーク」は分かって来ていた時期。

②感染日推定は西浦教授が中心になってやっているから、一番よく知っているし、一番先に分かる立場。

③「宣言より前にピークが来ている」の意味も当然分かっていて、宣言前の何らかの要因で、既に減少が始まって進行していたことを認識していた。

④それなのに、逆に「42万人死亡の可能性」という衝撃的数字まで提示して、もっと自粛強化を要請するという行動に出たのは、どのような意図が有ったのか。

⇒西浦教授の意図をどう推測されるでしょうか?

同教授ご本人は以下のように説明。

何も対策をしなかったら、流行してこれくらいの規模の死亡者が出るという危機が目前に迫っていると、政権に腹を括ってもらうのが狙いでした。政府や厚労省の中では慎重な意見があり、厚労省の対策班としては公表できませんでした。そこで葛藤もありましたが、科学的な使命感を強く感じ、私自身が専門家個人として発表しなければならないと感じたのです。>

⇒これにも大いに違和感。

先ず「何も対策をしなかったら」としているが、実際に宣言が発令済みで強力な対策が行われていた。それでも同教授は「まだ十分でない」と個人的に考えて独自に8割自粛要請に踏み切った。

これだけなら「理解できなくもない」ということになるかも知れないが、前掲の同教授ら作成のグラフで現実に効果が出始めていると分かっていた。何故実際の状況と逆のように思える話を持ち出したのだろうか・・・???

またwikipedia「西浦博」にはこんな記載も。

4月7日、新型インフルエンザ等緊急事態の要件に該当するか諮問を受け、第2回基本的対処方針等諮問委員会が開催されたが、審議当日の早朝、西浦は会長の尾身茂と委員の押谷からそれぞれ電話で連絡を受け、押谷は「どこまで頑張れるかわからないけれども、8割おじさんの願いが叶うように精一杯やってみよう」と述べたという。また、西浦らは基本再生産数を「2.5」とする前提で資料を作成していたが、審議の場に提出された資料では値が「2.0」に書き換えられていたという。提出された資料の値に疑問を感じた尾身から、西浦に「これで大丈夫なのか?」と確認の電話があったことで、西浦に無断で資料の値が書き換えられたことが発覚したという

(最近SNSについて色々言われているので個人の話については今はここまで)

 

なお、専門家会議全体としても疑問がある。

コロナ専門家会議「議事録」作成せず 菅氏「発言者特定されない議事概要で十分”

https://mainichi.jp/articles/20200529/k00/00m/010/214000c

会議メンバーの岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「事務局が『議事概要を出す』と答えたので、ああそうですねということで終わった。(賛否の)手を挙げたわけじゃないから分からないが、全てではないが別に発言者名が出ても構わないというのが委員の意見だと思う」と記者団に語り、「僕は自分の発言に責任を持ちたいから発言は出ても構わない」と述べた。>

→この岡部氏は、専門家会議メンバーながら、以前から外部に向けても率直な発言をしておられた。会議の席でも、データ解釈や西浦教授の動きなどについて発言していたのではないか。議事録が出せない事情が透けて見える気がする。

以上