「西浦批判」が後出しではない根拠
「西浦批判(敬称略)に対して批判する」という図式が出来てきている。
その中で以下記事は論点(間違い)が分かり易い。誰かと思って著者を見たら「山本一郎」氏。やはり同氏らしいと思うが、先ず主張を抜粋引用してみて、それへの反論になる記事を後で紹介する。
■"根拠なく「緊急事態宣言は要らんかったんや」と言い出す知識人が増えている問題"5月29日山本一郎
https://article.auone.jp/detail/1/2/2/136_2_r_20200529_1590732062475436
<後講釈的な「緊急事態宣言の延長に対する反対論」
もともと、コロナウイルスなどたいしたことないので自粛する必要もないという論旨の発言は堀江貴文さんや三浦瑠麗さんらが論陣を張っておりました。池田信夫さんや篠田英朗さん、永江一石さんらもさらに乗っかり、西浦博さんが警鐘を鳴らした感染症の数理モデルについてさしたる根拠もなく否定しにかかる、という図式です。
元内閣官房参与で京都大学の藤井聡さんが、後講釈的な「緊急事態宣言の延長に対する反対論」をブチ上げ、それに対して感染症の専門家である岩田健太郎さんや仲田洋美さんをはじめネット上の医療クラスタの面々が再反論する図式になっています>
→後付け(後講釈的)と批判しているが、藤井氏ら西浦批判者でも理詰めの人たちの「データ上で効果が見られない」という客観的指摘には論理的に対抗できないので、後付けという話を持ち出す詭弁的手法。根拠薄弱なのはどちらか。
特に批判者では、上記でも名前が挙がっている「篠田英明」氏が、既に4月10日には「感染者数の伸びの鈍化」を発見して指摘していた。
緊急事態宣言発令が4月7日で施行は8日からだから、潜伏期間も過ぎる前になる。また確定患者として報告されるにはおおよそ 2 週間の遅れを要し(添付参考情報)、宣言の影響は出ていない段階での鋭い観察と指摘。
内容は以下に抜粋。
■”緊急事態宣言・西浦モデルの検証(4月10日)”2020年4月11日 篠田 英朗
http://agora-web.jp/archives/2045379.html
<東京の感染者累計が1,000人を超えたのは、4月5日で、1,032人あった。3月31日には521人だったので、確かにほぼ倍増していた。ところで4月5日から5日して、東京の総感染者数は倍増しただろうか。連日の「最高数」の報道でやや異なる印象を受けている方もいらっしゃるかもしれないが、4月10日現在の累計感染者数は1,708人なので、5日間で7割弱の増加率にとどまった。
もっとも、東京の場合には週末に検査を実施しない医療機関が多いため、週の初めの感染者の数が低く集計される。そこで7日単位で見てみるとどうなるだろうか。4月3日は773人だったので、4月10日までの1週間で2.2倍の増加である。これに対してその1週間前の3月27日は299人であったので、そこからの1週間で2.58倍の増加だった。やはり最近の1週間の増加率は、鈍化している。>
⇒このような的確な分析の記事も読まずに(或いは理解できずに)批判している山本氏。(こうなってくると、「新国立競技場問題」で森山高至氏の「地下鉄干渉指摘」をデマと批判していた山本氏らの方がデマだったという事例が又浮かんでくる)
ただ、山本氏記事の出所を見たら「文春オンライン」。文春には「文藝春秋」と「週刊文春」が有るが、一般的に影響が大きい週刊文春はどちらのスタンスに立つのだろうか。
以上
[参考情報]
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年4月 22 日)
<確定患者として報告されるにはおおよそ 2 週間の遅れを要し、80%削減のとき 1 日 100 人に到達するには緊急事態宣言から約 1 か月を要する。>
→このようなタイムラグが有ったのも今回の対応の問題点。実際西浦氏らは、最近になって「推定感染日」でのグラフを出している。もっと早くこの手法で公表していれば、篠田氏のような慧眼でなくとも、「緊急事態宣言の効果はデータ上で見られない」ことが容易に分かっていた。これでは隠蔽と同様ではないか。
参考情報以上