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真実発掘18 「『ゼロ』がオプションでは選択されない」

河野太郎氏を本部長とする自民党行政改革推進本部などがまとめた見直しプランが政府に提出されている。
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”新国立競技場(オリンピックスタジアム)見直しプラン”平成27年8月7日  自由民主党 (抜粋)
 [基本方針]
新競技場は「白紙」から考える。
オリンピックのために新競技場を建設する場合は、2020年初頭までに完成させる。
[ゼロ・オプション]
新競技場に必要な三要素、開会式・閉会式、陸上競技、サッカー等のうち、陸上競技とサッカー等には駒沢競技場の改修、味の素スタジアムの活用といった代替案がある。
スタジアムという閉鎖的な空間から飛び出す新たな開会式のあり方をIOCと協議するべきである。
数百億円の費用を削減できることを考え、政府は真剣にゼロ・オプションを検討すべきである。
[競技場をつくる場合]
・オプション1
 国立競技場跡地に、6万人のスタンドを持つ天然芝の陸上競技場・球技場兼用スタジアムを建設する。屋根は観客席を覆うものとする。陸上競技のサブトラックは仮設とする。
・オプション2
 国立競技場跡地に開会式、閉会式とサッカー等のための6万人のスタンドを持つ球技場を建設し、オリンピックの陸上競技のために駒沢競技場を改修する。
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先月7月21日に行われた第1回関係閣僚会議では、以下の報道などで「年明け着工」を目指すと云う話であった。
< 政府は秋口までに予算や規模などの整備計画を策定。その後デザイン、設計、施工業者を選び、来年1月か2月に設計、そして着工へとつなげ、20年春の完成を目指す。>

当方はこれだけ混迷してきた案件で7月に白紙見直し開始して年明け着工など不可能と見て、「(オリンピックを目指しては)建てない」と云う選択肢しかないと考え、河野議員の打ち出した「ゼロ」(作らない)に行かざるを得ないと見ていた。

だが、上記のように河野議員が中心になってまとめたプランが政府に提出されても、「ゼロ」がオプション扱いでは政府が選択するわけがないと思っていた。「作らない」と決めるには物凄いエネルギーが要る。国民の殆どが「作らない」で、まとまっているならまだしも、「あっても良いんじゃないか」、「新しいスタジアムで世界の方々を迎えたい」と云うような声も当然出てくる。そうなると政府は板挟みになるが、「作る」という選択なら検討を続けていける。つまり最終決定を「先送り」出来る。先送りと云うと批判されやすいが、人間の一つの知恵でも有る。それに対して「作らない」という選択は、すぐに決定できるので、その時から批判の矢面にさらされる。

結果的に「作らない」は選択されない。そう考えて本日は表題のように、「『ゼロ』がオプションでは選択されない」、「オプションで打ち出すのは腰が引けているのではないか」、「ゼロの一択で押すべき」と、河野氏に再度決意を促す記事を僭越ながら書いてみようと考えていた。(ここまで書いた内容が既にそうなっているが)

しかし、政府の対応は早く以下の様な記事が出ている。
<政府は14日、安倍晋三首相も出席して関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪相)を開き、基本方針を発表する。今後、国際オリンピック委員会(IOC)などと調整を進め、9月上旬にも総工費の目安などを盛り込んだ整備計画を策定。その後、11月末ごろまでにコンペの応募を締め切り、早ければ来年1月末にも優先交渉権事業者を決定。来年末から平成29年初頭には着工したい考えだ。

この記事が確かだとすると「年明け着工目標」ではなく、「来年末から再来年初頭の着工目標」となったようだ。これなら今から着工まで1年半近く時間が有ることになる。「年明け着工めざす」と云う余りにも明白な「無理ゲー」ではなく、ある程度検討や設計の時間が取れる。
ただし、舛添知事はIOCが2020年1月ごろまでの完成を求めていることを明らかにして前倒しを要請したとのことであり、着工が仮に平成29年(2017年)1月で考えると、工期は約3年(36ヶ月)ということになる。例えば仕様が同じではないから直接比較は難しいかも知れないが、日産スタジアムが45ヶ月」と云う話もあり本当に間に合うのだろうか???
日産スタジアム HP" <設計に2年2ヶ月、建築に3年9ヶ月>

もしかすると、36ヶ月程度でも作れるというゼネコン等の保証などを内々に得ているのだろうか。それが政府官邸の奥の手、秘密兵器で「白紙見直し」にも踏み切れたのか。しかし、日産スタよりは工期面で困難な状況も幾つか挙げられてしまう。
 (1)建設業界の深刻な人手不足…特に「とび職」不足などの記事も出ている
 (2)工事作業場所…日産スタ周辺は開発が進んでなくてスペースが取りやすかった
 (3)周辺環境…新国立周辺は日産スタに比べてビルやマンションが多い(特に外苑西通り方面)

収容人数の決定などはまだこれからだろうが、仮に日産スタより減らしても、上記悪条件は相当強力と思われ、これで日産スタより短縮など現実性が有るのだろうか。
当方はまだ「建てない」の方を推すが、工期の懸念はあっても政府が上記産経記事の方向で進むと、河野議員はアドバルーンを上げただけ、或いはパフォーマンスだけとも評価されかねない。民主党東京オリンピックパラリンピックに係る公共事業再検討本部」蓮舫本部長など、河野氏が気心の通じた与野党の中堅・若手議員を結集して「ゼロ」という思い切った政策を推進する状況を期待してみたが、難しそうではある。ただ、まだ今後ゼロの出番が来るかもしれないから、その時に備えておいていただきたいと思う。

以上