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真実発掘7 「アーチタイ(タイバー)の地震対策等」

これまでの記事で述べてきたようにアーチタイは色々大きな問題が有るが、地震対策も最重要課題の一つになるため出来る範囲で検証してみる。
まず、アーチタイ断面図から寸法を概略割り出して、構造も推定してみた。

イメージ 1
図中で、①アーチタイ(タイバー)本体はアーチが外方向へ開こうとする力(スラスト)に対抗するために、引張り力に耐えることが目的なので鉄製になると想定していた。(鉄は引張りに強く、コンクリートは圧縮に強い)
しかし、以下の毎日新聞記事を見ると、アーチタイは鉄筋コンクリートと書かれている。
アーチの両端を地中でケーブルで結び鉄筋コンクリートで固める「アーチタイ」という構造物で支える。アーチタイには鉄筋2300トン、コンクリート2万5000立方メートルを使用して埋めるため、残土が発生する

上図で②外箱と思われる構造は描線が2重になっていて、厚い壁(板厚約85cm?)で箱型にしているように見える。アーチタイの方は内部が詰まっていると見ると、太い鉄筋で耐引張特性を持たせたコンクリート製と云うことが考えられそうである。(外箱は鉄かコンクリートかは不明だが、約85cm厚というと外箱もコンクリート製が有力か)

ここまでは一応構造設計ができているとして、③支持装置はどうなのかということになる。まず毎日新聞記事による「鉄筋2300トン+コンクリート25000立法メートル(当方注:比重2.3で計算すると5万7500トン)のアーチタイの自重がある。(今のところ2本分か1本分かは分からないので2本分なら1本2万8750トン)
これに加えて、キールアーチを中心とする屋根部分の鉄骨約2万トンなどを支えなければいけない。強風や積雪などの外力も加わる。これだけでも凄い負荷だが、この辺はゼネコンさんが何とか考えて対処したとしても、更なる問題は耐地震である。

首都圏大地震などへの対応は必須になり、どのような機構を取り入れた設計になっているのだろうか。上図からは詳細は読み取れないが、何らかのアイソレータやダンパーで支えている構造が図から見える。
免震装置にも以下資料のように色々有る.。

その中でもゴムを利用したアイソレータによる免震装置を使用する場合の懸念について、森山氏がブログで書いておられる。
<業界シェア5割の東洋ゴムが「偽装」による撤退。もしくは「偽装発覚」により新国立競技場計画に消極的態度をとらざるを得ん状況が予測されるわけです。さらには、ではブリジストンはといえば東洋ゴムの偽装ゴム交換に協力せざるを得ない状況。>

つまり免震ゴムの上位二社が偽装対応に手一杯で、新国立への協力が得られるかどうか懸念されると云うことである。国家プロジェクトということで何とか協力してくれたとしても、今回のアーチタイ付きキールアーチはとてつもなく巨大で当然経験が無いから、免震装置としても新規開発が必要になると考えられる。動くものだから試作や実験確認なども必要になるだろう。それをやってから初めて据付にかかれる。しかも性能偽装を起こしたのだから、認定等に対しても従来より厳しい審査になるのは必至。(他の手法を使ったとしても新規開発要素が出て来て同様に時間は相当かかるだろう)

一番下に位置するアーチタイが完成して埋められた後にならないと、他の工事に大きな制約が発生する。竹中工務店はいつまでにアーチタイ埋設完了する計画にしていたのだろうか。
スケジュール自体は白紙見直し前の7月7日第6回有識者会議資料で概要が示されているが、詳細工程は入っていない。本当にスケジュールを守ってやれる予定だったのか。この辺は又別途検討予定だが、アーチタイ関連では他にも上記毎日記事にある「残土」の処理も大問題で、森山氏がトラックの必要台数推定など詳しく書いておられる。
結果的にアーチタイまで付加されたキールアーチは、問題山積どころではなく工期を考えたらとても実現不能ではなかったかと改めて思う。

以上
[追記]
当ブログの新国立問題記事を最初の方からお読みになっておられない方は、なぜ白紙見直しになって多分使われないであろうキールアーチやアーチタイの検証を行っているか不思議に思われるかもしれない。しかし、混迷を招いた原因を明らかにしておかないと次につながらない。政府や与野党などの原因調査は多分中途半端になると思われるので、片隅のブログでもやっておこうと云う趣旨である。

追記以上