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真実発掘1 「安藤氏の責任はどうだったのか?」

遠隔操作事件判決(2月4日)から、はや半年近く経とうとしている。世間では話題にのぼることも少なくなり、このまま忘却の彼方と云うことになりそうである。
しかし、片山氏は懲役8年判決で未決勾留日数参入が1年近く(350日)あるとは云え、あと6年半程度の刑期になる。仮釈放があったとしても例えば2020年の五輪も出所して見ることは難しそう。又その間技術進歩もあって、せっかく身につけた技術も時代についていけるかどうか出所後の問題もある。多くの人に損害や迷惑を掛けたとは云え、更生まで考えると以前から検討したように他事件と比べても長過ぎる求刑や判決は、やはり無理な面があったと思う。

求刑・判決の問題点を含めて遠隔操作事件の後日談は又何時か書くことにして、話は変わるが先ほどの五輪関係で「新国立競技場」建設問題が大きな話題になっているのは皆さん既にご存知の通り。
当方も途中から興味を持って調べてみたところ、遠隔操作事件と同じように一般には余り知られていない事実があることを複数発見できた。それらに対して遠隔操作事件の時と同じく、客観的論理的考察を加えた結果を本ブログで紹介していこうと思う。
なお別ブログを立てようかとも考えたが、同じような考察の姿勢で取り組んでみた結果を示すということで、「新国立競技場」問題も一つの事件と捉えて検証内容を本ブログにて記載。

まず本日は国際コンペ審査委員長であったため今回の経過に一番責任があるのではないかと目されている高名な建築家「安藤忠雄」氏の実際の責任がどうなのかという点を考察。
安藤氏の責任に関しては、下村文科大臣が7月7日の有識者会議を安藤氏が欠席したことを受けて以下の様な発言を行ったと報道されている。
「(安藤氏は)堂々と自信を持ってなぜザハ氏の案を選んだのか。21世紀において、国内外にその重要性を何らかの形で発言してほしい」(7月10日産経新聞

一方安藤氏の方は7月16日に会見を行って次のように述べた。
有識者会議に出なかったから「すべて安藤さんの責任や」というのは「ちょっと分からないな」と思っておりました。私はその日、大阪で同じ時間に講演会があったので、東京での会議には出られなかった。
(コストに関する批判に関しては)どうも、どこかで誤解が生じていると思います。私たちが頼まれたのは(2012年11月の)デザイン案の選定までなんですね。
 「1300億円でいけると思っていたのか」という質問についてですが、全部の設計者に値段は出してもらっています。
(昨年5月に完了した)基本設計の後で出た「1625億」というのが、我々のところに聞こえてきました。「聞こえてきた」というだけで、教えてもらったわけじゃないんです。なぜならば、我々の仕事は(デザイン案の選定が終わった「2012年11月」をパネル上で指さしながら)ここまでですから。
◇2520億円「もっと下がるところないの?」
 安藤氏 今、「値段が高いから、安藤さんに責任をなすりつけたら、ええんやないですか」と思われていますが、我々、選んだ責任はあります。物価の上昇もあるから、「1700億〜1800億円になるかも」とは思っていました。全然(かけ離れた)2520億円になって、私も「もっと下がるところないの?」と聞きたい。私が聞いても「それぐらいかかります」で、何も言うてくれないからね。それで2520億円を安藤さんが決めたと言われても、私は総理大臣じゃないからね。どこか飛び越えていると思いませんか? 1人の国民として「なんとかならんかな」と思っています。>(7月16日毎日新聞

両者発言記録を見ると、責任の「所在不明」か「なすりつけ合い」のようにも思えてしまう。
しかし、コンペを主催した独立行政法人JSC(日本スポーツ振興センター文科省外郭団体)の資料を見てみると、どうも違うのである。
まず安藤氏は同会見で問題になっているコストとコンペの関係について更に述べている。
<◇アイデアのコンペ。コスト議論しない
 −−他の審査委員の話を聞くと、コストの議論をほとんどしていないという認識だったのですが、安藤さんはコストの議論は十分だったと考えていますか?
 安藤氏 実際にはアイデアのコンペだったんですね。こんな形でいいなというコンペですから、徹底したコストの議論にはなっていないと思いますよ。図面がきっちりあったわけではないからね。>

このように安藤氏は「コンペでは徹底したコストの議論になっていない」と述べておられるが、「1300億円」と云う設定があったことは報道で広く知られている。設定額があるのに、それをきっちり考慮しないで審査すること自体が根本的問題ではないか」と思えてしまう。

しかし、前述のJSCの資料を見ると、安藤氏の言っていることは基本的に正しいのである。その証拠をお示しする。
まずJSCから2012年年7月20日にコンペ募集要項が参加者向けに提示されていて、その中に「総工事費は約1300億円程度を見込んでいる」と記載されている。

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次に寄せられた提案に対して、技術調査が行われてザハ案の事業費の確認結果は以下のように調査票で「○」が付いている上記の1300億円程度が確認されたことになる。

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この調査は次のメンバーで行われていた(総括管理者以外の氏名は当方で外してある)。

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そうそうたる各分野の技術調査員が確認した結果で、ザハ案の事業費の項目は「○」が付いて審査資料として示されていた。このような審査経過は報道でも見たことがなかった。
そしてこの事実から当方の見方としては、安藤氏も建築家であるとは云え、これだけの専門分野メンバーの調査結果を全面的に信頼したとしても已むを得ないと思われる。工事費について安藤氏に大きな責任があるとは思えない。ただし、これは当方個人的見解で当然皆さん夫々に見解もあると思う。

それでも、技術調査のやり方も含めてコンペを主催し工事費を設定したのはJSCである。また技術調査員を安藤氏が全部選んだとも思えず、JSC主導(或いは文科省を加わった)選定と想定される。
このような背景があるのだから、JSCを所管する文科省のトップである大臣は、安藤氏に説明を求めるにしても、まずコンペ経過を文科省担当者やJSCに問いただして自ら知っておくことが先決。そして「コンペ時の工事費に関しては、技術調査の確認結果が審査資料として示されていた」と云う重要な認識を持った上で、ご自身なりJSCからそのことを会見等で説明する必要があったと思う。

以上