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 動機解明不十分

本事件では、当初より動機面も大きな疑問点であり、会見で神保氏から以下の質問がなされた。
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(神保氏)「今回の事件で動機について、なぜこのようなことをやったか? 腕試しということぐらいしか出てきて無くて、それでも8年という結論なんですけども、そこについては何故やったかわからない・・・
(佐藤氏)判決の中で腕試しという指摘は確かに有りましたけども、もう一つ彼がどうしてこういうことになったのかという原因として、「国家権力に対する怒りというものに気づいた」というように言いました。それが前刑の服役中の刑務官の仕打ちというか、そういうことがあって国家権力に対する怒りがというものが芽生えたんだということを改めて自己分析したわけです。
そのことがあって、もう一つは腕試しの気持ちもあってiesys.exeを作って犯行に及ぶんですけども、その後捜査機関をあざ笑うようなメールをずっと送っていくということは、間違いなく国家機関に挑戦という面が表れていると思います。そのことは彼は否定しなかったわけです。
しかし、判決の中ではそれはむしろ悪い情状としてだけ援用された。刑務所における処遇というのは無茶苦茶だったと彼は言ってるが、耐えている人も沢山いるので、私はすぐ彼の言っていることを受け入れることは出来ません。
問題はそういうことを経験した若者が、社会生活を送る上で同僚とか職場とか上司とか色々なところで悩みを抱えた時に、それが今回のような形で、つまり直接人を殴ったりナイフで刺したりということじゃなくて、ネット上の世界で飛んでもないことを犯す。その結果誰かが逮捕される。それが報じられて又それを楽しんでいるという、やはりインターネットというものが身近な世界で生まれたならではの快楽犯罪の一つだと思います。
そこに更に発達障害ということが重なっているらしいということが分かったので、やはり弁護士ではなくて、ネット世界の精神構造というような問題プラス心理学者というか、そういう人たちがこの問題について光を当ててくれることを考えるということなんです。腕試しというのは、その中でフレーズとして使われたということだけだと思います。

(神保氏)「今回直接被害に遭ったのは国の機関ではなくて、企業や学校、イベントだったりするわけですが、対象は何でも良かったのですか? ただその上でそれを捜査する警察などをあざ笑うことに主眼があったという判断ですか?
(佐藤氏)それは全く仰るとおりで、対象が伊勢神宮だったり、様々な団体があるんですけども、そこに一個の思想的傾向があるのかなというふうにも当然プロファイリング的なことはあったと思いますが、犯行声明メール(実際はラストメッセージと思われる)の中にも自分は左翼なのか右翼なのか問いかけも有りましたけども、それについてもハッキリ言って全くのアトランダムですね。ターゲットにした人についても全く個人的な恨みがあるわけでも何でもなくて、たまたま選んじゃう。そこの心象風景が或る意味では理解できないわけで、何の恨みもない人たちにそういうことをやって、その人達が大変な迷惑を受けたとしてもそれを愉快に思うという問題。それを一回ならず、ずっと続けるということが起きているわけなので、その点は私は彼にずっと言ってることなんです。
つまり、別の言い方をするとバーチャルな世界とリアルな世界というものがあるわけです。だけどバーチャルな世界で妄想というか、空想を逞しくすること、或いはゲームの世界でそういうことは全く許されているわけですけど、それがリアルな世界に踏み込んだ時には犯罪になるという点で、ボーダーというものが見えなくなっているという世界に今の若者が生きている可能性があるわけです。
最近の事件のことは言いませんですけど、かつては起きなかったような事件が起きる、それをどう防ぐのかということもこの事件の教えてくれる一つの教訓だと思いますが、本当に残念なことに今日の判決からは、無い物ねだりかも知れませんけども、無かったわけなので、むしろ皆さんが今回の事件の教訓とは何だろうかということで、識者のコメントを求めていただくなりして光を当てていただきたい。私達も充分な答えを持っていません。
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動機に関しては、皆さんご存知のように当方は「旧本名ツイッター」が一つの鍵になるのではないかということをずっと述べてきたが、公判でもマスコミでも未だに一顧だにされない(笑)
そのため、当該Twitterが本人のものかどうかも確認できていないという問題もある。それが証明されていないから、Twitterの事を考えても意味が無いという見解の方はそれでも結構なのだが、これまで幾つもの記事で分析結果を書いてきたように当方は本人のものと確信している。(ただしプロフィールなどで合わない点があるのも事実)

本物前提で考えると、横浜CSRF犯行の約7ヶ月前もから自らの犯行予告前科の検索で出てきてしまう旧本名を使ってTwitterに登録したということは、犯行に関連した何らかの意図や計画性が、その頃からうっすらとでも有った可能性が出てくる。戸籍を変えてまでした隠した旧本名を単なる気まぐれ程度で、ネット検索で簡単に出てくるTwitterアカウントに使用するとは考えにくいと思うからである。

また、それに関連してiesysに流用したと片山氏が述べている「egservice」というソフトの問題もある。このソフトをいつから作り始めたのか。どれぐらい流用出来たのか。
特に、本当にiesysとは無関係に作っていたのか?という点が重要になると思う。もし流用するつもりで作っていたとするとかなり長期の計画性も考えられてきて、そこまでする動機や実際に実行に至る経過はどのようなものだったのか?という話にもなってくる。
「egservice」については公判でも取り上げられたのに、そこから更に突っ込んだ検証が行われなかったようであるのは残念と言うしか無い。

このように動機面でまだまだ根本的と思われる疑問が残っている。やはり、本事件の裁判では動機解明が不十分だったと言わざるを得ないだろう。

以上