kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

 隠れた真実6「警察報告書」 7「悪質性」

(本日1本目記事)
■真実6 「警察報告書」
高木浩光@自宅の日記 2013年01月19日
<2012年12月14日に同時発表されている。しかし、半月あまりでこれらのいずれの報告書もWebサイトでの掲示が取りやめられていたことが発覚した。>

2週間程度で掲示取りやめという姿勢だけでなく、内容的にも驚くべきことが多々あってこれまで紹介してきた。
例えば、神奈川県警では「250文字2秒」より根本的な「CSRFリファラ」を知らなかった件、大阪男性は東京出張時にJAL機脅迫したことになる件、警視庁報告書にJAL機の記述が全くない件、三重県警の「ID被りスルー」の件、公約した「シロにする捜査の徹底」行われていない件、等々。

各警察報告書は上記高木浩光氏のブログにあり、当方関連記事は備忘録も兼ねて以下に示す(主要なもの)。
"「シロにする捜査」問題 "2014/3/27
”第14回公判7(横浜CSRF) ”2014/8/6 (CSRF関係の記事リンクあり)
”大阪男性PC遠隔操作と府警報告書” 2013/12/12 (事情聴取の遅れでJAL機脅迫防げず)
”警察報告書から見えてくるもの”2013/12/13 (警視庁報告書にJAL機記述なし)
三重県警報告書問題点”2014/6/22
三重県警報告書問題点(続)”2014/6/24
”捜査の課題点”2014/7/1 (まとめ)

■真実7 「悪質性」
量刑比較で「黒子のバスケ事件」が重要になることは度々言及してきて、以下記事で「サイバー犯罪史上まれに見る卑劣で悪質な犯行」という言い回しは「詭弁」であるという指摘を記した。
”第19回公判検討”2014/11/26

本来「サイバー史上」かどうかより、同種事件における「悪質性」の比較評価が量刑に関して重要であろう。その点で黒子の事件と本事件は、基本罪状が「複数件の業務妨害」という明確な同種性がある。その上で「被害の大きさと手口」が量刑に効いてくると考えられる。
損害額は黒子の事件が1億円以上と言われており、本事件はJAL機で975万円の損害とのことで(http://mainichi.jp/select/news/20141121k0000e040220000c.html)全体でも数千万円レベル。

そして手口であるが、本事件は誤認逮捕を意図したことが特に「悪質」と見られているだろう。だが黒子の方も400件を超える脅迫状を1年以上に渡って出し続けたという悪質な犯行形態がある。本事件犯行は2012年6月29日から9月10日の約2.5ヶ月であり、期間的にも脅迫数でも社会に対する影響は黒子の方が多大。

しかも、本事件は自発的に犯行を止めているが、黒子では逮捕されなければ更に続いていて、放火まで計画していたと話している

更に、本事件では犯行予告や脅迫状に書かれたことは一切実行の気配もなかった。黒子の方は上智大学での硫化水素発生、微量ながらセブン-イレブン陳列食品への毒物混入があり、リアルでの行動も伴っている。

また、本事件では横浜CSRF事件後の告白文送付は未発見だが、犯行声明メールでiesysではないCSRFも明らかにされて大学生は釈放された。iesysでも10月9日メールでは<福岡の方はまだ報道されていなかった。それで「福岡の○○さんを助けてあげてください」と書いた>と第14回公判で証言。黒子の方はそのようなことは全くなく、前述のように最後は放火までやるつもりだった。

このように黒子の事件を同種として比較すると黒子は求刑4.5年なので、2倍以上も重い求刑では量刑相場逸脱になるだろう。そのため無理筋のハイジャック防止法違反適用だけでなく、「サイバー犯罪史上…」ということにして、逸脱の理由付けをしたのではないか。これで求刑に引っ張られる形の判決が出たら、後々量刑の整合性に対して深刻な問題となることを危惧する。

なお、黒子の事件の犯人は全く反省の意思を見せていないが、彼にも長谷川氏のような情状鑑定を行って、その際にカウンセリングも実施して矯正の道を探すことが必要と思われるが、刑事司法上果たしてそのようなことは行われるのだろうか。

以上
[追記]
「悪質性」の比較に関しては次の二つの記事を追加した。
"[PC遠隔操作事件] 他事件におけるウィルス作成罪他への判決" 2015/1/6
"[PC遠隔操作事件] 悪質性の評価" 2015/1/7

追記以上