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 隠れた真実8~13

(本日2本目記事)
■真実8 「掲示板荒らし」
江川氏第12回公判記事で以下のような証言が有ることに気がついた。
<その頃、ネット上でいたずらをしたことがあったか? 
 そういえば、掲示板荒らしを中学の頃からやっていた。

これは当方から見ると非常に重要に感じる。というのは「掲示板荒らし」がエスカレートして前科時の2ch犯行予告につながった可能性があり、今回の犯行もずっと手が込んでいるとは云え、同一延長線上にあると見ることも出来るのではないか。
つまり、ルーツや発端は中学時代だっかたかも知れない。彼の今までの人生のピークとも思える小学校時代から、第三志望の中学に入り、彼の証言ではイジメも受けて屈折した反社会性の芽生えがあったのだろうか。
それに高IQの地頭の良さと、成長につれて熟達したネットのスキルや社会人でのソフト開発経験などが相まって今回の犯行に至ったか。

更に同公判では、<S先生の調書によれば、あなたは小中学校から学校には居場所がなく、友だちがいない。>とあり、小学校時代からも何か徴候があったかも知れない。
彼は自分でも「嘘を平気でつける」と言っており、「自分で自分が分からない」と云うことも言っている。このような兆候が何時からあったのか、中学か、小学校か、もっと小さい頃からか。
特に反社会性に繋がりやすいと思われる「嘘」を何時頃から頻繁につくようになったのか。嘘の数や内容は年齢とともにどう変化してきたか。悪質さがあったとすれば何時頃から目立ち始めたか。

この辺の解明が片山氏心理状態を考えるに当たって重要と思われる。当然ながら母親はこのような時系列を相当知っている(中学になってからは学校のことを家で話さなくなったとのことで、それ以前は話していることになる)。また各学年時の同級生の話なども重要だろう。
そして、長谷川氏の鑑定は生育過程全体にも迫っていると思われる。本事件の隠れた真実として、「未公表の情状鑑定書」の存在は極めて大きい。(社会にとっても必要と思われ、当方はいつか日の目を見ると期待を込めて確信している)

■真実9 「雲取山
USBメモリを埋めた位置」に関して、埋めた本人ならあり得ない間違いを証言したことで、以下記事を手始めに詳細検証を行ったことは皆さんご存知の通り。
”第14回公判6(埋めた場所の証言)”2014/8/4

しかし、結果的に片山氏の山頂行動などについては多くの不明点が残ったままである。
それで、現時点の雲取山に関する「隠れた真実」としては、ややこしい話であるが、「真実が判明しておらず、疑問が多々残ったままである」ということ自体が世間に知られていない隠れた真実ということになる。

不明点の概要としては、埋めた位置の証言が違っていたことは第16回公判で弁護団から述べられたようだが、一番ポイントになると思われた「10:51写真に掘った穴が写っているかどうか?」については、結局明らかにならないまま結審になった。それ以外にも「10:40頃山頂到着し、到着後5分ぐらい人がいなかった」と云う片山氏証言が、他の登山者のヤマレコ投稿写真と矛盾するなど、多くの疑問が残っている。考察記事の例を示す。
”「10:51写真に穴が写っている」という仮定からの考察”2014/10/1
雲取山の問題を更に単純化して検討”2014/10/8

■真実10 「旧本名Twitter
このTwitterは当ブログではずっと注目して紹介してきたが、公判等でもネット上でさえも、存在すら取り上げられているのを未だに見たことがない。しかし、特に「旧本名使用動機」と映画「時計仕掛けのオレンジ」の関連性などは片山氏心理解明において重要と思われる。当方検討記事例を以下に挙げる。
”第14回公判(刑務所と「時計じかけのオレンジ」)”2014/8/7
”動機と旧本名Twitter ”2014/11/14

なお、第17回公判で野間氏が示した資料の中に「Facebook」という項目が一行あり、片山氏は「Facebook」もやっていたようである。内容は全く示されなかったが、少しでも犯行や心理の手がかりになる記述があるかも知れず、これも本来は重要と思う。

■真実11 「リアルタイム性」
当初より当方が重視していた「アクセスログによる犯行立証」に関して、「iesys遠隔操作のアクセスは遅延できるのではないか」と考える人が2ch等に結構おられて、その反証の意味も含めて多くの検討を行った。
アクセスログによる犯行立証に関して”2013/5/26
”リアルタイム操作の検証(リアルタイムと推定できる)”2013/6/27
”遠隔操作他のリアルタイム性検証” 2013/9/16
”愛知遠隔操作のリアルタイム性” 2014/4/12

最終的には、自分自身を消すという特殊な機能を持った「suica」コマンド以外はリアルタイムと想定される。
警察はiesys入手後早期に機能解析して、リアルタイム性も分析済みであることは間違いない(その結果を当初から発表してもらいたかった)。また弁護側も野間氏などが分析を行っただろう。
その上で、もし仮に遅延アクセスが可能で実際にも行われていたら、アリバイ面等でもっと論議になっていると思われる。よって結果的にリアルタイムと考えられる。

■真実12 「ソフト流用の流用」
「片山氏のC#能力でiesysが作れるか?」と云うことは、当初からの大きな課題であった。当方はiesysを含めてトロイ開発期間が「横浜CSRF犯行後から大阪犯行前までの約1ヶ月間」と推定し、片山氏が業務でC#を使っておらず、派遣先の乙社での本来業務もあり、開発困難ではないかと見ていた。更に7月から心療内科受診ということで、業務以外とは云え新構想のソフト開発を出来る状態だったのか?という疑問もあった。

その後検察側は2013年7月証明予定事実記載書第三部で、「2012年6月末頃から8月20日頃にかけて、派遣先PCでiesys.exeを開発したが、その間派遣先の業務には殆ど従事していなかった」と主張した。
しかし、片山氏は冒頭陳述などで「業務で試行錯誤していた、それなりの成果物はあった」と主張し、野間氏の分析でも裏付けされつつあったのは「隠れた真実5」で記した通り。

また、第4回公判では検察側の新井証人から開発期間について証言が有った。
<――証人がiesysを開発するとしたら、どれくらいかかるか?→ 1ヶ月程度。>
警察のサイバー捜査官採用は難関で新井証人も優秀な方であることは間違いなく、その方でも1ヶ月と見ていた。それでもし片山氏証言の「それなりの成果物」が出てきて、業務を行っていたことが証明されたら、やはり無理ということになるのではないかと感じていた。

結果的には片山氏が作成したと自供したが、それでも約1ヶ月での開発にはまだ違和感があった。
それに対して第13回公判で以下の証言があった。
<ーーiesysの元は?→ 私が作った、egserviceと名付けたツール。webアプリのテスト工程を自動化できたらいいなと思って、自宅で少しずつ作っていた。
 ーーそれを変えることにしたのは?→ 7月のCSRFで誤認逮捕に成功してしまった後。脆弱性のあるサイト以外もターゲットにできるようにしようと思い、egserviceをちょっと変えれば、悪いことに使える、と。> 

これが本当だとすると、「egservice」が元々iesysに流用できる機能を相当持っていて、それをベースにしたから1ヶ月以内で作れたという事になりそうである。
片山氏が作れたと主張されていた方々は、「iesysはwebからの流用が多い」という理由を挙げる人が多かったと思う。しかし、生越氏も次のように言っておられたが、流用多数でもそれらを組み合わせて短期間で所望の機能を動かすのは能力がないと出来ない。
<ソフトをコピーして作るというのも能力の内で、それが出来るんであれば「出来る二流」ぐらいにはなれるわけですが、彼からはその雰囲気も感じられなかった>

また、第4回公判で検察側証人から<iesys本体である「egservice」のソースコードを分析すると、ウェブで探して見つかる情報のコピー(引用)が多い>という証言があった。
これらを総合すると以下のようになるだろう。
  ・「egservice」という以前から片山氏が作っていたソフトがあり、それはwebからの流用が多かった
  ・「egservice」は、ちょっと変えればiesysに流用できるような機能が作りこまれていた

つまり、iesysは「流用の流用」だったから短期間で出来たという説明になると思う。そのため、ベースになるegserviceの開発期間も含めるとやはり1ヶ月では無理だっただろう。
加えて、自宅で主に開発していたという片山氏証言も出てきている。
(なお、実際の開発期間は約20日ぐらいだったとのこと … 当ブログ2014年6月15日記事参照

よって、当初の検察側主張を基にした推測…「自宅では開発しておらず、会社に行って業務も行い、しかも業務ではC#を使用していないのに、隣にいる同僚などからも隠しながら約1ヶ月(前述のように実際は約20日)で開発するのは無理」は合っていたことになるだろう。ただし、結果的には「片山氏は開発出来た」という見立ても合っていたことになる。丁度中間的な結論になって興味深いと感じている。

なお、それでも謎が残る。真犯人メールに以下のように書かれている。
<iesysは元はegserviceという名前のVC#プロジェクトでした。…片山氏の会社のPCから盗んできたものです。リネームの上、…、全く違うプログラムに改造しました。>

 ・「リネーム」となっているには、「egservice → iesys」と云うように名前変更したのか?
 ・「全く違うプログラムに改造しました」ということは、egserviceはiesysとは違うソフトになる? 
 ・前述のように「iesysはegserviceをちょっと変えた」ということだから、真犯人メールの記述は偽装?
 ・元のegserviceは見つかっているのか?(exeでもあれば逆コンパイル出来る
 ・検察側証人の証言ではegserviceのソースコードが有るようだが、それは片山氏が作成していたという業務用のegserviceと同じものなのだろうか?
この件は、分からないことがまだ多い。

■真実13 「ハイジャック防止法適用の問題点」
この問題は判決の行方を大きく左右すると思われるので、別途独立した記事にする予定。(12月16日記事で掲載)

以上
(「隠れた真実」シリーズはここまで。途中からこれまでのまとめも意識して書いたので予想以上に分量増加。また「隠れた謎」の方も多々あるが、多すぎて「謎シリーズ」はとても困難(笑))