kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

 「一世一代」

今日の表題は奇異に感じられると思うが、後で説明するとして、その前に生越氏の本事件に関するブログをご紹介。
”遠隔操作裁判に行って来た(3)  ”2014年05月16日

日付は5月16日で第8回公判が開かれ、午前中に真犯人メールが届いた日である(生越氏の本事件に関する記事はこの日付の前後にもあり、参考になると思うので興味ある方は閲覧推奨)。
ただ、生越氏が会われたのはシンポジウムの発言によると5月の公判後ということであったが、上記ブログには5月16日記者会見後に片山氏と会って話をしたという記述は無い。同日に会ったが何か差し障り等があるので書いてないか、或いは4月の第7回公判後などにお会いになったのか、又は保釈されていた時期だから公判以外の日に会うことも不可能ではない。それで生越氏が片山氏に会ってシンポジウムで話された心証を得たのが何時だったかは現在不明。

なお、生越氏発言やブログにある「無能」と云う言葉は非常にキツイ印象になるが、生越氏自身はそれほどハードなニュアンスで言っておられないと思うので、尊重してそのままにしている。ただし、当方考察部分では、同じようにキツイが若干はソフトかなと思える「三流」に言い換えている部分もある。またシンポジウムの司会をつとめられた八木氏は、自身のブログで生越氏発言の趣旨を次のように記述をしておられる。
<一方で、ITの専門家から見ても、決して高度の技量の持ち主ではなかった片山氏。二重人格ということではないにしても、「狡猾で用意周到な犯人」と「間が抜けた実像」の二面性があったことを生越昌己氏が指摘。> )

さて、表題の件であるが、「一世一代」とは、生越氏見解に触発されて、片山氏がやったことを改めて考えてみて当方が感じたことである。
生越氏見立てのように、片山氏が「三流の人」と「ちょっとマシな二流の人」の二面性を持っているとして、彼のやったことを考えるとどうなるか。主要な行動を評価してみる(善悪評価は別とする)。
-------------------
(1)前科事件…セキュリティ未設定の無線LAN便乗という、容易に思いつきやすい手口。犯行予告文のテキストファイルをPCに残してしまって逮捕された。
(2)横浜CSRF事件CSRFは古典的手口。誤認させるための配慮はしたが、肝心のリファラ対策が抜けていた。250字2秒もあるが、本来はリファラの方でCSRFがすぐにバレていた。
(3)iesys使用のトロイ…日本特有の掲示板を使用し、代行書込みとTorを組み合わせた斬新な手法。遠隔操作に成功して3人の誤認逮捕者を出した。
(4)雲取山…謹賀新年メールのクイズは余りセンスが感じられない(これは当方個人的感想…延長戦も同様)。マスコミ各社に登山競走させるつもりだったが、実際は警察しか登らなかった。
(5)江ノ島雲取山で発見されなかった挽回を図ったが、結局は警察が現場に行ってメモリを回収し、肝心のラストメッセージは本来公開されないところだった。しかも首輪装着時に監視カメラに映ってしまったし、そもそも人出が多い三ヶ日で装着時間帯が観光客写真によって特定されてしまった。
-------------------

(3)を除くと、「三流」の面が多く出ていると見ることが出来るだろう。(3)は成果としては一流レベルだったとも考えられるが、iesysの作りはそう高いレベルでは無いようで「ちょっとマシな二流」で合っていそうである。また、仕事の方も乙社での進捗が大幅に遅れて結果的に派遣解除につながったようだが、これも一流の能力を持っていたら、そういうことは無かっただろう。

ということは、(3)iesysだけ結果が非常にうまく行った。これを当方は「一世一代の成功」と見るわけである。
そこから出てくるのは、検察側が10年にも渡る長期間の矯正が必要ということで、「再犯」の可能性を高く見ていることへの疑義である。
「ちょっとマシな二流」レベルで、「三流」の面も多く出てくる人物が、たまたま上手く行った「一世一代」の大成功を再びやれるかというと、それはなかなか困難なことではないか。しかも顔と名前が売れすぎていて、多少うまく行ってもすぐ疑われるという、非常に厳しい手枷足枷がある。

このような条件があるのに、検察側は再犯の可能性をどうやって判断しているのだろうか。長年の経験の蓄積等で再犯可能性を見抜く手法やノウハウなどがあるのだろうか。まさか担当検事の勘だけということは無いと思うが、今回はどうだろうか・・・。
また、検察側の主張は「取調べをしなくても有罪に出来る証拠は充分掴んでいた」ということであるから、それだけ安易に証拠を残してしまう「お間抜けな人物」と言っているに等しい。暴力や窃盗などの事件と違って、サイバー犯罪はネットやデジタル機器のセキュリティの穴を突く必要があり、一世一代の犯行をまた出来るかどうか。

以上
[追記]
「三流」と「ちょっとマシな二流」という見立てに対して、IQ141の項目があるということは、非常に鋭い能力を発揮する部分があるのかもしれない。又IQ平均126というのも相当優秀な知能である。つまり地頭が良いのは間違いないだろう。
しかし、実際にやったことを見ると、上記(1)~(5)のように(3)iesysを除くと、お間抜けな部分が多すぎる。総合的には「三流」と「二流」をならして、2.5流ぐらいの能力か。会社での「あいつには(この犯行は)無理」というような評価とも合致しそうである。
知能指数の高い部分があっても、そもそも知能指数で測れない知能の部分で大きな欠落があって、結果的に抜けが多くなるのかも知れない。例えば「細かい配慮」などは知能指数テストで表れるのだろうか(当方未把握)。

このような人物が世間に名前・顔と犯行歴が広く知られて、警察や周囲の監視の目もある中で、再度権力に挑戦して鼻を明かすことが出来る危険度が非常に高いと本当に検察側は考えるのか。また、それでも彼が企んだとしても、警察のサイバー捜査陣が今度は目星もすぐ付けられる2.5流の人物の犯行を、又見破れないほど何時までたっても進歩しないと検察側は考えているのだろうか。

それと、誤解を恐れずに言えば、実際に予告内容を全く実行する意図はなかった犯行であり、懲役10年というような刑罰は、他事件とのバランスも考えれば3度めの犯行を行なった時に課すのが相当なレベルではないかと思う。
そして量刑に対する社会全体の考え方については、近年厳罰化の流れがある中でこのまま更に進めるのか、或いは厳罰化の先にはもっと矯正重視にするなどの方向転換も有り得るのか、今後真摯な議論を行なっていく必要があることを強く感じる。

追記以上