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 動機と旧本名Twitter

片山氏は第18回公判で、「刑務官への怒りと犯行とは直接つながらないのでは?」という弁護人からの質問に、<何年か経って(怒りがまた)湧いてきた。権力的なものに対して復讐心があった>と証言した。この「何年か経って湧いてきた」というのが、「旧本名によるTwitter開設の時期」と関連している可能性があるのではないか。

まず旧本名使用は「服役前の自分」ということを意識して使ったのではないかと当方は考えている。
更に「刑務所での扱い」に関連すると思われる「時計じかけのオレンジ」と云う映画から取った画像をプロフィールと壁紙に使用。(Twitter画像掲載記事 http://blogs.yahoo.co.jp/kensyou_jikenbo/54247221.html
同映画は「刑務所で人格改造が施された」ということが重要な設定になっている。

片山氏は刑務官から酷い扱いがあったと主張して、<川越刑務所の最初の8週間で受けた心の傷は今も残っている(第12回公判)>と証言している。もし「今も残る心の傷」と「人格改造」を重ねあわせたとすると、まさに「時計じかけのオレンジ」と共通点が出てくる。またTwitterの開設時期は2007年の出所から時間が経った2011年11月であり、「刑務官への復讐心が時を経て出てきた」という経過説明との符合が考えられてくる。

しかし、片山氏は第12回公判で刑務官の仕打ちと自分の立場や心境を、「フルメタル・ジャケット」というベトナム戦争を題材にした映画に出てくる登場人物に重ね合わせて説明していた。
刑務所の話なら「時計じかけのオレンジ」の方がシチュエーションが合っている。(因みに関係するかどうかは不明だが、両方の映画ともスタンリー・キューブリックによる製作・監督)
ただし、「時計じかけのオレンジ」では国家権力(内務大臣)による人格改造実験ということで、刑務官がメインではない。そのため閉鎖空間内での直接権力行使者(刑務所では刑務官、軍隊では上官)の個人的キャラクターによる扱いを「フルメタル・ジャケット」の上官(軍曹)の方で説明したこと自体は納得性があると思う。

だが刑務所内で後まで残る心の傷を受けたとすると、やはり「時計じかけのオレンジ」の方も例に出すのが自然ではないだろうか。また、Twitterの画像を見たら知っている人はすぐに分かるから、片山氏は敢えて同映画との関連を表したかったことになる。結果として同映画に思い入れがあることは確かなのに、全く話は出ていない。これは片山氏として何か思うところがあって、そうしていると考えざるを得なくなってくる。

弁護人に同映画のことを話しているかどうかは不明だが、刑務官への怒りの説明にもなることだから、もし話していたら会見で紹介される内容だろう。
また、鑑定書にはTwitterの件は出てくるのだろうか。公判でも全く取り上げられていないので、長谷川氏にはTwitterがあることさえ伝わっていない可能性もありそう。更に片山氏が面接でも話さなければ、鑑定を行なっても全く知らないということが考えられる。

しかし、「のまネコ事件」後に戸籍変更までして消した旧本名をわざわざ使い、動機との関連を連想させる映画の画像も使っているTwitterの存在が、公判でも多分鑑定でも検証されないまま本事件裁判が終わってしまう事になり、個人的に大きな疑問を感じる。

また、昨年2月の逮捕からこれまで長期に渡って片山氏と事件の関係について様々な吟味が行われてきたにも関わらず、このTwitterのように「未だ片山氏から語られていない事実」があるということ自体も、本当に不思議な事件であると思う。(他にも例えば「横浜CSRF事件後に同じ手口で告白文を送った」という重要な事項について、具体的にどのように行なったかの話が無いなど、未解明の部分は多く残ったままになる…未解明事項の多さは別途検討予定)

なお、刑務所での仕打ちと「時計仕掛けのオレンジ」との関係考察は以下の記事などもご参照。
”第14回公判(刑務所と「時計じかけのオレンジ」) ”2014/8/7

以上
「追記」
makotosarutaさんからコメントを頂いた。
>刑務官→国→警察、怒りの三段論法ってあるんですかね。内容を聞いても、やっぱり腑に落ちないですね。
三段論法的な部分は片山氏証言を要約したものであるため、怒りの方向性をこのように言っていること自体は事実となる。

>やっぱり脳内で創られたものという感じがします。
怒りの方向性は片山氏が述べたものであっても、その話自体が「創作ではないか?」というのは非常に鋭いご指摘と感じた。佐藤氏も「片山氏はバーチャルとリアルの区別がついていない」と言っている。「時計じかけのオレンジ」や「フルメタル・ジャケット」という映画のバーチャルな世界と自分の服役体験を結びつけて、ストーリーを創作して犯行に及んだという可能性は考慮対象とすべきだろう。

ただ、その場合の課題として時間というファクターがある。makotosarutaさんも「怒り」と云う動機に対して、「服役から犯行までの期間(約5年)が離れ過ぎている」という指摘をされている。確かに出所後は普通に会社勤めをしてリアルの趣味も充実しており、怒りがそれほど長く続くのかという疑問は出てくる。同様に旧本名Twitter開設から犯行までも約7ヶ月もある。片山氏はストーリーを創って、時間をかけて計画的に犯行に及んだのだろうか? 
この辺の心の動きは、片山氏自身から真意を話してもらわないと、外部からでは容易に分からない。

結局動機に関しても又雲取山のように「片山氏の証言は自供後であってもどこまで信憑性が有るか?」という問題になってくる。供述の信憑性を見るには、一つ一つの証言の裏付けを綿密に取っていくしか無いだろうが、それが出来るような公判はもう無いし、心理鑑定は証拠として取り上げられなかった。このまま闇の中になりそうである。

なお、片山氏証言の信憑性で雲取山以外にずっと気になっている事がある。前科の裁判になるが、中学時代のいじめの話で「のこぎりで頭を切られた」という証言が阿曽山氏の傍聴記にある。しかし、名門の◯◯院で本当にそのようなことがあったのだろうか。先生や友人等に聞いてみるべきだったと思う。特異な証言は事実確認しておくことが全体的信憑性の検証にもなったと思うが、前科の裁判時も含めて司法は顧みないようである。
また、本来は本事件においても「片山氏への刑務官の扱い」の調査まで必要だったと思うが、これは閉鎖空間の中の出来事なので該当刑務官を実際に告訴するなどしないと実態把握は困難だったかも知れない。

追記以上