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 愉快犯(前科事件との関連)

今回公判の報道で毎日新聞が<片山被告は5月に一転して起訴内容を認めた後、動機について「腕試し」「愉快犯」などと述べていたが、・・・>と報道したことはご紹介済みである。
この中で「腕試し」については検証したが、「愉快犯」も重要と思う。佐藤氏も以前の会見で「愉快犯的なところがある」と述べていた。

まず本事件のルーツとして前科事件から考えてみると、その動機は以下記事がよくまとめていると思う。
”片山容疑者、いじめ被害で変わった?  「のまネコ」騒動で「誤った満足感」”2013/2/12 20:28
<片山容疑者は当時、自分の書き込みで掲示板が盛り上がるのを見て、「誤った満足感」に浸っていた。 中学時代から殴られたり蹴られたりするいじめを受け、大学でも、「ノリが変だ」などと言われ、片山容疑者は、友だちもできなかった。就職活動もうまくいかず、自分は社会に必要のない人間だと思うようになった。そして、それだからかえって、人からの反応を得たかったというのだ。 その背景について、片山容疑者の(当時の)弁護士は、自己否定されることに過敏で人との交流を避ける「回避性人格障害」があると公判で主張した。つまり、現実に得られない喝采をネット上で受けることで、自分はまともな人間だと自己満足したかったということらしい。>

まさに「愉快犯」と云うことを表しているだろう。
更に同記事の<自分が正義感に駆られてレコード会社を糾弾・・・>という部分にも注目したい。
のまネコ」事件では、某音楽会社の行動も問題があったと思われる状況で、謂わば「義憤」にかられたという素振りを見せつつ犯行予告や脅迫を行なっている。その上で本当の目的は「盛り上がりを見て満足感を得る」という愉快犯だったことになる。

今回の事件では、「刑務官への怒り」という「私憤」から「刑務官を監督する国家権力への怒り」という「公憤」につながって、結果的に警察を右往左往させたと説明している。しかし、例えば第14回公判で以下のように証言している。
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――犯行声明メールで事件の目的はなんと書いた? 
警察と検察をはめてやりたかった、と。 
――それは本当の目的か。 
ではない。むしろ世間を騒がすことの方が大きかった。というより、そっちが100%。そう(警察・検察対象と)書いたのは、一種のキャラクターづけみたいなもの。ネットでいう「ツリ宣言」でした。
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つまり本事件も愉快犯と云うことになる。今回公判でもそのことを片山氏は隠しておらず、<当時は誤認逮捕者や被害者のことを想像して楽しんでいたが、それは間違っていた>というように率直に述べていた。
結局両事件とも、「義憤」や「私憤・公憤」をまず置いて、それを晴らす手段として犯行予告や脅迫を行う → 犯行の具体的手法を考案・実行することが「腕試し」になる → 最終的にはネットや世間で騒がれることを楽しむ、という構図になるだろう。
前科の時と構図は変わっていないと考えることが出来て、人間の行動としては、よくある事とも云える話。
結果的に、動機としては「怒り」・「腕試し」・「愉快犯」の大きく3つからなると考えるのが適切ではないかと思う。

なお、詳細事情までは分からないが、今回公判で鑑定書の証拠請求を止めた経緯として以下のような趣旨を片山氏が証言していた。
自閉症スペクトラム症」という診断は納得できた。しかし、前科などの本事件に至った経過が正しく伝わっていないので弁護人と話して取り止めた
これからすると長谷川氏の分析は前科との関連も何らか検討されていそうであり、やはりこのまま埋もれさせるのは勿体無い。また、本事件に関連して前科の事件を考えることは、色々な面で予想以上に重要かもしれない。

以上
[追記]
昨日改めて紹介した旧本名Twitterの開設は2011年11月この年は3月に東日本大震災原発事故があった。11月というと約7ヶ月後で、復興や原発の収束などには程遠く、日本中が落ち着きを取り戻したとは到底言えない時期だっただろう(特に関東含む東日本)。
3.11やその後の状況をどう捉えたか。日本人の殆どがそれぞれ色々なことを考えた年に、旧本名でTwitterを開設したのはどういう思いがあったのか。当時の心境を聞いてみたいものである。

また、今年保釈後再開して、例えば4月には以下のようなツィートをしている。
自衛隊はあったほうがいい、原発はなくしていくほういい。このスタンスだと“エア中立”に入るのか?>
その他にも色々な社会的出来事に見解を書いている。全体的には、真犯人メールではネトウヨを示唆しているが、謂わば”マイルドなネトウヨ”というようなスタンスだろうか。

彼の思想的傾向は別にしても、原発にも関心があったわけで、3.11のあった年にも意見などを発信していた可能性が想定される。つまり、別アカウントのTwitterなどがあったことも考えられるのではないか。
更にもっと期間を広げれば、片山氏はネットのヘビーユーザーだから、種々のネットメディアに色々書き込んでいたと思われ、それらの中に真の人物像につながる手がかりもあっただろうと思われる。捜査本部はどこまで収集分析したかということも問題になると思うが、これも明らかにならないままになる。

追記以上