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 二つの動機

昨日記事で、動機は「腕試し」と「刑務官への怒りから転化した権力への怒り」と片山氏が証言していることを記した。
まず、後者の「怒り」の方について、報道や会見では出ていない片山氏の説明をご紹介。

恨んだ刑務官は3名。しかし、名前が分かっているのは1名のみ。「酷い扱い」の証拠もない。これでは刑務官を訴えることも出来ないという無力感から、監督している法務省や国の方に怒りが向かった

このような証言に対して、弁護団・検察官・裁判官共に「刑務官への怒りがなぜ権力への怒りに結びついたのか?」という趣旨の質問が出された。
片山氏の答えは<「国家権力行使できる人なら何でもいいんだ」とつながって、結果的に「警察を右往左往させよう」となった>とのことだった。
また、刑務官から国家権力に向かったことをクラウド化」「一般化」と表現していた。ネットの向こうにあるクラウドのように、刑務官の先には国家権力がつながって広がっているということだと思われる。

これらに対する当方見解としては、マスコミがすぐ反応した「国家権力」という言葉の仰々しいイメージとは違って、刑務官→国→警察と向かったという、謂わば短絡的な発想の結果ではないかと思っている。
それため独自見解では、片山氏心理に対して、より重要なのは「腕試し」という動機の方ではないか、とも考えている。

特に重要な事は、犯行を開始した6月頃は仕事の遅れでスランプが深刻化してきていて、iesysを開発したという7月には心療内科を受診開始している。
「怒り」が主な動機だとすると、このような精神状態の時に「怒り」の感情を保ち続けられるか?、という疑問がある。スランプで抑うつ状態になったような時には、「怒り」も持てない状況ではないか。怒るには精神的エネルギーが必要だから、抑うつで気分が沈んだ状態とは相反すると思われる。

それが「腕試し」ということであれば、「楽しい」という感情につながるから、「新型うつ」のような感覚で両立できるかもしれない。(或いは2014/5/12記事で紹介した「社内うつ」 http://blogs.yahoo.co.jp/kensyou_jikenbo/54227054.html) 
今回公判でも片山氏は「当時は楽しんでいた」と証言していた。
鑑定書で「腕試し」のことが触れられているかどうか、スランプや「抑うつ状態」との関係はどうだったのか、などいつかは内容を知りたいものである。

以上
[追記]
2012年7月よりの心療内科受診については、iesysを短期開発できるような心理的好調状態とは両立しないのではないかということで、当方として詐病の可能性にも以前から言及してきた。しかし、裁判ではこれまで詐病の可能性は全く取り上げられなかったと思われ、「詐病ではなかった」と想定することになるだろう。
また、片山氏は前科の前後の頃も精神科のS医師に診てもらっていたということで、全く初めての人より受診のハードルは低く、それほど深刻ではないレベルの変調でも受診したことも考えられる。

ただし、結局予定されていた担当医の証言は無いままで結審に進むことになった。真犯人メールがあって状況が変わったとはいえ、その前から担当医証言は理由不明の延期があった。自供後でも当時の医師から見た精神状態は重要な情報になることは確実だったにも関わらず尋問が行われなかったことは、やはり気になる話ではある。

追記以上