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インターネット端末利用営業の規制に関する条例について

「ネットカフェでの動作実験」の話が出てこなくなって久しいが、今後アリバイ立証の攻防になってきた際にもネットカフェでのアクセスが持ちだされてくる可能性はある。
それでネットカフェ事情を調査してみた。
(ただし、遠隔操作はリアルタイムであろうというのが当方推測で、近日中にその考察を掲載予定)

そうしたら、東京都では「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」というのがあって、平成22年(2010年)7月1日から施行されていた。
その条例では、以下が義務付けられている。
 ①本人確認
 ②通信端末機器特定記録等の作成・保存
 ③上記①と②の三年間保存

「通信端末機器特定記録等」には”通信端末機器の番号その他の顧客に提供した通信端末機器を特定するための事項”が含まれていて、客がどのPCを使用したか記録しておく必要がある。
これで、東京都に関しては、氏名・住所等で検索すればすぐに利用履歴が調べられる。
本人確認書類の偽造という手は考えられるが、それを除けば東京都内のネットカフェを利用して、その利用記録を残さないことは無理のようである。

当方は、「被疑者利用のネットカフェは今まで話しにでてきている秋葉原の店(店名未公表)以外には無いのだろうか?」と考えていたが、都内の他店を利用していれば警察はすぐに掴める。
よってまずは都内では秋葉原の店だけと考えてよいようである。

以下にこの条例の内容抜粋を示す。(警視庁の説明資料がわかりやすかったのでそれを使用)
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警視庁”インターネット端末利用営業の規制に関する条例について”
「平成22年7月1日から本人確認が義務になりました」

”インターネット端末利用営業の営業者向けしおり”
(3)顧客の本人確認記録の作成・保存について (当方注:P8・・・以下同様)
「インターネット端末利用営業者(当方注:ネットカフェなど)は、本人確認を行った場合には、直ちに、本人確認記録(下記参照)を作成しなければなりません。
本人確認記録の様式は定められていませんが、文書、電磁的記録又はマイクロフィルムによって、その記録を役務提供を終了した日から3年間保存しなければなりません。
(当方注:表は「本人確認の記録事項」で日時・氏名・住所等)

(5)通信端末機器特定記録等の作成・保存について (P11)
 インターネット端末利用営業者は、役務提供を終了した場合、直ちに通信端末機器特定記録等(下記参照)を作成しなければなりません。
 通信端末機器特定記録等の様式は定められていませんが、文書、電磁的記録又はマイクロフィルムによって、その記録を役務提供を終了した日から3年間保存しなければなりません。
 なお、顧客が閲覧したウェブサイト等の内容や履歴等、通信内容に関わるものについては記録を作成・保存する必要はありません。

 「通信端末機器特定記録等の記録事項」
◆顧客番号その他の顧客の本人確認記録を検索するための事項
 (通信端末機器特定記録等と本人確認記録を相互に連関して検索可能にするためのものを言います)
◆通信端末機器の番号その他の顧客に提供した通信端末機器を特定するための事項
◆顧客が入店した日付及び時刻
◆顧客が退店した日付及び時刻

3 努力義務 (P12)
 インターネット端末利用営業者は
  ◆顧客が入力した情報を他人が不正に利用できないようにする機能を有するソフトウェア(セキュリティ対策ソフト、リカバリーソフト等)を備えた通信端末機器(パソコン等)の提供
  ◆防犯カメラの設置
等、インターネット端末利用営業が犯罪に利用されることを防止するための措置を講ずるように努めなければなりません。

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東京都の事情は以上だが、東京以外では同じような条例ができたという記事が見つからなかった。
東京だけがずっと先行しているようである。
2ちゃんねる事件」(千葉稲毛)の件があるので、千葉の状況を調べみたら、千葉日報の記事を紹介しているブログが有った。
記事抜粋によると「昨年(2010年)の(千葉)県警の実態調査では、県内131店中82店が確認を行っていた」とのこと。
資料的には少し古いが東京都よりは規制が緩いとは言えそうである。

”ネットカフェでの犯罪が増加 店側の対策は 千葉”
・・・
インターネットの匿名性を利用したサイバー犯罪の発信源にもなっており、県内では2008年6月、ネットカフェから成田空港に爆破メールを送った男が威力業務妨害容疑で逮捕されている。このほかにも、利用者の特定が難しいとされるネットカフェのパソコンを悪用し、違法、有害情報が配信されているとみられる。
 こうした犯罪を防ぎ、容疑者を特定するため県警は、各店舗に防犯カメラの設置や免許証などによる客の本人確認を要望する。昨年の県警の実態調査では、県内131店中82店が確認を行っていたが、2008年の128店中79店と比べるとほぼ横ばいで、6割前後を推移しているのが現状だ。東京都では条例で本人確認を義務化している。 "
 【千葉日報(2011年) 3月6日より抜粋

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なお、全国的にはどうかというと、「日本複合カフェ協会」というのがあって、そこでガイドラインを作成しているようなので、東京都(大阪も何らかの条例あるらしいが)以外はこのような協会の自主規制に任せているのではないかと考えられる(ただし、これは当方の個人的推測)。

日本複合カフェ協会” (wikiより)
日本複合カフェ協会(にほんふくごうカフェきょうかい、Japan Complex Cafe Association、略称:JCCA )は、インターネットカフェや漫画喫茶を運営している事業者を統括する業界団体。」
日本複合カフェ協会では、複合カフェの業界健全化のために、店舗運営ガイドラインを制定している。
 ・会員制度の採用の努力義務: ネット犯罪や店内備品の万引き対策など犯罪の抑制または防止、利用者の本人確認の必要性などの理由により、2005年9月1日の第5回総会で店舗運営ガイドラインが改定され、新たに会員制度の採用の努力義務が盛り込まれた。現在、加盟店舗の多くが会員制となっているのはこのためである。 
 ・防犯カメラなどの設置: これもネット犯罪や店内備品の万引き対策など犯罪の抑制または防止などの理由により、2005年9月1日の第5回総会で店舗運営ガイドラインが改定され、新たに盛り込まれた。」
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結論的には、「東京都は条例できっちり規制されている」ということが明確になった。
他県の状況は、以下の総務省の資料によると平成24年3月31日までの調査で東京の条例だけが載っていて、他県に同様の条例はないようである。
よって東京周辺でも、千葉や神奈川は東京都とは規制が違うと思われる(多分緩い)。

総務省 地方自治月報 第56号”
「1 義務を課し又は権利を制限する条例の制定状況」
「(1) 各団体が独自に制定した条例のうち罰則を設けているものに関する調査」
平成21年4月」1日から平成24年3月31日の調査で、[警察・消防]の項目において東京都の条例だけで他県の同様条例の記載は無し

以上