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ネットカフェの利用

雲取山にはまだまだ謎があるが、本事件には他にも謎が残っている。本日は趣向を変えてネットカフェの件。
第13回公判の江川氏傍聴メモで以下の証言が有る。
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ーーネットカフェでも作業したのは? 
いろいろな環境で動くかどうかテストしてみたかった。 
ーーいくつのネットカフェを利用したか。
2カ所。秋葉原と渋谷。 
ーー身分証の確認が必要ではないか。 
必要。会員登録が必要。 
ーー利用履歴からわかってしまうと思わなかったのか。 
テスト用に使っていた掲示板を使っている限りは、事件と結びつかないと思った。 
ーー渋谷のネットカフェで事件で使った掲示板を使ってないか。 
私のミスだと思う。本番で使った板を、身分証を示したネットカフェで使用してしまった。
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この証言は色々不思議な点が有る。
まず、渋谷のネットカフェの話は、この証言があるまで弁護側会見でも特に出ていなかったと思う。被告人不利の内容と考えて言及しなかったのだろうか。ただ、報道でも秋葉原の方は詳しく利用履歴も出ていたが、渋谷の方は全く見ていない。警察・検察のリークも秋葉原の方だけに絞っていたのだろうか。
また、「本番で使った板を、身分証を示したネットカフェで使用」というのは重要な情報と思うが、この点から警察は片山氏にもっと早く辿りつけなかったのか?という疑問は当然出てくる。

このような疑問と並んで、当方が注目しているのが、「いろいろな環境で動くかどうかテストしてみたかった」という利用動機と目的面からの考察である。
開発に使用したPC以外のPC環境でiesysが動くかどうか試験しておくのは、ソフト開発者として当然の発想と云うことになる。
そのためには、iesysやドロッパはネットカフェPCで動かすことになる。その場合、「遠隔操作される側」はネットカフェPCになるが、「遠隔操作する側」はどのPCを使ったのか?という疑問が出てくる。
つまり、「ネットカフェで遠隔操作のテストした」と云うことだと、一見して「ネットカフェPCから自宅PCを遠隔操作して動作確認した」と思えてしまいそうだが、それではiesysやドロッパを色々な環境でテストしたことにはならないのである。(ただし、ドロッパでiesysをインストールするところまではネットカフェPCで確認出来るだろうが、それだけでは遠隔操作のテストにはならない)

もし仮に自宅以外の派遣先か、或いは何処か隠せるような場所のPCにiesysを入れて動くようにしてあったとしても、それを遠隔操作するのならネットカフェPCを使わずとも自宅PCから行えば良い。
このように具体的方法まで考えると、片山氏はネットカフェでどのようにしてテストを行なっていたのか、定かでなくなってくる。
しかも、当時はノートPCを持っていなかったという話だったし、スマホiPadではCryptToolが動かないと思われるので、「ネットカフェPCとスマホiPad」という組合せでの遠隔操作も困難。

実際に片山氏はネットカフェでどのようにしてテストを行なったのか?
一つの可能性としては、ネットカフェPCに仮想PC環境(バーチャルマシン)をソフトで構築して、1台で2台のPCとして動かす方法があるだろう。
ただし、秋葉原のネットカフェと同様の利用形態とすると約25分ぐらいの滞在になる。それでバーチャルマシンまで動かしてテストをしていたのか。実際の渋谷ネットカフェ利用日時や滞在時間はどうだったのか。
或いは1台のPC内でiesysに直接コマンドを渡してテストできるソフトを作るなどしていたのだろうか。仮にそうだとすると、実際の遠隔操作とは動作状況は微妙に違ってくるが、それで良しとしていたか。
また、テスト用書込み先はどの掲示板等を使っていて、そのログ等は残っていないのか?などの疑問も出てくる。

結果として、ネットカフェでの行動内容を、検察側は再収監後の聴取や当該店のログ等で詳細確認できているのだろうか。
このように片山氏証言の一部を取り上げただけでも、まだまだ不明点や疑問点が多い。それに加えて雲取山の件が示すように証言内容の再検証が必要と考えられる状況である。検察側は「やりました」という自白だけでなく具体的手法解明や裏付けも行う必要があると思うが、果たしてどうなっているだろうか。

以上