公判前整理手続の行方
本日5月29日は検察側が公判前整理手続を今後どのように
進めるかについての意見書提出期限である。
その結果はどうなったか確認できていないが、
検察は裁判長が「異例。異常」とまで指摘したことに応えて、
「実行行為性」と「犯人性」を明らかにするのであろうか。
そのために、まず遠隔操作の犯行場所と使用したPCを特定してくるか。
実際には、やはりなかなか難しいのではないかと思われる。
少し考えただけでも以下の問題がある。
(1)派遣先PCでの犯行とする
→隣に同僚がいて、後ろを人が通る環境で10数件もの遠隔操作を
行うことが出来たのか。
同僚の証言はそれを行なった可能性があるというものになっているか。
ソフト開発している会社だから必ずあると思われるファイアウォールの
ログに遠隔操作らしき通信記録が残っているのか。
日曜日の犯行は派遣先PCでどうやってやるのか。
(2)自宅PCとする
→平日会社に行っている時の犯行には使えない。
Torを前は使っていたが今は使っていないと被疑者は証言してるので、
使ってたことを立証できるか。
(3)ネットカフェとする
→Tor使えるか。
平日会社に行っている時の犯行には使えない。
日曜日の犯行は、退店の約5時間後に犯行予告書込が行われているが、
この時間差を埋める方法と被疑者がそれを実際に使ったことを立証できるか。
(4)スマホとする
→平日会社に行っている時の犯行時間帯にスマホをずっと操作していたら周りに見られる。
Tor使えない可能性が高い。
これらの問題点を乗り越えられるのだろうか。
直接証拠は上記のいずれか又は他の犯行場所と使用PCを特定し、犯人と結びつける証拠が必要となる。
なお、三重の事件でも起訴されたようだが、遠隔操作の手口はCSRFを除いて、
トロイを使った事件に関してはほぼ同じと考えられる。
つまり、公判前整理手続き第一回の際に、検察は6月末か7月中旬が捜査終了予定と述べて、
証拠開示はその後と言ったが、同じ犯人の同じ手口の事件を幾ら調べても、新たな証拠が出てくるとはとても考えにくい。
それでも検察はこのまま進めようとするであろうか。