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コメント関連(複数犯説)

複数犯説は皆さん関心が高いようで、早速コメントを頂いている。
それで本日はその補足を行なってみる。

当方は9月8日記事中で複数犯説について以下のように見解を記した。
 <検察側は単独犯で論理を組み立てているので、絶対に複数犯の話には乗ってこない。
   複数犯の可能性が出て来ると単独犯前提で描いた検察側ストーリが崩れ、裁判で負けることを分かっているからである。

今回検察の方から複数犯説を持ち出すとは驚くべき事態になったが、当方見解のうち「検察側が複数犯説に乗ったら裁判に負ける」という見方は変わっていない。
それを説明したいと思う。

「val*gar*y 」さんから昨日のうちに以下のコメントを頂いている。
  <(USBメモリを埋めたのは)
   検察側が被疑者だと立証できない→
   これだけでは、被疑者無罪にはなりませんよね?
   弁護側は立証できなければ無罪、、
   と主張しているように聞こえるけど、
   それはちょっと無理があるような気がします。>

基本的にその通りであるが、検察が立証できないだけならまだしも、複数犯説を持ち出してきたことが無罪につながって行く可能性がある。
本事件では”犯行の核心である遠隔操作を被疑者が行なったという証明を検察が出来ていない”という大問題がある。
それに関して今回平光公判副部長が「被疑者のPCが犯行(遠隔操作)に使用された証拠はない」と明言したそうだ。

被疑者のPCが使われたという証拠がないなら、別の人物が別のPCで遠隔操作を行なった可能性を排除できない。
そこに雲取山USBメモリを埋めた共犯者がいたら、「遠隔操作もその共犯者が実行したのではないか」という疑いが出てくる

更に平光副部長は雲取山USBメモリは「共犯者か情を知らない第三者をして埋めさせた可能性が残る」と発言している。
「情を知らない第三者」だけなら事情を知らないのだから遠隔操作は無理になるが、共犯者まで含めた可能性を示唆しているから、共犯者なら事情を知っていて遠隔操作も出来るという想定が可能になる。

遠隔操作を実行したのが共犯者なら、「業務妨害罪」「脅迫罪」「ハイジャック防止法違反罪」は共犯者が主犯になる可能性がある。
その場合被疑者が仮にウィルスを作成したと認定されても、「ウィルス作成罪」や共犯者に提供した「ウィルス提供罪」が適用となって、書込代行依頼なども共犯者が行なっていたとしたら「ウィルス供用罪」も共犯者が実行者になる。

そうなると、今起訴されている罪状を全部取り下げて、精々「ウィルス作成罪」か「ウィルス提供罪」のどちらかを適用することになってしまう(牽連関係になるため)。
また、業務妨害罪などを共犯扱いに落とし込もうとしても、主犯が確定していないのでは審理もやりようがないだろう。

幾ら訴因変更は可能と云っても、これでは裁判は根底から覆ることになる。
まさしく「公判が維持できない」状態になり、結果的に被疑者無罪にするしかない状況になるのではないか。
それほど「複数犯説」は破壊力があるし、検察もそれは重々分かっているから、絶対に乗ってこないというのが当方見立てであった。

しかし、検察自らが「複数犯」説という爆弾(もっぱら自爆用)を持ちだしたから、これを検察側がリカバリーする方法は、雲取山USBメモリを埋めたのが被疑者以外の人物なら、その人物を特定して共犯者なら逮捕、第三者なら証言を得て、その上で被疑者の関与を主張すること。
そのチャンスは、今後の予定として検察官が9月中に弁護側の予定主張に対する反論とそれに関連する証拠の開示について回答することになっているということで、基本的に今月中が勝負ということになる。

ただ、これがもし出来ても共犯者がいてそちらが主犯ならその裁判をまずやらないと埒があかなくなると云う問題が出てくる。
いずれにせよ今のままの公判は実質的に維持できない状態になるのではないだろうか。
検察は一体どうするつもりなのか。佐藤弁護士が「絶対勝てる」と吠えた気持ちはよく分かる気がする。

以上